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佐々木博一

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佐々木博一(ささきひろかず) / 墓石・終活カウンセラー

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コラム

墓じまいでよくあるトラブル!未然に防ぐには!?『菩提寺・業者』編

2021年2月14日 公開 / 2021年3月1日更新

コラムカテゴリ:冠婚葬祭

コラムキーワード: お墓お墓参り解体工事

前回は、墓じまいでよくあるトラブル!未然に防ぐには!?『身内・親族』編について、お話させていただきました。
今回は、『菩提寺』と『業者』にまつわるよくあるトラブルについてお話を進めて参ります。

最初に『菩提寺』とのよくあるトラブルについてお話をいたしますが、確認の意味も込めて、この『菩提寺』(ぼだいじ)の言葉の意味について簡単にご説明いたします。

一言でいうと先祖代々のお墓があるお寺、お墓が公営の墓地であったとしても、先祖代々のお位牌がある、又はご供養の時にいつもお世話になっているお寺を『菩提寺』といいます。

そのお寺にお世話になっている自分たちのことを『檀家』(だんか)といいます。

檀家と菩提寺の関係性を『檀家制度』といいます。『檀家制度』とは寺院が檀家の死者や先祖の供養一切を取り仕切る関係性のことです。
ですが、制度といっても言葉だけが名残として残っているようで、現在は法的な拘束力などは全くありません。

『檀家制度』についてはここではこのくらいにして、『檀家制度』の意味を踏まえながら、本題の菩提寺とのトラブルについてお話を進めたいと思います。

ご相談者からのご相談ご質問で、圧倒的に多いのは次のふたつになります。
①離檀(りだん)、離檀料(りだんりょう)について
②墓じまい後のお遺骨の処遇について     です。

では、①離檀、離檀料について、どの様なトラブルになったのか。私に相談にこられた実例をご紹介いたします。

ある方が身内の方々と相談をして、墓じまいをすることが決まりました。
菩提寺には永代供養が無かったため、墓じまいをしてくれる石材店の紹介で、他のお寺の永代供養に納めることになりました。
その後、菩提寺の住職に墓じまいのための魂抜きのお願いに伺った時のことだそうです。
墓じまいの理由や、永代供養のことなど説明をしたら、住職の顔色が変わってきて、離檀料として、100万円の請求をされたそうです。

そんな大金払えないし、どうしたらいいでしょうか?というご相談でした。

なぜ、このようなことが起きたのでしょうか?
そもそも、離檀するのにお金がかかるのでしょうか?

実際に檀家になる時に、契約書を取り交わしているお寺もあれば、申込書だけのお寺もあります。さらには、口頭だけで住所、氏名、連絡先だけの確認で、檀家になっているケースもあります。
まして、先祖からのことだから分からない。という方も多いでしょう。
仮に契約書を取り交わしていたとして、そこには離檀、離檀料については明記されていることはほとんどありません。
さらにいうと、そもそも離檀料は、お寺とのお付き合いが終わるまで、お世話になった感謝の気持ちを表した「お布施」になるので、お寺から金額を指定されること自体がどうかと思います。

とはいえ、いきなり高額な離檀料を請求されるとびっくりしますよね。

先ほどの実例のケースには、実は過去のお寺とのお付き合いが影響していたのです。

よくよくお話を聞いてみると、実は何年もお墓参りにもお寺にも行っておらず、お寺の行事の案内が来ても、どうせ参加しないからと、返信もしないことがほとんどだったそうです。
年回忌の法要もやっていなかったと、ご相談者は打ち明けてくれました。

後日、そのお寺の住職とお話をさせていただく機会に恵まれました。

住職が言うには、先祖供養をおろそかにしているというお話から始まりましたが、最後に、こんなことをおっしゃっていました。
長年先祖供養に携わってきた菩提寺の住職には一言の相談もなく、石屋や世話にもなってもいないお寺と話を進めたことに、腹をたてたとのことでした。
墓じまいに関して、最終的に同じ結果になったとしても、話す順序、話す相手は、お世話になってきている菩提寺が最優先だというお考えのようでした。

結論を言うと、住職も「人」だということです。気分を概してしまうと、心にもないことを言ってしまうこともあるということです。
面倒くさいとお思いの方も多いかもしれませんが、皆さんはどう思われますでしょうか。

この実例の結末は、再度改めて住職に相談させていただいて、墓じまいの方向は変わらず、離檀料としてではなく、お礼のお気持ちで「お布施」という形で収まりました。

住職によって、またその住職の世代によっては、考え方は違うと思いますが、先祖供養への向き合い方や、先祖が代々お世話になってきている『菩提寺』という存在をないがしろにしないことが、トラブルを未然に防ぐことに結局はなるのだと思います。

そしてふたつ目のトラブルの要因として挙げられるのは、
②墓じまい後のお遺骨の処遇についてです。

どういうことかというと、菩提寺の住職に墓じまいや離檀のご相談に伺った際に、必ずといっていいほど住職から聞かれることがあります。
それは、墓じまいした後に、「現在埋葬されている遺骨はどこに埋葬することになっていますか?」ということです。

例えば、永代供養、海洋散骨、実家の墓地、手元供養など、現在は多種多様なご供養の方法がありますが、トラブルになるケースが最も多いと感じるのは、海洋散骨のようです。

これも、お寺や住職のお考えによっては違いますし、海洋散骨を快くご理解されているケースも沢山あります。

何故、住職によっては海洋散骨を毛嫌いするのか。それは宗教的な考え方からのようです。
散骨をする際に必要となるのは「粉骨」(遺骨をパウダー状に細かく粉砕すること)です。
粉骨すること、つまり遺骨を砕くという行為に異議を唱えていることが多いようです。

また、散骨は、手を掌わせる対象(お墓など)がない、との理由から、快く思っていない住職もおられます。

立場や視点を変えると、良いことにもそうでないことにも捉えられるようです。

では、お寺に相談に行った際にはどのような対応をしたらよいのか。

嘘を言ったり、隠したりということではけしてないのですが、住職に聞かれたときに、「身内、親族と現在相談中です。」とお答えするだけでいいのです。「しばらくは家に置いておきたいと思います。」と付け加えてもいいと思います。

ご相談に伺った時は、離檀を認めてもらうこと、魂抜きをしていただくことが大切な要件になりますので、まずそこをスムーズに承知していただくことで次へ進めることになります。

ご先祖からお世話になってきていることなどを理解して、また職業と言ってしまえばそれまでですが、住職も私たちと同じ感情を持った「人」ですから、ご先祖様への感謝と、人としての気遣いを怠らなけらば、トラブルは起きないのではないかと思います。

最後に『業者』にまつわるトラブルについてお話させていただきます。

支払いや費用、つまり代金についてのトラブルです。墓じまいが終わって支払の時に、聞いていた金額より多く請求されたというものです。

これを回避する方法は、
①現地(墓地)を必ずみてもらう
②書面で見積書を出してもらう     これしかありません!

以前、お墓を建てていただいた業者であっても、その当時と現在の墓地の様子が変わっている場合があります。当時墓地に無かった階段ができていたり、何も無かった周りにお墓がどんどん建っていたり。墓地の状況によっては使用する機械や、かかる日数に違いがあります。
また、墓石の大きさ、使用している石の量、墓地の面積など、見積りには大きく影響します。

こんな実例があります。
墓じまいをしようと決意したお客様。以前作っていただいた業者に連絡をして、電話で金額の提示を受けました。業者が言うには「以前作った時の図面もあるし、墓地もわかります。当社で作られたお客様ですから、30万円でやります。」とのことでした。

ですが、友人からのアドバイスもあり、別の2社に見積もりをとっていただいたそうです。
もちろん、現地も案内して墓地も確認してもらったそうです。
A社は35万円、B社は38万円と見積もりが出たそうです。
結局、当時作ってもらった業者が一番安いということで、電話で依頼(発注)しました。
ところが、終わって請求書が届いたら、請求金額が44万円だったそうです。

話が違うって思いますよね。

業者の営業マンが言うには、作業当日現地に行ったら、墓地に階段ができていたり、周りに複数のお墓が建っていたので、日数も人手も機械も多くかかってしまったから。という理由だったそうです。お客様は納得がいかず、交渉した結果40万円のお支払いをしたそうです。

結局はA社、B社の方が安かった、という結末です。

墓じまいは、墓じまいしてくれる業者、菩提寺、遺骨の移転先(別のお寺、永代供養、海洋散骨など)など、複数の関係者が関わり、費用もかかります。話し合いによっては、その費用の一部を身内や親族の方も手伝ってくれる場合もあります。

墓じまいはお墓を解体整理することだけではありません。
その後の遺骨の対応までが、墓じまいなのです。
身内をはじめ、お世話になった方や大切な方々が携わります。
自分のこととしてだけはなく、周りの方々のご理解と協力を得て、今後墓じまいをとお考えの方は進めていっていただきたいと思います。

「墓じまい」ってどうしたらいいの? https://youtu.be/Toz52JX5BDQ
お墓総合サポートサービス http://ohakasupport.com/

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