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太田佳樹

豊かな未来を約束する家づくりのプロ

太田佳樹(おおたよしき) / 建築家

株式会社Ota建築設計

コラム

透明の窓断熱材ついに窓越しの景色を楽しめる!

2023年7月6日

テーマ:建築のあれこれ動画

コラムカテゴリ:住宅・建物

皆さま こんにちは。太田です。
今回は、18万再生100件以上のコメント頂き大きな反響を頂いた、
透明の断熱材SUFAがさらに透明性がUPしたという衝撃の事実をお伝えしたいと思います。
後半には、実物のSUFAをご覧頂きます。

先日、透明の断熱材SUFAを開発したティエムファクトリ社から、1通のメールが届きました。
どうやら、新しいSUFA開発した様です。
さらに、SUFAのサンプルを送って頂けるとの事でした。

SUFAの透明性向上ついてご紹介いたします。
SUFA魅力はなんと言っても、透明性の高さです。

PRTIMESに2023年1月19日に掲載されたSUFAの透明性に関する記事です。
『この度、弊社エアロゲル「SUFA」において、透過率91%の性能を有するモノリス体の作製に成功致しましたので、
ご報告いたします。』とあります。

そうです、透明性において、さらなる透過率を追い求めて進化をさせています。
こちらが実際の進化版SUFAの画像になります。




いかがでしょうか。青空や木の枝もしっかりと確認できます。
このレベルであれば、住宅の透明ガラスへの応用にも、十分に対応できそうです。

ですが、ガラス単体の断熱には、すでにアルゴンとクリプトンガスがあります。
SUFAを使う意味は何か?それは熱伝導率が優れているからです。
伝導率は物体の熱の伝わりやすさを表す指標。低い程良いです。
アルゴンガスが0.02W/(m・K)SUFAは0.01W/(m・k)でなんと2倍も優れています。
優れている点はそれだけではありません。

実は、ガスは大きな問題を抱えています。
それは、注入した直後からどんどん抜け出していくという事。
これは気体が起こす自然現象です。仕方ありません。その減少率年平均1%です。
10年後に10%もの性能ダウンにつながります。

単純にガス量と性能が比例しているとは言い切れませんが、
これはガスを選ぶ宿命と言うべき問題です。
せっかくアルゴン+樹脂窓で1W/(㎡・K)超えの性能値を達成しても、
10年後に1W/(㎡・k)を切れなくなる可能性もあります。
よく3割減まで大丈夫という方もいますが、残念ながら根拠を示せていません。

そこで登場したのが透明の断熱材SUFAです。
SUFAは透明の個体です。物理的に何年たっても目減りしにくいです。
しかし、SUFAにも、問題がない訳ではありません。それは、透明性です。
光透過性が高いとはいえ、レイリー散乱現象で透過する光がオレンジや白濁するという問題が立ちはだかります。

レイリー散乱現象とは、空が一面が夕日にそまる原理と同じで、
オレンジ色の光のスペクトルだけ通過散乱させるというもの。
しかし、今回、SUFAの骨格を大きく見直し、もう一段、透明性向上に成功したというのです。

先ほどの透過率91%の性能を出すことに成功した。
とありますが、じゃぁ―いったい何パーセントからの91%なんだよ、って話でが。

日経XTCEHが「トリプルガラス越えの窓が爆誕」というタイトルで2020年3月12日にSUFAを取り上げた記事です。
『可視光透過率、厚さ1cmで可視光を90%以上透過と記載があります。』
そうです。90%からの91%です。担当直入に言うと、1%UPです。
少なすぎると思われるかも知れませんが、この1%のUPはとても大きいです。

もそも、90%以上もの透明性を極めている個体です。
例えるなら、エベレストを90%登って残りの10%がデスゾーンと呼ばれるように、
そこからの性能UPが大変な訳です。
実際、開発に携わっていない僕が言うのも無理がありますが、
透明性を高める為のトレードOFFとして、強度減という大きな問題が立ちはだかります。
その困難を乗り越え到達した時の疲弊した状況を記した記事があります。

PRTIMESの記事です。「今回の試行においては、柔軟性を極限まで妥協したモノリス体の追求の取り組みも、
多く試行に含まれた為、モノリス体の扱いに於いて非常に気を遣う場面が続き、
弊社エンジニアも音を上げる寸前となる場面も、何度か御座いました。
しかしながら、この試行が開く新たな領域と、人類が求めるSDGsへの新たな基準へのコミットメントを信じて、
数多くの失敗にも負けずに、追求を続けてまいりました。」と、あり、
透明性を1%上昇させる困難さが記されています。

それを裏付けるかの如く、ある大きな変化も見つけました。
それは、これは透明性を改善させる前の、ティエムファクトリ社の概要です。
2020年当時の従業員数が32名と記載されています。それが、
透明性を1%UPさせた直後の2023年1月1日には18名に減少、
何と14名もの開発者がティエムファクトリを去っています。
これは、1%UPとは関係ないかもしれませんが、
どちらにせよ、研究結果は努力したから出せるという単純なものではく、
それでも、努力しつ続けなくてはいけないという、
とても、ハングリーな世界だということを表しているのかもしれません。

それでは、冒頭で話したティエムファクトリ社から届いた、実物のSUFAご覧頂きます。


前例がないモノを0から生み出しているという、もの凄いことを行っているティエムファクトリ社、
まさにモノづくりの本質を貫いています。
ひょっとしたら、今目の前で、窓ガラスの断熱化の過程での歴史的な一場面に立ち会っているのかも知れません。

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太田佳樹(株式会社Ota建築設計)

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