うちのつくり方13 ~余談~
その③ 将来、リフォームしやすいことを考えて
③-4 将来リフォームできるために~うちのつくり方~
まちの大工さんでは材料を一般の材木店や建材店から仕入れて、加工場で職人が材料を一本一本加工して現場に搬入して組み立てています。加工場で使う機械も職人が一人か二人で操作できる簡単な機械です。コンピューターで管理して材料を加工していません。天然の木材を構造材として加工しているため、木によって癖があり、それを見て一本一本加工するため、全て機械に頼らない方がいいのです。加工した材料を搬入し、構造材を組上げ、仕上げ材の外装・内装を張る。ほとんど現場で1つずつ部材を組んでいますから、将来、逆の事をすれば必ずリフォームできます。災害等で被害があっても、修理、補修ができるように現場作業を減らしていない造り方をしているのです。
私の代になって、私の父がつくった家のリフォームに行くとお施主さんにこんな風に言われます。
「お父さんがちゃんと造ってくれたから、悪くならない」
「もっと壊れるようにつくらないと仕事がなくなるぞ」
と皮肉も言われます。どのお客さんもつくっていた時に見ていたのです。ですから、大事に使ってくれるのです。
おじいさんやお父さんが苦労して建てたから建て替えではなく、リフォームしたいという話を聞いた事があります。リフォームした理由は、自分の家を建てた時の苦労話や家への思い(愛着)を家族に伝えたからです。家に愛着があったのは、人(職人)がつくっているところを毎日見て、「今日は壁ができた、明日クロスを貼るな・・・」とお施主さんも自分の家つくりに参加していたからではないでしょうか?職人も施主の希望に応え、一生懸命につくった、そこに物語できたからです。お施主さんと建てた職人が、自分の家づくりの物語の主人公なのです。
工事中に鍵を渡さない、基礎の段階で内装の色まで決めてしまっては、施主は物語に参加できません。建築業者が「図面通りにつくった」で話が終わってしまうからです。
次回は、『まとめ』です。