コラム
凛としたヒト
2013年9月2日
友人のお母さんから、詩集をいただいた。
「あなたにあげようと思って」と、蔵書の中の1冊を。
茨木のり子さんの詩集だという。
「知ってる?」ときかれた。
詳しくはないけれど、好きな詩があるので、
「あの、凛とした詩のヒトですよね?」というと、
「そうそう、凛としてて、好きなのよ~」とおっしゃる。
「倚りかからず」茨木のり子著(筑摩書房)
事務所に戻って、パラパラと読んだ。
・・・思わず、背筋が伸びた。
「苦しみの日々 哀しみの日々」
「苦しみの日々
哀しみの日々
それはひとを少しは深くするだろう
わずか五ミリぐらいではあろうけれど
さなかには心臓も凍結
息をするのさえ難しいほどだが
なんとか通り抜けたとき はじめて気付く
あれはみずからを養うに足る時間であったと
少しずつ 少しずつ深くなってゆけば
やがては解るようになるだろう
人の痛みも 柘榴のような傷口も
わかったとてどうなるものでもないけれど
(わからないよりはいいだろう)
苦しみに負けて
哀しみにひしがれて
とげとげのサボテンと化してしまうのは
ごめんである
受けとめるしかない
折々の小さな棘や 病でさえも
はしゃぎや 浮かれのなかには
自己省察の要素は皆無なのだから」
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