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神田紀久男

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神田紀久男(かんだきくお) / 終活カウンセラー

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コラム

折角、相続手続きを済ませたのに、お困りごとが起こってしまいました。

2023年7月19日

テーマ:終活 

コラムカテゴリ:くらし


【夫の相続を終えたのですが、やり直しは出来ないのですか】
そんな相談を80代の女性から受けました。
話を聞いてみると、旦那さんが、2年前に亡くなり、当時は相続手続きを何もせずにいたそうです。
昨年に、ニューズを見て「不動産登記の申請義務化」が始まることが知り、現在住んでいる不動産の名義が旦那さんのままであることに気づいたそうです。そこで、一人息子と相談し、遺産分割としての名義変更手続きを行いました。この不動産の名義上の所有者は、息子さんとして、母親がそこに住み続けることにしたそうです。「どうせ、私の方が、息子より早く亡くなるから。後の始末は息子がすることになる。」当時は、そんな風に考えたそうです。確かに、相続により不動産の名義変更手続きを行えば、手続き費用も掛かります。どこか、自分が亡くなった時に自分の名義になっているとまた費用が掛かると想定がどこかにあったのかもしれません。ただ、息子さんとも話をした上で出した結果ですので、納得もしたし、自分の死後も息子さんがしっかりと見てくれると話し合いの中で感じていたようです。
その後、最近になって、息子さんが発病し、どうやら死期が近いことが知ってしまった。息子さんは、妻と子供がひとりいる。息子さんの相続には、母親の自分が、相続人とならないことで、不安が生じているとのことでした、出来れば、不動産の名義を自分に変更できることが出来ないか。そうすれば、自分の老後の生活が安心できると思っているとの事でした。
息子さんは、自分の死期を知らないようです。奥様の本人にはまだ伝えていないそうで、息子さんは、母親には、「治るから心配しなくてよい」と言っているそうで、不動産の事など、話を切り出せる状況ではない。どうしたらいいですかね。と言った相談です。
確かに、息子さんが所有者となっている家ですから、幾ら母親でも名義を勝手に変更することは出来ないですし、名義変更の話を切り出せば、息子さんの病気の話を言わないといけないことになります。治ると言っている本人に、死期が近いとは言いにくい。ましては、自分の子どもに対してそんなことを言いたくもない。亡くなって後では、義娘となるお嫁さんと孫が相続することになる不動産を自分に戻してほしいとは、これまた言いにくい。
話を出来ないことをオンパレードで、大変であることは間違いありません。
私は、相談者に、お嫁さんとは現在は仲良くやってますか。お孫さんのことは話をすることはありますか。と尋ねました。
お嫁さんとは、普通に話が出来るし、今の息子の病状の移り変わりも頻繁に連絡してくれて助かっている。孫の頻度は高くないけど、話せば優しい言葉をかけてくれると嬉しそうにお話をされていました。
そうなのであれば、不動産名義を今のまま、息子さんの名義にしておくことも一つの手ではないですかと提案しました。相談の中身を考えると、結局のところは、「死後の後始末で迷惑をかけたくない」という気持ちで名義を息子さんにしたわけで、死後事務に関する事柄を不動産の価値で精算しようと考えていることですよねと伝えると、その通りだとおっしゃりました。だったら、息子さんが亡くなった時に、相続するお嫁さんなり、お孫さんが、貴女の死後事務を完結してくれればよいわけで、息子さんでなければならない理由にはならないのではありません。息子さんが、母親の後始末のすることは当たり前な訳ですから、その意思を継いでお嫁さんなりお孫さんがやってくれればよいことではないかと話をしたところ、少し目から鱗が落ちるような感じに思えたようです。
それもそうですね。
今は、息子さんも自分を信じて治療に当たっているのでしょうが、何時かは、自分の死を意識することがあるかもしれません。その時には、自分の後始末のことや母親のことなどもご家族に話をするからもしれません。
子どもの死を考えたりすることは、母親にはお辛いことでしょうから、今すぐにどうのこうのの話をするのは難しいかもしれませんが、どうしても不安なのであれば、お嫁さんに少し今の不安の事柄を話をしてみて、話を聞いてもらうことをお薦めします。色々とお話が出来る間柄のようですから、母親としての息子さんに対する気持ちなども思うことをざっくばらんにお話してみてはどうですか。きっとわかってもらえるように思います。そうすれば、不安の事柄も解消に向うのではないかと思うとアドバイスを送りました。

相続手続きは、その時だけの相続ではなく、次の相続の少しばかり考慮にいれば手続きを進めておくことが必要です。費用ばかりを気にせずに、不安や気持ちを大切に。それが一番大事なことだと思います。

この記事を書いたプロ

神田紀久男

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神田紀久男(株式会社 イフケア北九州)

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