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稲盛和夫氏『アメーバ経営』の誤解、今こそ企業哲学の問い直しを

2022年9月4日

テーマ:経営の基本

コラムカテゴリ:ビジネス

こんにちは、中小企業診断士の鈴木崇史です。

今日は8月24日にお亡くなりになった稲盛和夫氏の思い出について述べたいと思います。

残念ながら直接お会いしたことはありません。
私の書棚には『アメーバ経営』『考え方』『稲盛和夫経営講演選集』など
複数の書籍で勉強させていただきました。

稲盛氏を新聞などが説明する際には肩書の他に「『アメーバ経営』の著者」と紹介されます。

アメーバ経営は一般的にこう説明される

アメーバ経営とは、稲盛和夫が会社に経営していく中で、自らの経営哲学を実現していくために独自に創り出した、小集団独立採算制度の経営手法のことです。(京セラHPより)

小集団独立採算制度は本当にそんなにいいものなのでしょうか?
私が2008年に入社した北洋銀行では、もちろん店舗独立採算制度が用いられていました。
その結果、だれもが自分の店舗の利益しか見なくなります。

こんな仕組みの何がいいのか・・・当時の私は疑問を感じ初めて『アメーバ経営』を読みました。
その結果、先述の京セラHPの説明はいかに表層的かわかりました。

なぜ小集団独立採算制で部門間の横の連携や、全社への貢献意欲が湧くのか?
それは小集団独立採算制を行う前提として理念・哲学(フィロソフィー)の浸透があるからです。

理念の浸透 → 独立採算制の採用 の順なのです。
この点をもっと強調しなくては行けません。

一方で9月3日日経新聞のネット記事では「稲盛氏が編み出したアメーバ経営は末端組織にも経営マインドを持たせつつ、過度な部門間競争を抑えて全体の成長を目指すもの。社員に企業倫理や社会貢献の意識を浸透することがカギを握ります。」と述べられ、正しいとらえ方が一般化されてきたと思います。

多くの企業で理念・ビジョン・ミッション・パーパスなど言葉は違えども
経営者の想いを文字化したものを持っています。

そして理念の浸透が難しい、社員に理念を理解させるにはどうしたらいいかと悩んでいます。

しかし、本当にボールは社員の側にあるのでしょうか?

経営者自身が文章にした理念を本当に腹落ちしているのでしょうか?

社員から見て矛盾を感じるところはないでしょうか?

理念と部門目標
理念と個人目標
理念と商品ラインナップ
理念と人事制度
理念とボーナス制度



そこに矛盾はないでしょうか?
社員から理念に関する質問を受けて答えきれるでしょうか?

経営者の方は、ボールは自分の側にあると仮定して、一度問い直してみてはいかがでしょうか?

この記事を書いたプロ

鈴木崇史

起業・融資・補助金・事業承継の認定専門家

鈴木崇史(合同会社SDGs経営サポート)

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