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神田紀久男

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神田紀久男(かんだきくお) / 終活カウンセラー

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コラム

成年後見制度の理解を深めよう

2022年10月5日

テーマ:終活 

コラムカテゴリ:くらし

コラムキーワード: エンディングノート遺品整理相続 手続き


終活相談を受ける中で、なかなか結論が出なくて困っているという事柄は、高齢になり、一人で日常生活が送ることが難しなった時に、どうしていけばよいだろうとお悩みのようです。
 死の間際に、死後のことを託すことができれば、理想的なのでしょうが、病気になり、判断能力が衰えることも考えられます。昨今では、認知症の発症のリスクの多くの情報が出ています。65歳以上の認知症有病率が2025年には20%近くなるという推計値などを見ると、不安になりますし、何らか対策しておく必要が出てくると感じるのではないでしょうか。
 この対策として、「成年後見制度」を利用することが挙げられます。
成年後見制度とは、認知症、知的障害、精神障害などの理由でひとりで決めることが心配な方々は、財産管理(不動産や預貯金などの管理、遺産分割協議などの相続手続など)や身上保護(介護・福祉サービスの利用契約や施設入所・入院の契約締結、履行状況の確認など)などの法律行為をひとりで行うのがむずかしい場合があります。
また、自分に不利益な契約であることがよくわからないままに契約を結んでしまい、悪質商法の被害にあうおそれもあります。
このようなひとりで決めることに不安のある方々を法的に保護し、支援するものです。
大きく分けて、この制度を利用する方法は、二つです。認知症などを発症して、一人で財産管理をすることや契約などを行うことが困難になってから利用する「法定後見制度」と、いざという時に備え、後見人として助けてくれる人を決めておく「任意後見制度」です。
後見制度の大きな目的な一つである。「本人の意思を尊重し保護する」ことなので、そうなのであれば、任意後見制度の方が自分らしくあり方のように感じますが、実際には任意後見制度はあまり活用されていません。ほとんどが、「必要になったから、制度利用が始まる」ケースが多いようです。
この制度の詳しい内容は、厚生労働省が公開しているホームページがわかりやすくまとまっていますので、そちらを参照ください。
[

[/引用]
成年後見はやわかり|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

 成年後見制度を利用しなくても、家族の助けを借りて暮らしている人は多いのが実情です。親が高齢者施設に入所して、日常生活を送っている。ただお金の支払や生活のために必要な物品を買い物などは、子どもが行っているなどのケースです。ただ、その場合でも、困り事は出てきます。世話をしている子どもからすると、日頃の親に必要な支出も小さな金額であれば、何も気にせずに自分の財産から出すことも出来るから問題は無いのでしょうが、例えば手術をする必要が出たとか、施設の利用が長くなって、金銭的な負担が大きくなったりすることも考えられます。子どもから見ると、自分の財産から支出をしても、相続すれば戻ってくると考えていたとしても、現実に減っていく自分の財産が多くなると負担感を感じてしまうかもしれません。親が住んでいた家・土地を処分して、親の施設費などに充てたいと考えたとしても、子は親の財産である土地・家を処分することが出来ません。こんなケースで子の方からの終活相談の声をあります。この場合に、慌てて成年後見人を選定したとしても、家・土地の処分を出来るかどうかは、わかりません。理由は、成年後見制度は、本人(このケースで言えば、親)の意思を尊重し、保護する制度です。従って子どもの都合で家・土地を処分するというわけにはいかない。本人が嫌がることを後見人は出来ないのです。
こんなケースもあります。
親が将来のことを考えて、成年後見制度を勉強し、家族に対して、自分は任意後見制度の利用しようと考えていることを伝えたそうです。本人からすると、自分のことであまり迷惑を掛けたくないつもりだったのでしょう。しかし、子どもの方が「自分のことを信頼されていない」と怒ってしまったそうです。
「勝手にしろ、困ったことがあっても助けない」と言い争うに発展してしまったとのことです。子どもとも関係は、今断絶状態に陥った。
親は、仕方がないので、自分の考えていた任意後見人になってくれる人探しを始めたそうですが、専門家と話をしても、色よい返事がもらえない。理由は、後見人も出来ることを出来ないことがあって、出来ない事柄の時には、子どもの協力が欠かせない。
ただ子どもの協力が得られないことが予想されるからという理由のようです。
後見制度を利用するにしても、何でも出来ることではないですし、後見人が本人の全ての代理人ではないのですから、しっかりと何をしてもらって何をしてもらえないのか。そのことを家族や親族にも理解してもらい、協力して、本人の保護を行っていく仕組み作りが大切です。その意味においては、一人で考えず、家族のいる方は、家族で成年後見制度の理解を深めていく必要があると思います。まずは勉強ありきですね。

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神田紀久男

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