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田中嘉一

医療ミスを防ぐ医療機器安全コーディネーター(R)

田中嘉一(たなかよしかず) / 臨床検査技師

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コラム

人工呼吸器使用中での「あれっ?故障?」事例

2024年3月14日

テーマ:医療安全

コラムカテゴリ:医療・病院

気管切開で人工呼吸器を使用している時に起こった例です。

私がその病棟に巡回点検で訪問した時に看護師さんから人工呼吸器の換気回数が12回の設定にしているのに、2倍くらいの回数になり暴走するので別の人工呼吸器(機種は同じ)に付け替えた所また同じ現象が発生したとの事でした。


そこで当該患者さんの所に行き様子を見た所、その時は人工呼吸器は正常動作していました。
何も問題点がその時は無かったようでしたので、暴走したという呼吸器を点検したところ異常は見つからない状態でした。

少し間を置き先ほどの患者さんの様子を遠目で見た所、ある看護師さんとその患者さんが会話していたのです。しかも呼吸器を装着しているのにです。

このあり得ない状況を見て原因がハッキリ解りました。

カニューレのカフ漏れによるリークです!

カフの圧は結構パンパンに入っていたのでサイズが小さかったのです。

何が起こっていたかというと、この方はSIMVのモードでプレッシャーサポートが設定されていました。

この場合、カニューレ先端から入った空気が肺に行く分以外にカフ漏れによって気管とカフの間にできた隙間から空気が漏れ、声帯をを震わせて声を発していたのです。

そして、この漏れた時にカニューレ先端に陰圧が掛かりそれを人工呼吸器が自発呼吸と認識。プレッシャーサポートを毎呼吸に掛けた結果回数が倍増していたのです。いわゆるオートサイクリングとかオートトリガーといわれる現象です。

この方は1サイズ太いカニューレに変更してもらい治まりました。


PMDAの人工呼吸器の取扱いに関する再周知記事2つです
https://www.pmda.go.jp/files/000234785.pdf
https://www.pmda.go.jp/files/000234786.pdf

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