【解決事例】デリヘル利用中の行為を巡り「不同意性交等罪」を主張され500万円請求→80万円で解決した事例
この記事は、風俗店やメンズエステなどを利用した側が、店や女性から金銭を求められた場面を想定しています。記事中の金額は説明のための仮の数字であり、実際の示談金や弁護士費用は、事案の内容や依頼する事務所の料金体系によって変わります。
風俗トラブルで店から金銭を求められたとき、「弁護士に頼むと費用がかかるのなら、言われた額を払ったほうが安く済むのではないか」と考える方は少なくありません。とはいえ、請求額そのものが妥当かどうか分からないまま、手元の資金だけを頼りに判断するのは難しいところです。
見込んでおくべき金額は、相手方に支払う示談金と、弁護士に支払う費用の合計です。ただ、この2つは決まり方も支払う時期も異なるため、最初から一つの数字で示すことはできません。この記事では、合計額を「上限と下限の幅」で見積もる手順と、その際に確かめておきたい点を整理します。
合計に入るお金は、行き先の違う2種類
まず、出ていくお金を行き先で分けておくと整理しやすくなります。示談金は、トラブルの相手方である店や女性本人に支払う、解決のためのお金です。弁護士費用は、交渉や手続を依頼した弁護士に支払う対価です。
| 費目 | 支払う相手 | 決まり方 | 支払う時期の目安 |
|---|---|---|---|
| 示談金 | 店・女性本人 | 相手方との交渉で合意した額 | 合意書を交わした後 |
| 相談料 | 弁護士 | 事務所ごとの定め(無料とする事務所もある) | 相談時 |
| 着手金 | 弁護士 | 依頼の内容に応じて事務所が定める額 | 依頼時 |
| 報酬金 | 弁護士 | 解決の結果に応じて計算する額 | 解決時 |
| 日当・実費 | 弁護士 | 出張の有無、郵送費・交通費など | 事務所の定めによる |
このうち、依頼の時点で金額が確定するのは主に着手金です。示談金と報酬金は交渉の結果によって動くため、合計額を一つに決めにくいのはこの部分があるからです。各費目の意味は、弁護士費用の内訳|相談料・着手金・報酬金・実費・日当・手数料で詳しく説明しています。
示談金の見込み額は、請求された額とは切り離して考える
店から告げられた金額は交渉の出発点であり、その額を支払うことが決まったわけではありません。店のルールとして示される「罰金」や「迷惑料」は、それだけで客に支払義務が生じるとは限らず、風俗店が利用者に求めた迷惑料について支払義務を否定した裁判例(東京地方裁判所平成29年2月28日判決)もあります。
示談金の水準を左右するのは、主に次のような事情です。
- 行為の内容と、事実関係に争いがあるかどうか。
- けがや体調不良の有無と、それを裏づける資料の有無。
- 撮影データなど、削除や回収が必要なものの有無。
- 被害届が出ているか、警察が関わっているか。
- 請求している相手が誰で、本人確認ができるかどうか。
当事務所が扱った事案にも、店から告げられた額と、最終的に合意した額が大きく異なったものがあります。
- 【解決事例】性風俗店から本番行為の罰金100万円を請求された|弁護士の介入により請求額を20万円へ減額した事例
- 【解決事例】風俗店のルールとして告げられた「罰金50万円」|金額の妥当性を協議し示談金10万円で解決
- 【解決事例】メンズエステで「被害届か示談か」と迫られ約27万円の支払いを約束|受任通知で請求が止まり支払わずに終結
もっとも、これらは個々の事情のもとでの結果であり、同じような請求であれば同じ金額になるということを示すものではありません。提示された額をどう検証するかは、示談金の水準をどう判断するか|提示額を検証する4つの視点もあわせてご覧ください。
合計額を「幅」で見積もる手順
示談金が交渉で動く以上、合計額も一点ではなく幅で考えるのが現実的です。次の順に整理すると、見通しを立てやすくなります。
- 請求の内容と金額、相手方とのやり取りや書面を手元にそろえます。
- 示談金について、合意に至りうる低めの額と高めの額の2つを想定します。
- 弁護士に見積もりを求め、着手金と報酬金の計算方法を確認します。
- 日当や実費が別に生じるか、刑事手続に進んだ場合に費用が加わるかを確認します。
- 低めの想定と高めの想定のそれぞれについて、示談金と弁護士費用を足し合わせます。
上限と下限の2本で考えておくと、資金の準備や、依頼するかどうかの判断がしやすくなります。2つ目の示談金の幅は、ご自身だけで見立てるのが難しい部分なので、相談の段階で弁護士と一緒に検討するのが一つの方法です。
報酬金の数え方で合計が変わる
報酬金の決め方は事務所によって異なります。請求額から減らせた額(経済的利益)に一定の割合をかける方式、示談が成立したときに定まった額を支払う方式、両者を組み合わせた方式などがあります。
減らせた額に割合をかける方式では、何を「当初の請求額」とみるかによって報酬金が変わります。店が連絡のたびに金額を変えているような場合は、どの金額を基準にするのかを見積もりの段階で確かめておくと、後の行き違いを防ぎやすくなります。
仮の数字で計算してみる
ここでは、説明のために架空の料金体系(着手金20万円、報酬金は減らせた額の10%、実費1万円)を置き、店から100万円を請求された場面を考えます。当事務所の料金を示すものではありません。
| 想定 | 示談金 | 報酬金 | 着手金と実費 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 支払いなしで終了した場合 | 0円 | 10万円 | 21万円 | 31万円 |
| 30万円で合意した場合 | 30万円 | 7万円 | 21万円 | 58万円 |
| 50万円で合意した場合 | 50万円 | 5万円 | 21万円 | 76万円 |
この例では、合計はおおむね31万円から76万円の幅に収まります。一方で、請求額がもともと小さい場合は事情が変わります。たとえば請求が15万円であれば、着手金だけで請求額を上回ることも考えられます。こうした場面の見分け方は、費用倒れとは何か|依頼前に見分ける判断材料で触れています。
警察が関わっている場合は、費用の組み立てが変わる
女性が被害届を出した、警察から連絡が来たといった場合は、店との金銭の交渉にとどまらず、刑事事件としての弁護活動が中心になります。この場合の弁護士費用は、起訴前と起訴後で着手金が分かれていたり、警察署での面会(接見)ごとに費用が生じたりする体系が多く見られます。
示談金の意味合いも変わります。被害の弁償に加えて、許す意思(宥恕)や被害届の取下げを合意に含めるかどうかが問題になるため、金額の考え方が店からの請求への対応とは異なってきます。不同意性交等罪のように法定刑の重い罪名が問題になる場面では、示談が成立するかどうかがその後の処分に影響することがあります。
店からの請求の段階で依頼し、その後に警察が関わることになった場合に、追加の費用が生じるかどうかも事務所によって異なります。見積もりの際に、この点まで確認しておくと安心です。処分の種類ごとの違いは略式起訴・罰金・執行猶予・実刑の違い|風俗トラブルで想定される処分、示談の位置づけは風俗の性犯罪で前科をつけない|不起訴処分を得るための示談の重要性で解説しています。
金額の比較だけでは見えにくいもの
合計額が、言われた金額をそのまま払う場合を上回ることもあります。それでも弁護士への依頼を選ぶ方がいるのは、金額以外の部分に違いが出ることがあるためです。
一つは、支払った後の追加請求への備えです。示談書に清算条項や接触禁止の定めがないまま支払うと、後になって別の名目で請求が続くことがあります。当事務所でも、【解決事例】「警察に話す」と迫られ示談金100万円を支払った後、250万円の追加請求を支払いゼロで解決した事例を扱いました。示談書に入れておきたい条項は、風俗トラブルの示談書に必ず入れる6条項|抜けると後で効かないで整理しています。
もう一つは、支払う相手の確認です。店の関係者を名乗る人物に支払ったものの、女性本人との関係では何も解決していなかったという事態も起こりえます。この点は【風俗トラブル】支払った後に相手が別人だと分かった|本人確認をしない示談の危うさをご覧ください。
このほか、やり取りの窓口を弁護士に移すことで、勤務先や家族への連絡を避けられる場合もあります。ただし、相手方がどう対応するかにも左右されるため、どの事案でも同じ結果になるとは限りません。
支払いの段取りと資金の準備
示談金は、合意書の内容が固まってから支払うのが基本です。「今日中に払えば終わる」と急かされても、その場で全額を用意しなければならないわけではありません。支払いのためにお金を借りようとしている場合は、【風俗トラブル】請求を払うために借金をしようとしている|借りる前に考えることも参考にしてください。
一括での支払いが難しい場合は、示談金の分割を相手方と協議する余地があります。分割で合意する際の注意点は【風俗トラブル】分割払いの示談に応じる場合|風俗トラブル固有の注意点にまとめています。弁護士費用についても、分割払いや支払時期の調整に応じる事務所があり、弁護士費用が払えないときの選択肢|分割・法テラス・着手金の考え方で選択肢を紹介しています。
合計額の上限と下限が見えていれば、いつまでにいくらを用意すればよいかを逆算できます。着手金、示談金、報酬金は支払う時期がずれることが多いため、全額を最初にそろえる必要があるとは限りません。
見積もりで確かめておきたいこと
弁護士に費用を尋ねる際は、次の点を確認しておくと、合計額を見誤りにくくなります。
- 着手金の額と、途中で終了した場合の扱い。
- 報酬金の計算方法と、基準となる「当初の請求額」の範囲。
- 日当や交通費が別にかかるかどうか。
- 警察が関わることになった場合に加わる費用。
- 支払いの時期と、分割の可否。
- 示談金を相手方へ渡す方法と、受領書の受け取り方。
見積書の確認の観点は見積書のどこを見るか|風俗トラブルの弁護士費用の確認項目、示談金の受け渡しの方法は示談金の渡し方|振込名義・領収・受領証で残すべきもの、費用の全体像は風俗トラブルを弁護士に依頼した場合の費用相場と流れで詳しく取り上げています。
よくあるご質問
弁護士費用を相手方に負担させることはできますか
示談交渉のために依頼した弁護士の費用は、それぞれが自分で負担するのが原則です。反対に、相手方から「こちらの弁護士費用も払うように」と求められた場合も、それだけで当然に応じなければならないものではありません。ただし、交渉の結果として、ある費目を含めた金額で合意するということはありえます。
弁護士に依頼すれば、合計は必ず請求額より少なくなりますか
必ずそうなるとは限りません。請求額の大きさや事実関係、相手方の姿勢によっては、合計が請求額を上回ることもあります。見積もりと見通しを確認したうえで、依頼するかどうかを判断していただくのがよいと考えます。
示談金と弁護士費用は、いつまでにまとめて用意すればよいですか
多くの場合、着手金は依頼時、示談金は合意後、報酬金は解決時と、支払う時期が分かれます。どの順番でいくらが必要になるのかを依頼前に確認しておくと、資金の準備が立てやすくなります。
示談金と弁護士費用の合計は、請求額の大きさ、事実関係の争いの有無、警察の関与、依頼する事務所の料金体系によって大きく変わります。言われた金額を払うか、弁護士に依頼するかを比べる前に、まず合計を上限と下限の幅で見積もり、そのうえで金額以外の違いも含めて判断することをおすすめします。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
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