コラム
難関校のセンター試験
2016年1月22日 公開 / 2016年1月23日更新
大学入試センター試験が終わりました。
今年も多くのドラマが生まれました。
本年度、当館からの大学受験生は15名ほどでしたが、その内、富山中部高校の生徒さんは4名でした。
世間では、難関校の中部高校生って「良く勉強が出来る」と思っておられるのではないかと思います。
確かに中には「良く出来る」方もいらっしゃいます。
しかし、あたら難関校に入ったばかりに呻吟し苦しんでいる生徒さんも少なくありません。
いや、むしろその方が多いと言っていいかもしれません。
中部高校に入るくらいの生徒さんは中学校ではどなたも優秀です。
学年で1桁とか10番とかそんな順位の人たちです。
しかし、各中学校の1桁の人たちばかりが集まってくるのです。
その中で抜きん出るのは並大抵のことではありません。
280名の中部高校生がいるということは200番の人も280番の人もいるということです。
今まで10番だった人が200番とかになった屈辱は看過できない心の傷になるものです。
当館には、すっかり自信を失くし、笑顔を忘れ、うつむいてしまった中部高校生がよくいらっしゃいます。
ご本人はもとより、そういう姿を間近で見ている親御さんの辛さ・苦しみも胸が張り裂けんばかりに大きなものがあります。
しかし、そもそも中部高校に受かるくらいの生徒さんは持って生まれた才能には豊かなものがあります。
洪水に飲み込まれるように自らを見失い、逃れ出る方法も分からず、ただ自信のみを失ってしまった生徒さん。
当館で二人三脚の新たな取り組みを行なう中で徐々に笑顔が戻ってきます。
以下はそうした生徒さんのお一人であるA君から頂いたメールです。
去年の今頃でした。
「受験までのこの1年もあっという間に過ぎるんだろうなと感じました。
先生のおかげで、諦めかけていた大学への光が見えてきました。」
言葉に胸が詰まりました。
大変に優秀な生徒さんです。
目がさめるような傑出した才能をお持ちです。
でも、そんなに優秀な方が「諦めかけた」と言わねばならないまでに追い詰められていたことが不憫でなりません。
私の返信です。
「へー
諦めていたんですか。
あなたのように優秀な人が??
それは甚だしい勘違いです。
例えば今のメール文もとても文才にあふれた素敵な文面です。
持って生まれた言語能力の高さや育った環境の豊かさを感じます。
日頃の学習においても同様です。
ちょっとした言葉の端々や取り組む姿勢、出てくる結果など様々な面に優秀さを感じます。
自信と信念を持って歩き続けて下さい。
きっと結果がついてきます。」
「大学を諦めかけた」A君は今般のセンター試験で183点を取りました。
堂々の9割超えです。
どん底から這い上がったB君は苦しい時代が続きました。
彼は当館にお出でになった当初は全く何も分からないレベルでした。
世間の人は、分からないと言っても中部高校なんだからそれなりにはできるだろう、と思われるかもしれません。
決してそうではありません。
あえて述べますが、中部高校の底辺層は想像を絶するほどの成績不振に陥っています。
彼はこちらへ来られてからも中々結果は伴いませんでした。
しかし、気迫と根性には眼を見張るものがありました。
ぶん投げられても蹴り倒されても起き上がって食らいついてくる根性を持っていました。
今のふがいない自分を何としてでも乗り越えたいという鬼気迫る思いがひしひしと伝わってくるのです。
「才能だけを言えば君より優秀な人はいる、しかし、なんとかしようとする気迫と根性は君が過去最高だ」
と彼に言ったことがあります。
「そういう努力はきっと報われるものだよ」とも言いました。
彼はセンター本試で174点でした。
見事なハイスコアです。
「自分でもびっくりした」と述べた彼の言葉は無から生じたものではありません。
あの血の滲むような努力から生まれた必然なのです。
Cさんは早くに入校のお問い合わせを頂いていたのですが、空き枠が無く、高3の途中から入った頂いた生徒さんです。
英語が苦手ということでしたが最初の授業をご一緒して驚きました。
素晴らしい才能のきらめきを感じたのです。
「優秀さが服を着て歩いている」級です。
しかし、ご本人はとても自信がなさそうな様子でした。
この日、私が送ったメールです。
「本日はお疲れ様でした。
Cさんは高度な理解力とひたむきな向学心を併せ持った極めて優秀な生徒さんです。
特に、生まれ持った言語センスに非凡なものがあります。
何気ない言葉の端々に機微を感じ取る度量や新たな発見に感動する受容力、
どれを取っても大変に優秀です。
自信をつけさせるために褒めたのではありません。
素晴らしい才能のきらめきを随所に発見し、その感動を素直に表現しました。
Cさんはアンダーアチーバーだと思います。
持っている才能に対して結果が低く出ている状態です。
結果が低いゆえに自信をなくし、自らの才能に疑念を持っているのかもしれません。
しかし、それは大いなる勘違いです。
Cさんは相当に優秀です。
見違えるような英語の達人になります。
何より大切なことは自分に自信を持つこと。
できないと思ってうつむいたら本当にできなくなります。
「自分は優秀なんだ!」と思って心を輝かせたら進歩も比例します。
頑張って下さい。」
Cさんのセンター本試は177点でした。
見事な高得点です。
自信なさげな初対面から圧巻のセンター試験までの彼女の歩みが走馬灯のように脳裏を駆け巡り、
胸が一杯になりました。
4人目のDさんは中学から引き続いて当館へ通われた生徒さんです。
そもそも優秀極まりない才女です。
3年間を通してトップクラスを保ち続けました。
センターは余裕の184点でした。
今般はあえて難関校である中部高校の生徒さんの例を引きました。
それは「難関校の生徒さんだから自動的に優秀で、難なく高得点を取っている」のではないと申し上げたかったのです。
自信をなくした中部高校生は幾多にのぼります。
でも、道はまだ半ばです。
Never give up !
中部高校から神通川を望む
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