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神田正範

犯罪に詳しく防犯を多角的に解説する対話型セミナー講師

神田正範(かんだまさのり)

犯罪予防研究所

コラム

通学路の防犯カメラがもたらす安全と危険

子どもの防犯

2015年3月14日 / 2015年3月15日更新


防犯カメラの役割と効果

近年、防犯カメラの普及には目覚しいものがあります。また、容疑者逮捕の有力な手がかりとなり、改めてその実力を実感します。

防犯カメラは、犯罪者が嫌う「人の目」を補完し、記録のできる道具として着目され、金融機関や店舗などを中心に普及してきました。昨今では、渋谷や新宿など繁華街へ設置して、犯罪抑制、検挙率向上と言った効果が表れています。また、主要道路の交差点では、交通事故の検証にも役立っています。
このような背景を基に、通学路へ防犯カメラを設置することが、各自治体で検討され始めました。昨年、大阪府箕面市で、市内の公立小中学校全20校の通学路に750台の防犯カメラを設置する具体的な計画が発表されました。東京都では、既に実施された地区もあり、効果の実証が待たれます。

犯罪の発生メカニズムと防犯対策

犯罪の発生には、「犯行を企てる者」「標的」「機会」の3要素が必要になることを「日常活動理論(ルーティンアクティビティ理論)」は唱えています。そして、犯行を企てる者に「犯行の機会」を与えないのが、防犯対策です。警察による検挙率の向上は、犯行を企てる者への威嚇になり「犯行の機会」を減らす効果があり、尽力する理由です。

防犯カメラは、防犯対策としての効果はどうでしょうか。設置して録画するだけでは、一定の効果は得られますが、過信することによって重大な事件を容認することになります。
つまり、防犯カメラと検挙率の向上が一対になって初めて大きな防犯効果が得られているのです。繁華街に設置された防犯カメラも、有志による防犯パトロールなどと相まって、その効果が得られていることにお気づきください。防犯カメラは「人の目」を補う道具であって、代わりを務めるものではありません。設置したことで安心してしまうと、犯罪者に「犯行の機会」を与えることになりますので、注意が必要です。

道具に頼らない防犯意識が大切

犯罪者が嫌う「人の目」とは、通報や逮捕など欲求を阻止されるものであり、抑えきれない強い欲求を持つ犯罪者には無力な場合があります。防犯カメラは、事実を捉えて記録する機能を有していても、その事実を私たちや警察に知らせるものではありませんので、留意しなければなりません。

防犯対策で最も重要なものは、「犯罪を未然に防ぐ」「犯罪行為を許さない」という明確な意思表示です。各地で、登下校の見守りや「保護者」「防犯ボランティア」などによる引率が行われています。このような活動が、明確な意思表示となり、「犯行を企てる者」への牽制になっています。また、子どもたちへの防犯教育は、教える側にも意識向上の効果があります。

防犯意識向上と意思表示、足りない部分を補う防犯カメラが揃って効果を発揮する防犯対策です。しかし、防犯カメラをはじめ、防犯ブザーやGPS付携帯などは防犯意識を補う道具であり、子供たちを守る道具ではないこと。子供たちを守るのは、子供たち自身の防犯意識とそれを見守る私たち大人の目であることを忘れないでください。

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