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  1. 台風で庭木が傾いたり倒れたりするのは、樹種や剪定方法、土壌環境が関係しています
島田英泰

自然を利用して景観の美しさと生活の質を高める庭師

島田英泰(しまだひでやす) / 造園業

緑生環

コラム

台風で庭木が傾いたり倒れたりするのは、樹種や剪定方法、土壌環境が関係しています

2019年9月19日 公開 / 2020年1月10日更新

テーマ:植栽

コラムカテゴリ:住宅・建物

コラムキーワード: 剪定

台風で倒れやすい樹種

今年も台風で庭木が傾いた、倒れた、という報告がありました。
最近の台風は大型が多いため、このような被害も多くなっているように感じています。

庭木の場合は、台風で傾いたり倒れたりする樹種が概ね決まっています。
その樹種は、コニファー類、カイズカイブキ、ハナミズキ、オリーブ、レッドロビン、ミモザ、などです。
これらは、私の経験上では根の張りが弱く、台風の強風に耐えられないように思います。
外国から輸入された樹種なので、気候や環境への適性が微妙に合っていないのかもしれません。
台風での傾斜

剪定の方法によっては、倒木の危険性が増す?

倒木しないように剪定で樹木の大きさを縮小させて強風の影響を緩和させることは有効です。
ただ、極端に縮小させる剪定は逆効果になります。例えば、ぶつ切りのような枝葉を多く切り取る剪定は根の成長を悪くし、幹や大枝が腐朽して芯の空洞化を引き起こすので、かえって倒木や折損の可能性を高めることになります。
また、刈込剪定を続けると風通しの悪い樹形になるので風圧の影響が増し、さらに刈込剪定によって根の成長が悪くなるので倒木しやすくなります。これは、特にコニファー類やカイズカイブキなどによく見られます。
このように、剪定方法が倒木の原因を引き起こすことがあります。

根の健全な成長が倒木を防ぐ

根の成長が悪い生育環境では倒木の危険性が高くなります。例えば、街路樹のような土壌面積が狭く、そして土壌の通気透水性が悪い植栽地などは根が十分に発達できない場合があります。この他、稀に植木にフェルト素材のポットを着けたまま植栽されているケースがあり、フェルト素材は腐らないために根が広く張ることができず、倒木する結果を招いています。

台風でも倒れにくい樹種

一方で、台風でも被害報告が少ない樹種があります。
その樹種は、ヤマボウシ、カシ類(シラカシ)、モチノキ、ツバキ、などの地域の里山や森林に生えている樹種です。特にカシ類は防風林として利用されるほど強靭です。この他、在来種ではないですがキンモクセイなども少ないと思います。
私の観察では、これらの樹種は根の張りが強く、枝の折損も少ないです。関東の気候に適合しているからかもしれません。ただ、重要な病害(根腐病など)や樹形の構造的な欠陥(入り皮など)がある場合は修正する必要があります

ケヤキは地域の緑地に生える代表的な樹種で、とても根の張りが良好ですが、剪定管理でぶつ切りされているケースや街路樹のような狭小な土壌面積で根を張るスペースが少ないケースが多く、街路樹のケヤキが倒木したという報告を聞くことがあります。また、ケヤキは「入り皮」という樹形の構造的な欠陥がよく発生するため、樹形を修正する剪定管理が重要です。

まとめ

台風での被害を減らすためには、根の張りが強い樹種を植栽すること、剪定ではぶつ切りや刈込をしないこと、植栽の際は土壌改良などを施して根が十分に成長できるようにすること、樹形の構造的な欠陥を修正する剪定を行うこと、重要な病害を見つけたときは適切な処置を行うことだと考えています。


最近では、台風での倒木や枝折れを減らすことを目的とした剪定方法が開発されました。その剪定方法は「Structural Pruning」です。樹木は台風の暴風を緩和する防風林の役割を果たすので、Structural Pruningを使用して大型の台風から生活環境を守ることができると考えています。
沖縄では「フクギ並木」が防風林の役割を果たし、台風から家屋を守り続けています。
フクギ並木

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緑生環
代表 島田 英泰
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