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井戸端会議は最強の防犯対策!?

2015年1月13日 公開 / 2015年2月10日更新

テーマ:住まいの防犯

コラムカテゴリ:くらし

井戸端会議

空き巣の意識調査からわかる盲点

みなさんは、井戸端会議をされていますか?警視庁の行った、検挙された空き巣犯の意識調査で、空き巣が犯行を諦めた理由が「近所の人に声を掛けられた、ジロジロ見られた」が最も多い回答でした。
つまり、声を掛けられたり、ジロジロ見られることは自分の顔を覚えられ、不審者として通報されてしまうと連想し、犯行におよばないということです。
住まいの防犯対策を考えるとき、ドアや窓の強化だけではなく、人の目を増やすことに重点をおくべき結果と言えます。

日常活動理論/Routine Activity Theory

井戸端会議とは、長屋のに住む女性たちが、共同井戸に集まり炊事や洗濯など水仕事をしながら、世間ばなしや噂ばなしに興じたことが語源になっています。当時は、庶民の情報伝達手段としても一役かっていたことが、思い浮かばれます。

古くから「女、三人揃ったら…」と賑やかな様子を表現し、男性の目からはムダなイメージが拭えませんが、空き巣を企む犯罪者にとってはとても嫌なことだったのです。核家族化が進む近年では、辻に集まり、談笑する女性たちの姿を見かけなくなりましたが、この様な町の風景は、犯罪者にとって好都合そのものです。
1970年代終わりに、アメリカの犯罪学者マーカス・フェルソンとローレンス・コーエンが「犯罪はまるで化学反応のように、一定条件がそろったときに発生する」と主張した、犯罪発生のメカニズム「日常活動理論」があります。一定の条件とは「動機づけられた犯行者」「適当な標的」「有能な監視者の欠如」の三つを指し、具体的には当時のアメリカ社会においてべビーブームで増加した人口が「動機づけられた犯行者」を増やし、女性の社会に進出に伴い、家事を効率化するための家電製品が「適当な標的」となり、女性の社会進出が昼間の留守家庭を増加させ「有能な監視者の欠如」に繋がって、犯罪が増加したと結論付けたものです。
みなさん如何でしょう、現代の日本でも同じことが言えないでしょうか。

防犯対策を考える前に知っておきたいこと

「日常活動理論」は、空き巣など侵入盗の増加を背景に考えられた理論ですが、三つの条件を原点に立ち戻って考えたとき、全ての犯罪に当てはまることに気づきます。
「動機づけられた犯行者」とは、欲望を満たしたいと感じる人物。「適当な標的」とは、欲望を満たすもの。そして「有能な監視者の欠如」は、無関心です。つまり、現代社会において犯罪が日常的に発生することは、いたってシンプルな現象であり、当たり前なことです。そして、防犯対策として犯罪者の抑制(犯罪者を厳しく罰する)や物を守る対策(犯罪者の攻撃に耐る強化)を講じるなど、犯罪者の更生や手加減に頼る手段が一般的で、言わば「犯罪発生のメカニズム」を無視した堂々巡りをしているに過ぎません。

冒頭に述べた犯罪者が嫌うものは、人の感心であり、コミュニティの促進が犯罪を企む者に犯罪行為をさせない、唯一の手段と言っても過言ではありません。
無関心という環境が、犯罪者に犯罪行為を促し、被害者を作り出しています。そして、自身の無関心が、犯罪者に犯罪行為を許していることにお気づきください。

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