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国立を蹴って、最難関私大に合格

2012年8月24日 公開 / 2014年6月4日更新

コラムカテゴリ:スクール・習い事

以下はベネッセ(進研)が公表している大学難易度です。
近畿地区の法・経済学部(私大)だけを抜き出しました。
偏差値 60未満は省略してあります。
 

72 同志社大(法)
71 同志社大(経済)
70 立命館大(法)
69
68
67 関西大(法)
66 立命館大(経済)関西学院大(法)
65 関西大(経済)
64
63 京都女子大(法)
62
61 龍谷大(法)近畿大(経済)
60

今から3年前の秋、1人の高3生から入校問い合わせがありました。
中堅進学校に通う男子生徒さんです。
「同志社大学の法学部に進みたいが、英語が希望点数に届いていないので貴館で指導してもらいたい」という事でした。
ご本人が電話してこられたのですが、その語り口から強い決意と意志が感じられました。
しかしながら高3の秋ともなれば受験も終盤です。
限られた期間での最大効率が求められますが結果は未知数です。

お出でになった生徒さんは、電話での印象通り、気合十分な熱意あふれる方でした。
現状での実力を尋ねてみますと「センターで130点が最高」とのお答えです。
最難関の同志社法学部には相当厳しい現状です。
悪くても180,普通なら190超えが順当な期待値です。

たまたま空きコマが3つあったので、その全てのコマを受講されることになりました。
週3回通ってくる集中特訓が始まったのです。
持って生まれた言語的才能には素晴らしいものがありました。
「何でその高校に行ったん? 才能的には最難関の進学校も楽勝だよ」とお尋ねしたことがあります。
「中学校の時は何がなんだか分からんで勉強せんだです」と答えた恥ずかしそうな表情が記憶に残っています。

当館は1:1の個別指導ですので、生徒さんのレベルやお人柄は如実に分かります。
優しく接するべき方、時として厳しい指導が必要な方、千差万別な個性があります。
彼は気合と才能は十分ですが、時として空回りすることもありました。
必要なのは着実で緻密な結果であり、華々しい打ち上げ花火ではない、みたいな・・。
そのため、時には怒号が飛び交ったこともあります。
しかし、彼の強い思いと男同士の信頼感があったので、決してくじけることはないという確信がありました。

翌年春の受験までに相当程度の学力向上をみたのですが、残念ながら第1志望の同志社法学部は不合格でした。
彼はその時点で本年の受験をやめ、来年に向けて浪人する決意を示しました。

しかし、そこまで鍛え上げた彼には相当緻密でハイレベルな英語力、特に2次記述力があったので、富大の後期試験を受けることを勧めました。
せっかくここまで英語力を伸ばしたのだから、方針を変更して「受かることができる国立大学へ進む」のも悪くはないかな、と思ったのです。
いわば「大人の知恵」でもありますし、ここまでの遮二無二の努力に対して形を残してあげたいという希望でもありました。

彼は嫌がりました。
「受けろ」という私と「嫌だ」という彼が押し問答になったのです。
と、その時、彼は急に頬を紅潮させてうつむきました。
「・・・。いや、です。 う、、うっうっっ・・」

強気の彼が初めて見せた涙。

そうまでして同志社へ行きたいのだという彼の胸中。
胸が一杯になって何も言えなくなりました。

彼に国立へ行けと言うのはやめました。
「どこにも受からず浪人するのと、国立に受かってそれを蹴って浪人するのでは心の持ちようは全く変わる。
自分に自信を持てる。
これからの伸びにも影響する。
ここまでの結果を出すために、そして来年へ繋げるために受けてみろ」
と言い方を変えたのです。


後期は重い記述英語が中心の試験です。
後期は「前期で第1志望に不合格になった受験生がランクを下げ、安全パイを狙って受けてくる」のでレベルが上がります。
前期で受かった受験生より後期で受かった生徒のほうがレベルが高いのが普通です。

その富大後期に彼は合格しました。
センター模試で最高130しかとったことのなかった彼が、わずか半年、必死の努力の末、難関の2次記述を突破したのです。

そして、その後期合格を蹴り、浪人生活に入りました。

こからの1年は電車道です。
才能あふれる彼が苦悩と葛藤を乗り越え、涙を流して貫いた夢への道です。
何人もその邁進を止めることはできません。

浪人生として臨んだ雪辱の同志社法学部の入試。
得点率は9割を超えました。
夢にまで見た偏差値72をクリアした瞬間です。


夢を果たした彼が、昨日、以学館へ遊びに来てくれました。
唇を噛み歯を食いしばったイバラの道。
今見る輝く笑顔。
その二つを思い比べる時、胸中に去来する熱い思いを禁じ得ません。

「可愛い子いる?」との私の問いに
「たくさんいますよ。同志社女子大の子とコンパがたくさんあるんですよ」と喜色満面の彼。
「いいなぁ~、いい子がいたらわしにも紹介して」と私(爆)。





苦難の末につかんだ笑顔




京土産

この記事を書いたプロ

上野伸彦

英語個別指導のプロ

上野伸彦(英語の以学館)

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