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安東隆司

海外ETF・相続専門家の資産運用管理コンサル、RIA

安東隆司(あんどうりゅうじ)

おカネ学株式会社 Reliable Investment Advisors Japan Co.,Ltd(英文名称 略称 RIA JAPAN)

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コラム

iDeCoの投信選びの注意点 サイト表示のコストより高くなるケースとは?

iDeCo 個人型確定拠出年金

2017年11月28日 / 2018年9月4日更新

iDeCoの投信で保有コストがサイト表示の約0.9%だと思っていたら、実際には約1.3%の顧客のコスト負担となるケースがありました。知っていると得をしますが、知らない投資家は結果的に、高いコストを負担する結果になるかもしれません。



■「信託報酬」と「信託報酬等」には大きな違いがある場合も


iDeCoのラインナップ中の、あるバランス型ファンドでコスト表示に差異が発生しています。バランス型ファンドとは、株式や債券といった様々なアセット(資産)クラスを、あらかじめ組み合わせたファンド(投資信託)です。バランス型ファンドのコストの合計は ①信託報酬 ②管理報酬等、となります。この①と②に、その他の費用を含んだものを ③「信託報酬等」といいます。このコスト構造を知っているとトクすることがあります。

■なぜ、「約0.40%」のコストの差異が発生するのか?


ある金融機関(Aとします)では、このバランス型ファンドのコストは次のようになっていました。

A社 「約0.9%(①信託報酬)+ 約0.4%(②管理報酬等) =約1.3%(③信託報酬等)」 

この金融機関Aは、公表しているデータとして、①信託報酬の約0.9%を信託報酬(税込)として公表しています。

複数のiDeCoサイトでは、このAからのデータをそのまま掲載しているために、このバランス型ファンドのコストは「約0.9%」と表示されています。しかし、実際には、「管理報酬等」として、ファンドの組み合わせを変えたりする(ラップコストと思われる)費用で「約0.4%」が別建てで掛かっています。実際のコストは③の信託報酬等で約1.3%です。

■複数のサイトに「信託報酬のみ」が記載


筆者は独立系で中立な立場で、iDeCoの金融機関の低コストの投信の調査をしていました。その調査の過程でこの事象に気付きました。iDeCoの商品を比較したサイトのほとんどが、金融機関Aのデータをそのまま記載しています。結果として、このバランス型ファンドのコストを「約0.9%」と記載しています。国民年金基金連合会が運営する、信頼性の高い「iDeCo公式サイト」もこのデータでした。

■「プロ」と「一般投資家」には、金融ケイパビリティの差がある


筆者は金融という分野は、プロがその気になれば、知識のない投資家を「誤解させる」ことが可能な分野だと思っています。金融を学ぶ知識が少ない一般投資家が知らない事柄で、販売者の「いいなり」になって高い買い物をさせられていることは多くあるのです。金融を使いこなすチカラ、「金融ケイパビリティ」が日本の投資家は不足していると考えています。

金融業界で、「情報の非対称性(=情報格差)」という言葉があります。「欠陥がある」か「欠陥が無い」かを中古車市場では見分けずらいのです。販売者側は問題点を知り、購入者側は欠陥を十分に把握できない場合があります。金融商品も同じく情報格差が生じやすいのです。

■「プロ」は一般投資家に寄り添った「顧客本位」の運営を


金融機関Aとしては、「実際に信託報酬は約0.9%で、信託報酬等ではない」との主張も可能です。間違ってはいませんが、「顧客本位か?」といえば疑問符が付きます。

というのは、別の金融機関Bの、バランス型ファンドのコストは以下でした。

B社 「約0.8%(①信託報酬)+約0.8%(②管理報酬等)=約1.6%(③信託報酬等)

金融機関Bは、公表しているデータとして、「③信託報酬等」の約1.6%を信託報酬(税込)として公表しています。金融機関Bの方が「お客様」にとって、実際のコストがわかりやすい表示をしているのです。

■販売者全員が「プロ」とは限らない


このケースでいえば、ほとんどの投資家はもちろん、その金融機関に勤務している担当者ですら、このコスト構造を十分理解していなかったと考えています。実はこの事象を発見した時に、筆者は金融機関Aに連絡をし、「0.4%の違いは何ですか?」と質問し、「顧客本位のコスト開示とは言えないのでは?」と意見した経緯があるのです。

応対した担当者は、マニュアル通りに業務をこなしているだけで、コスト構造の内容を理解していませんでした。応対には時間がかかった経緯があり、おそらく筆者の質問や意見は上司には報告されていたと思われます。しかし時間が経過しても未だ修正されていません。販売者が理解していなかった上に、その上司も意見の重要性に気付いていないと思われます。金融機関の全ての担当者が金融商品に精通しているわけではないのです。面識のない筆者の言葉よりも「本部の施策」を信じてしまった事例と考えられます。

■「顧客本位」は評価されるのか


最も残念なのは、各比較サイトへの提出データ書類を作成したA社の担当者です。作成者は「顧客本位に立てば、信託報酬等の高いコストを開示すべき」と、うすうす理解しているはずだと思うのです。「相手は素人だから、きっと気付くまい」との考えであったとすれば、職業倫理上で改善の余地があると思います。あるいは「気付かなかった」とすれば、プロの担当者としては知識不足でこれも改善の余地があると思います。B社は実際のコストを開示しているのです。これが顧客本位だと思うのです。多くの場合、金融機関ではセールスが優先されて顧客本位であることでは評価を受けにくいのです。これは氷山の一角で「顧客本位」といえない事柄は他にも存在しています。

安東隆司(あんどう・りゅうじ)
RIA JAPANおカネ学株式会社代表取締役。CFP®ファイナンシャル・プランナー、元プライベート・バンカー。日米欧の銀行・証券・信託銀行に26年勤務後、独立。お客様サイドに立った助言を実践するためには高い手数料は弊害と考え、証券関連の手数料を受け取らない内閣総理大臣登録の「投資助言業」を経営。著書に個人型確定拠出年金iDeCo プロの運用教えてあげる!などがある

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