【風俗トラブル】本番行為をしたと言われ店から金銭を請求された人から多い質問10問|実務の観点から回答

若井亮

若井亮

テーマ:風俗トラブル

本記事は、2023年7月施行の刑法改正(不同意性交等罪の新設)と、2025年6月施行の拘禁刑の導入を反映しています。実際の見通しは、個別の事実関係によって変わります。


風俗店で「本番行為をした」と言われ、店から金銭を求められたとき、多くの方は誰にも相談できないまま、その場や当日のうちに判断を迫られます。当事務所に寄せられるご相談でも、「払わなければならないのか」「警察に行かれるのか」「家族に知られないか」といった同じ種類の疑問が繰り返し出てきます。

 この記事では、そうしたご相談の中で特に多い10の質問を取り上げ、実務の観点から回答します。事実関係によって答えが変わる部分が多いため、一般的な整理としてお読みください。風俗トラブル全般の質問は【FAQ】風俗トラブルで多い質問20|逮捕・示談・費用・秘匿をまとめて解説でもまとめています。

請求そのものについての質問


店の規約にある「罰金」は、書かれた金額どおりに払わなければならないのか

 店が「罰金」と呼んでいる金銭は、裁判所が科す刑罰としての罰金とは性質が異なります。店や女性が受けた損害の賠償を、店があらかじめ決めた金額で求めている、という位置づけで考えるのが一般的です。

 規約に金額が書かれていても、利用者がその規約に同意していたといえるか、金額が実際に生じうる損害と比べて大きく離れていないかによって、支払う必要のある範囲は変わります。著しく高額な定めは、公序良俗(民法90条)の観点から効力が制限されることがあります。一方で、規約違反の事実があれば、相応の賠償を求められる可能性は残ります。「書かれた金額を全額払う」か「一切払わない」かの二択ではなく、請求の根拠と金額を分けて確かめることが出発点になります。詳しくは損害賠償額の予定(民法420条)は風俗の規約でも有効かや【風俗トラブル】店から『うちの規約では』と言われた|規約の効力を確かめる順序で解説しています。

女性の同意があったのに、なぜ請求されるのか

 本番行為を禁止している店では、同意の有無とは別に、店のルールに反したことを理由に請求されることがあります。店にとっては、売春防止法や風営法上の問題を招くおそれのある行為だからです。なお、売春防止法は売春を助長・管理する側を処罰する仕組みで、利用客本人が同法で処罰されることは通常ありません。

 他方、女性が「同意していなかった」と述べている場合は、問題の重さが変わります。2023年の改正で新設された不同意性交等罪(刑法177条)は、法定刑が5年以上の有期拘禁刑とされています。料金を払って接客を受けていることと、個々の行為に同意していたかどうかは、別の問題として扱われます。同意の有無は当事者の言い分が分かれやすく、その場のやり取りや前後のメッセージなどが手がかりになります。【風俗トラブル】不同意性交等罪と言われた|風俗の場面で罪名が出たときの整理もあわせてご覧ください。

示談金の相場はどのくらいか

 一律の相場表があるわけではありません。請求の初期段階では、100万円から数百万円といった金額が示されることも少なくありませんが、最終的な金額は、行為の内容、同意をめぐる争いの有無、刑事手続に進むおそれの程度、相手方が何を重視しているか(金額か、謝罪か、再発防止か)によって大きく変わります。

 当事務所の解決事例にも、当初の請求額から大きく見直されたものもあれば、早期の解決を優先して一定の金額で合意したものもあります。最初に示された金額は、交渉の出発点であることが多いと考えておくとよいでしょう。目安の考え方は風俗トラブルの示談金相場は?本番・盗撮・お触り別に弁護士が解説で、具体例は【解決事例】性風俗店から本番行為の罰金100万円を請求された|弁護士の介入により請求額を20万円へ減額した事例で紹介しています。

 金額の話し合いでは、店の損害として何が挙げられているのか(女性の休業、検査費用、店の信用など)を一つずつ確かめることが役に立ちます。内訳が示されないまま総額だけを求められている場合は、まず内訳を尋ねるところから始めるのが一般的です。

その場で起きたことについての質問


免許証の写真や勤務先の名刺を撮られた。もう逃げられないのか

 身分証の写しを取られると、相手に住所や氏名を知られた状態になります。不安が大きいのは当然ですが、それだけで支払う義務の有無や金額が決まるわけではありません。

 まず、何をどこまで相手に渡したのかを書き出しておくことをおすすめします。免許証、名刺、電話番号、車のナンバーなど、相手が持っている情報を整理しておくと、この先どのような連絡が来うるかを見通しやすくなります。身分証や財布、スマホそのものを預けさせられた場合は、返還を求めることになります。【風俗トラブル】財布やスマホを店に預けさせられた|所持品を返してもらう方法や【風俗トラブル】予約時に伝えた本名・電話番号はどう使われるのかも参考になります。

その場で念書や示談書に署名してしまった。もう覆せないのか

 署名した書面には一定の効力がありますが、内容や作成時の状況によっては、効力を争ったり条件を見直したりする余地があります。たとえば、部屋や事務所から長時間出られない状態で書かされた場合や、金額が事実関係に比べて著しく高い場合などです。

 まずは書面の内容を正確に把握することが先決です。控えを受け取っていない場合や写真を撮っていない場合でも、内容を確かめる方法はあります。【風俗トラブル】店の事務所で書かされた紙の写真を撮っていない|内容を後から確かめる方法のほか、【解決事例】その場でサインした300万円の示談書|弁護士交渉で50万円まで減額した事例もご覧ください。

警察や周囲への発覚についての質問


「警察に行く」と言われた。逮捕されるのか

 「警察に行く」と告げられても、実際に被害届が出されるかどうか、出された場合に逮捕まで進むかどうかは、それぞれ別に判断される事柄です。逮捕は、逃亡や証拠隠滅のおそれなどがあるときに行われる手続で、被害の申告があれば必ず逮捕される、というものではありません。

 ただし、同意をめぐって主張が対立している場合は、刑事手続に進むおそれを軽く見ないほうがよいでしょう。被害届が出る前の段階で、弁護士を通じて謝罪や示談の申入れを行い、刑事手続に進まずに解決に至ることもあります。【風俗トラブル】店から「警察に行く」と言われた翌日にすること|被害届が出る前の時間や【風俗トラブル】キャストが警察に相談したと聞かされた|本当かどうか確かめる方法はあるかで詳しく扱っています。

 なお、警察から連絡が来た場合は、呼び出しの日時や事件の内容を確認し、その場で詳しい説明を始める前に弁護士へ相談することをおすすめします。取調べで話した内容は記録に残り、その後の手続で重要な意味を持つことがあるためです。

家族や職場に知らせると言われた

 支払いを求める際に、家族や勤務先に知らせることをほのめかされる場面は少なくありません。請求の根拠があったとしても、伝え方によっては恐喝や脅迫にあたりうる行為です。

 とはいえ、相手の言い方を問題にするだけでは、実際の連絡を止めることにつながりにくいのが実情です。弁護士が窓口となり、連絡は代理人宛てにするよう求めることで、ご本人や家族への直接の連絡が止まることがあります。【風俗トラブル】配偶者宛てに郵便を送ると言われた|家族に届く前にできることや家族・職場に知られずに風俗トラブルを解決する方法|弁護士が解説もあわせてご覧ください。

支払いと示談についての質問


一度払ったのに、追加で請求された

 支払いの際に書面を作っていない場合や、書面に「これで全て解決した」という趣旨の清算条項が入っていない場合、追加の請求を受けることがあります。支払った事実を示す振込記録やメッセージは、必ず保存しておいてください。

 すでに合意が成立しているといえる場合は、それを根拠に追加請求に応じない対応を取れることがあります。また、示談金を払った後に被害届を出されたというご相談もあり、合意の内容によって刑事手続への影響も変わります。【風俗トラブル】示談金を払ったのに被害届を出された|合意の効果と刑事手続や、【解決事例】「警察に話す」と迫られ示談金100万円を支払った後、250万円の追加請求を支払いゼロで解決した事例をご参照ください。

示談するとき、何に気をつければよいか

 風俗トラブルの示談では、金額だけでなく、誰と合意するのかを確かめることが重要です。請求の窓口が店の担当者であっても、行為の当事者は女性本人です。女性本人の意思を確認できないまま店とだけ合意すると、後から女性の側から別に請求や被害届が出るおそれが残ります。

 書面には、主に次のような内容を入れておくことが考えられます。

  • これ以上の請求をしないことを確認する清算条項。
  • 被害届を出さない、または取り下げる旨と、処罰を求めない意思(宥恕)。
  • 今回の件を第三者に口外しない約束。
  • 今後お互いに連絡や接触をしない約束。


 あわせて、支払方法(手渡しか振込か)や、振込先が誰の名義かも確かめておきます。風俗トラブルの示談書に必ず入れる6条項|抜けると後で効かないや【風俗トラブル】支払った後に相手が別人だと分かった|本人確認をしない示談の危うさで詳しく解説しています。

弁護士に頼むと何が変わるのか。費用はどのくらいか

 弁護士に依頼すると、店や女性とのやり取りの窓口が弁護士に移ります。ご本人が直接連絡を受ける場面が減り、請求の根拠や金額を落ち着いて確かめられるようになります。刑事手続に進むおそれがある場合も、示談と並行して見通しを立てやすくなります。

 費用は事務所や事案によって異なり、相談料・着手金・報酬金などの組み合わせで決まります。依頼の前に見積もりを受け取り、どこまでの対応が含まれているかを確かめておくと安心です。ご自身で対応するか弁護士に任せるかの判断材料は【風俗トラブル】店との交渉を自分でするか弁護士に任せるか|分かれ目になる5つの事情に、費用の考え方は風俗トラブルを弁護士に依頼した場合の費用相場と流れにまとめています。

 相談のタイミングについては、支払いや署名の前であるほど選べる手段は多くなります。ただ、すでに支払った後や書面に署名した後でも、内容の確認や追加請求への対応など、弁護士が関われる場面は残っています。

まとめ


  • 店の「罰金」は刑罰ではなく、請求の根拠と金額を分けて確かめることが出発点です。
  • 同意をめぐって主張が分かれている場合は、刑事手続に進むおそれも視野に入れて対応します。
  • 身分証を撮られた、書面に署名したという事情があっても、その後の対応の余地がなくなるわけではありません。
  • 示談では、女性本人との合意と、清算条項などの書面の内容を確かめることが大切です。


 本番行為をめぐる請求は、その場の雰囲気や時間の制約の中で判断を求められやすく、後から振り返って「もう少し確かめておけばよかった」と感じる方も少なくありません。請求の中身、手元にある書面や記録、相手が持っている情報を整理するだけでも、取れる手立ては見えやすくなります。

同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。

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若井亮
専門家

若井亮(弁護士)

弁護士法人若井綜合法律事務所

風俗トラブルや男女トラブル、それに伴う刑事事件まで一貫して対応。累計相談件数は男女トラブル約23,000件、風俗トラブル約8,000件。全国からの相談を24時間受け付け、迅速な対応を心がけています。

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