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犯罪に詳しく防犯を多角的に解説する対話型セミナー講師

神田正範(かんだまさのり) / 防犯コンサルタント

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コラム

「知らない人って!?」子どもを守る防犯意識

2015年2月1日 公開 / 2015年2月10日更新

テーマ:子どもの防犯

コラムカテゴリ:くらし

無垢な子ども

防犯対策は「意識」と「機会」がキーワード

近年、子どもたちを脅かす連れ去り事件が増加傾向にあります。また、戦後の高度成長期に見られた身代金の要求などと違い、目的がハッキリしない事件が殆どで、犯行者の目的に変化が生じています。しかし、連れ去りを防ぐ方法(防犯対策)は「知らない人について行かない」など、変化がありません。これは、犯行者の目的とは関係なく、連れ去られる状況(手口)に変化が無いからです。つまり、子どもを連れ去る手口は、声がけから始まり、言葉は時代背景に伴い変化しますが、安心や不安など心理を利用することに変化がなく、子どもたちが1人になった時という犯行機会にも変化がないからです。このことから、子どもたちを連れ去りから守るためには、子どもたちの防犯意識を高め、1人になる機会を減らすことが重要であることが解ります。

考える力と行動力が防犯意識を高める

みなさんは、子どもの頃を覚えていますか。思い出ではなく、喜びや怒り、哀しみを感じた時にどんな思いで過ごしたかです。経験や知識が少なく、未熟で純粋だった頃の自分は、どう過ごしていたでしょうか。

子どもたちを犯罪から守るために行われる防犯教育は、子どもたちに理解されているのでしょうか。
「知らない人にはついて行かない」は、犯罪に巻き込まれないための答えです。理由は、家族の心配や命に係わるかも知れないなどですが、これも答えです。つまり、犯罪という問題の答え合わせをしているに過ぎず、答えを導き出すための経験や知識の少ない子どもたちにとって、理解は難しいと思います。しかし、具体的な犯例を使った説明は、恐怖を与え、疑うことだけを覚えてしまいますので、お薦めできません。
まずは、どんな人が「知らない人」なのか、目の前にいる人と家族のどちらを「信じる」のか(考える)など、私たち大人にとって常識なことであっても、子どもたちにとっては「これから」であることを意識する必要があります。また、「役に立ちたい」「誉められたい」という純粋な思いの表現方法(行動)を具体的に示すことも重要です。「考える力」と「行動力」は、言葉巧みに近づき、親切や病気などを装う犯罪者から、身を守るために不可欠なものです。そして、子どもたちの習熟度が、成長を実感できる証にもなります。

私たち大人の防犯意識が子どもたちを守ります

通学、遊び、塾など、子どもたちが1人になる機会はなくなりません。しかし、減らすことは可能なはずです。
わが子が、毎朝「行ってきます」と元気な声で出かけ、「ただいま」と帰宅するまで、どこで何をしているのか興味のない親はいないと思います。そして、服を汚したり、遅く帰宅したときについ出てしまうのが「どこで何をしていたの?」ではなでしょうか。日本語の特徴かも知れませんが、理由がありません。子どもたちにとって、「洗濯がたいへん」や「心配した」は経験が少なく、なかなか想像できないものです。ただ「怒られた」と感じるだけではないでしょうか。同様に「知らない人について行かない」「1人にならない」も、状況が想像できずに聞いているだけという子どもたちによく出会います。

現代社会に於いて、子どもたちを1人にしないことは、至難の業です。対策として一般的に考えられているのが、付き添いや防犯ボランティアによる見守り、集団登下校などです。補完措置としては、防犯ブザーや携帯端末の携行、防犯カメラなどが挙げられます。
しかし、自由意思をもつ子どもたちは、1人になる機会を作り出します。では、町の住人全員が知り合いだったらどうでしょうか。あり得ない話ですが、1人になる機会は滅多になくなるはずです。つまり、子どもたちに知り合いを増やしてあげることが、1人になる機会を減らすことに繋がります。方法としては、買い物に同伴させる、立話しや井戸端会議に付きあわせるなどが考えられます。また、子どもの行動エリア内の商店やコンビニなどを優先して利用することも効果があり、最も重要なのが、挨拶などのコミュニケーションです。
商店主や従業員が、子どもの顔を覚え、声をかけてくれるようになると、その防犯効果は計り知れないものになります。また、この防犯効果は「被害者」にさせないだけではなく、同時に「加害者」にしない効果も期待できます。つまり、「非行防止」に繋がる方法でもあります。

誰にも迷惑をかけない自己完結型の対策(防犯ブザーや携帯端末の携行)も有効ですが、他人の善意に頼る対策(コミュニティの形成)は、子どもたちを凶悪な犯罪から守る、最も有効な手段と考えてください。

この記事を書いたプロ

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