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佐々木博一

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佐々木博一(ささきひろかず) / 墓石・終活カウンセラー

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コラム

樹木葬と植樹葬、どう違う?

2021年8月1日

コラムカテゴリ:冠婚葬祭

コラムキーワード: お墓お墓参り終活 いつから

「樹木葬」「樹木葬霊園」最近では聞き馴染みのある言葉になってきましたね。

そんな中、あるご相談者からこんな話をされました。樹木葬をやっているというお寺に行ってお話を伺ったら、住職から「うちの寺は植樹葬霊園ですから。」と言われたそうです。
樹木葬と植樹葬って、何がどう違うのですか?これがご相談者からの質問でした。

あらためてそう聞かれると、言葉のニュアンスから何となく違いは感じとれるのですが、住職がその言葉にこだわるほどの違いって何だろう?そんな風にも思われます。

ところで、この樹木葬ですが、いつからどこで始まったのかご存知でしょうか?
1999年(平成11年)に、岩手県一関市の祥雲寺というお寺が始めた新しい埋骨の方法と言われています。

何が新しいのかというと、埋葬した場所に石塔(お墓)を建てるのではなく、石塔の代わりに樹木を植えて供養する。つまり、樹木が石塔の代わりというところが新しい発想だったわけです。「樹木葬墓地」としてマスコミなどに多数紹介されて、短期間で全国区の名称として樹木葬という言葉が定着していったようです。

ちなみに、当初は祥雲寺の樹木葬墓地としてマスコミに紹介されましたが、現在は当時祥雲寺別院だった知勝院が宗教法人格を認証され、知勝院が樹木葬を運営しています。
(もともと別院としての知勝院が樹木葬墓地の運営をしていた経緯がありました)

この方法で注目したいのは、石塔の代わりに「樹木を植える」ということです。
「植樹」を辞書などで調べると「樹木を植えること」と書いてあります。

ではなぜ、当初祥雲寺では「植樹葬墓地」ではなく、「樹木葬墓地」という名称を使うようになったのか?
正直、私には詳細は分かりません。祥雲寺の住職が樹木葬という言葉を使いたかったのか、はたまた、マスコミがその様な名称を付けて広まっていったのか。

それでは、話を戻しましょう。当初、どのような経緯で「樹木葬」と呼ばれるようになったのかは、定かではありませんが、確かに最近では、「樹木葬霊園」や「植樹葬霊園」と明記してある看板などを見かけるようになりました。

霊園を管理している住職や管理者がその違いをはっきりと区別するような傾向になってきていると思われます。

それでは、私が実際に霊園を視察させていただき、またその霊園の管理者の方から直接伺った話から「樹木葬」と「植樹葬」の違いをお伝えします。

私の感覚で結論から申し上げますと… 見た目の違い! だけのようです。
ではその見た目はどう違うのか?

まず「樹木葬」ですが、イメージしてください。霊園の中央部などに、大きな木が一本立っていて、その木の周辺に遺骨を埋葬しています。埋葬された場所には、名前の書かれたプレートや番号の札が立っています。供花などがお供えされていることもあります。
この場合、ここに立っている大きな木が、霊園のシンボルツリーの役割をしています。

次に「植樹葬」ですが、イメージしてください。霊園内にはシンボルツリーのような存在の大きな木などは無く、遺骨を埋葬された場所には、それぞれ1.5~2メートルほどの高さの木が植えられています。その木の根元には名前の書かれたプレートや番号の札が立っています。そこには供花などがお供えされていることもあります。霊園内には、埋葬された数だけ、木が立っています。

イメージできたでしょうか?
このように、霊園の呼び方と見た目には関連性があるようです。

埋葬方法や、供養の方法などは名称とはあまり関係なく、その霊園のルールに従って行われています。自然葬(自然に還す埋葬方法)という性質上、墓地に穴を掘って、遺骨を直接土に埋める方法が多いようですが、最終的に永代供養へ移す方式をとっている霊園では、後で取り出せるように、骨壺や袋などに収骨して、埋葬している霊園もあります。

植樹葬霊園では、実際に木なら何でもよいわけではなく、霊園で指定している木の中から選んで植樹するようです。太く高く成長するような木ではなく、ある程度の大きさまで成長する木が選択肢としてあるようです。
植樹した後の木の管理は、霊園の管理者側で行ってくれていることが多いようです。

樹木葬霊園では、このシンボルツリーに桜を使用して、桜墓地霊園とよんでいるような霊園もあるようです。

中には、シンボルツリーもあってその周りに、埋葬後指定の木を植樹するスタイルの樹木葬霊園もあります。

最近では、ヨーロッパの庭園をイメージさせるような、庭園型の樹木葬霊園もあります。

都市圏や都会では、人工的に作られたシンボルツリーを使用した樹木葬霊園や、洋風の庭園型の樹木葬が主流になっているようです。
ですが、地方では、そのままの里山や、地形を利用した自然の中の植樹葬霊園が圧倒的に多いように思われます。

樹木葬が始まってまだ二十数年ですが、あっという間に全国区になって、いろいろなスタイルや様式の霊園が増えてきています。今後も時代にあった霊園のスタイルや、聞きなれない名称の樹木葬霊園が増えてくるのではないでしょうか。

「樹木葬」「植樹葬」、見た目や呼び方、やり方に若干の違いはありますが、始まって以来、変わらないことがあります。それは、納骨堂などは使用せず、直接土中へ埋葬すること。そして、石塔などの墓石は建立しない、ということです。

名称の違いや供養の方法の違いは、違いと言えるほどのことではないような気がします。
人工的な石塔は建立せずに、大地(自然)へ還す。
自然葬(樹木葬・海洋散骨)の基本的な理念なのかもしれません。

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