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田中嘉一

医療ミスを防ぐ医療機器安全コーディネーター(R)

田中嘉一(たなかよしかず) / 臨床検査技師

MEテック・ラボラトリー合同会社

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コラム

「医療機器のバッテリー管理」についてです。

2024年3月14日

テーマ:医療機器メンテナンス

コラムカテゴリ:医療・病院

輸液ポンプやシリンジポンプ、AEDなど今や多くの医療機器に内蔵バッテリーが搭載されています。この目的の多くは患者移動の際の電源のバックアップ・停電時の電源のバックアップ等の安全性、看護師さんが病室移動の際に持ち歩く際の利便性、必ずしも電源コンセントが有るかわからないシチュエーションでも即座に使用できる利便性を求めて内蔵バッテリーが搭載されています。

この内輸液ポンプやシリンジポンプに搭載されている内蔵バッテリーは約2年で交換です(3年の場合もあります)ところがよくあるのが、購入から何年も経っているのに1度もバッテリー交換をしたことが無いという現実です。

弊社、MEテック・ラボラトリーが新規でご採用頂いた時に真っ先に着手することはバッテリーの交換記録の有無です。ほぼ100%に近い確率で存在しておらずいつ交換したのか?そもそも交換自体やったのか?全く分からないということが殆どです。そしてよくあるトラブルが「バッテリーが充電できない」とか「患者さんを移動の際にポンプも一緒に移動したが、気づいたら電源が落ちていた」といったトラブルですね。
この場合機械の故障路と判断されることが殆どです。
たしかに故障であることには変わりはないのですが、きちんとバッテリーの管理さえできていれば突然動かなくなったというようなトラブルは未然に防げていたのです。

特に人工呼吸器や麻酔器など生命維持に直結しているME機器に関してはもしバッテリー管理がきちんと行われておらずバッテリーが殆ど機能していない状態だった場合、使用中に発生した停電に対して電源がバックアップされず電源が瞬断したらその場はパニックになります。実際停電に限らず人工呼吸器を使用中の患者さんのベッドサイドの機器の配置を変更しようとして、バッテリー内蔵型の人工呼吸器のコンセントを抜いたらバッテリーが作動ぜずに電源が落ちたという例もあります。
また、多くの内蔵バッテリーは充電式になっていて電源コードがきちんととれていればバッテリーは同時に充電されるのですが、この充電機構に異常が有った場合バッテリーは充電されず空の状態になっています。
これは充電機能の故障ですので要修理ですが、こういったことがないかの点検を長期に渡って使用中の人工呼吸器は一旦別の機械に交換しての点検が必要となってきます。

AEDの点検に関しては目視により一瞬で終わります。作動の可否を示すインジケータがOKか、電極パッドの使用期限内か、バッテリーの交換予定期間内かという事です。月に1度メーカー指定の点検法を実施する他はこの点に注意しておけば良いです。また、万一バッテリー交換を見落としていた場合はアラートが発生いたしますのですぐに分かります。

いざとい時に役に立たない状態にしてはいけない為のバッテリー管理。

きちんとできていますか?

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