風俗トラブルに強い弁護士の選び方|失敗しない5つのチェックポイント
「サービス中に手を出してしまい、店から100万円を請求された」
「盗撮が見つかり、その場で示談金を要求されている」
風俗トラブルで金銭を請求されたとき、多くの方がまず知りたいのは「この金額は妥当なのか」という一点だと思います。しかし、インターネット上には「相場は50万円」「20万円から300万円」といった数字が並ぶ一方で、その金額が誰に対して払う、何のためのお金なのかまで整理して書かれているものは多くありません。
ここを取り違えたまま支払ってしまうと、「店に払ったのに、後からキャスト本人に改めて請求された」という事態にもなりかねません。
この記事では、風俗トラブルの示談金について、①そもそも示談金には性質の異なる2種類があること、②本番・盗撮・お触りという行為の類型ごとの相場の目安、③金額の幅を生む要素、④請求された金額をそのまま払う必要があるとは限らない理由、の順に解説します。
1.風俗トラブルの「示談金」には性質の違う2種類がある
まず押さえていただきたいのは、風俗の現場で「示談金」「慰謝料」「罰金」と呼ばれているお金には、法的な性質がまったく異なる2種類が混ざっている、という点です。
(1)被害者本人との示談金
ひとつは、行為の相手方であるキャストやセラピスト本人に対して支払う示談金です。
これは、相手に生じた精神的苦痛などの損害を賠償し、あわせて「加害者を許す(宥恕する)」旨の意思を示してもらうためのお金です。刑事事件になりそうな事案で「示談が重要」といわれるのは、基本的にこちらを指します。
内訳としては、慰謝料が中心になりますが、事案によっては通院費や検査費用、休業分の補填といった実費的な要素が加わることもあります。世の中でいわれる「相場」が意味を持つのは、主にこの被害者本人との示談金です。
(2)店から請求される「罰金」「違約金」
もうひとつは、店が「誓約書違反」「規約違反」を理由に請求してくる金銭です。「罰金」という言葉が使われることが多いのですが、罰金は本来、裁判所が科す刑罰の名称であり、民間の店舗が客に刑罰を科すことはできません。実質は違約金・損害賠償の請求であり、支払義務があるかどうかは契約の内容と店に実際に生じた損害によって判断されます。
つまり、こちらは「相場」で決まるものではなく、そもそも支払義務の有無から検討すべきお金です。
(3)店に払っても、本人との示談は成立していない
実務上とくに注意が必要なのが、店に金銭を支払っても、被害者本人との示談が成立したことにはならないという点です。
店の代表者や従業員と話をつけて支払いを済ませたつもりでも、後日、当事者であるキャスト本人が「自分は示談していない」として被害届を出したり、改めて慰謝料を請求してきたりする可能性は残ります。誰と、どのような権限のもとで合意したのかを確認しないままお金だけを渡すのは、避けたほうがよい対応です。
2.【行為別】示談金の相場の目安
そのうえで、被害者本人との示談金について、行為の類型ごとの目安を整理します。以下はあくまで一般的に語られている水準であり、個々の事案で大きく変動する点にご留意ください。
| 行為の類型 | 問題となり得る主な罪名 | 示談金の目安 |
|---|---|---|
| お触り(身体への接触) | 不同意わいせつ罪/迷惑防止条例違反 | 30万〜150万円程度 |
| 盗撮 | 撮影罪(性的姿態等撮影罪) | 30万〜150万円程度 |
| 本番行為 | 不同意性交等罪 | 50万〜300万円程度 |
(1)お触り:30万〜150万円程度
相手の同意なく胸や臀部、陰部などに触れた場合、不同意わいせつ罪(刑法176条)が問題になり得ます。法定刑は6月以上10年以下の拘禁刑で、罰金刑の定めがありません。態様によっては東京都迷惑防止条例違反として扱われることもありますが、近年は条例で処理されてきたような事案も不同意わいせつ罪として立件される傾向がみられます。
示談金は、着衣の上から短時間触れた程度の事案と、直接性的部位に触れた事案とでは水準が変わります。同意の有無自体に争いがある事案では、交渉の結果として示談金の支払いなしで解決に至るケースもあります。
(2)盗撮:30万〜150万円程度
同意なく性的な姿態を撮影した場合、撮影罪(性的姿態等撮影罪。令和5年7月13日施行)に当たり得ます。法定刑は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です。
一般的な盗撮事件の示談金は数十万円程度とされることが多いのですが、風俗店内の事案では、キャストにとって職業上の不利益が大きいこと、店側が交渉に入ってくることなどから、これより高い水準で提示されることが少なくありません。
画像・動画が現に残っているか、複数回にわたるか、機材を用意していたかによって評価は大きく変わります。
(3)本番行為:50万〜300万円程度
相手の同意なく性交等に及んだ場合、不同意性交等罪(刑法177条)が問題になります。法定刑は5年以上の有期拘禁刑で、こちらも罰金刑の定めがありません。起訴されれば原則として公判請求となるため、示談の有無が持つ意味は他の類型より重くなります。
その分、請求される金額も高くなりやすく、当初200万円、300万円といった提示を受けることも珍しくありません。ただし、後述のとおり請求額がそのまま支払義務のある金額になるわけではありません。
なお、成人同士の合意による本番行為それ自体には、客に対する罰則が定められていません。「無罰であること」と「同意があったこと」は別問題であり、料金を支払っていることや、いわゆる裏オプションを期待していたことが、性的行為への同意を意味するわけではない点にはご注意ください。
3.なぜ相場の幅がこれほど広いのか
上の表を見て「幅が広すぎて参考にならない」と感じられた方も多いと思います。示談金は次のような要素の組み合わせで決まるため、同じ「お触り」でも数十万円の差が生じます。
- 行為の内容と態様 — 接触した部位、着衣の上か直接か、時間の長さ
- 反復性・計画性 — その場の出来心か、複数回にわたるか、機材を準備していたか
- 被害者に生じた影響 — 退職に至ったか、通院しているか、精神的な不調が続いているか
- 画像・動画の有無と拡散の有無 — 盗撮事案では特に大きく影響します
- 被害者の処罰感情 — 早期に謝意が伝わっているかどうかでも変わります
- 本人側の事情 — 反省の姿勢、前科前歴の有無、資力
このうち、あとから動かせるのは主に5と6です。だからこそ、初動での対応の仕方が結果に影響します。
一方で、「示談さえ成立すれば必ず不起訴になる」わけではありません。不同意わいせつ罪・不同意性交等罪はいずれも親告罪ではないため、告訴が取り下げられても、示談が成立しても、それだけで自動的に不起訴が決まるものではありません。示談書に宥恕(許す)の意思を明記できるかどうかが、実務上は重要になります。
4.「請求された額」と「支払義務のある額」は別
相場より明らかに高い金額を提示されている場合、それをそのまま受け入れる必要はありません。検討すべき点は主に次のとおりです。
- 前提となる事実に争いはないか — 触れたとされる行為や撮影の事実そのものに食い違いがないか
- 金額に相当性があるか — 著しく過大な違約金の定めは、公序良俗違反(民法90条)として効力が否定される余地があります
- 合意の任意性 — 強迫を受けて署名や支払いをしたのであれば、意思表示の取消しを主張できる場合があります(民法96条)
- 誰と合意するのか — 店と示談するのか、本人と示談するのかで、後日の蒸し返しリスクが変わります
なお、「払わなければ警察に言う」「家族や会社にバラす」といった文言を伴う請求は、それ自体が脅迫罪や恐喝罪に該当し得ます。もっとも、実際に相手方に被害が生じている事案では、店側の言動を問題にすることと、被害者本人に対して誠実に対応することとは、切り分けて考える必要があります。
一度支払ってしまったお金を取り戻すのは容易ではありません。だからこそ、支払う前の段階でご相談いただくことが重要です。
5.請求されたときの初動
避けた方がよい対応
- その場で現金を渡す、ATMに同行する
- 内容を確認しないまま示談書や誓約書に署名する
- 身分証や携帯電話を相手に預ける、データをコピーさせる
- 画像・データ・やり取りの履歴を削除する(証拠隠滅と評価されるおそれがあります)
- その場から逃げる
- 被害者本人に直接連絡して謝罪しようとする
とるべき対応
- 身の危険を感じる状況であれば、まず安全の確保を優先する
- 「弁護士に相談してから回答したい」と伝え、その場での即答を避ける
- 会話やLINE・メールのやり取りを保存し、日時と経緯を時系列でメモに残す
- 早い段階で弁護士に相談し、連絡窓口を一本化する
窓口を弁護士に一本化することで、自宅や勤務先への直接連絡を避けやすくなり、店側からの追加請求にも対応しやすくなります。
まとめ
- 風俗トラブルの示談金は、被害者本人への賠償と、店からの「罰金・違約金」請求とを分けて考える必要がある
- 相場の目安は、お触りで30万〜150万円程度、盗撮で30万〜150万円程度、本番行為で50万〜300万円程度
- ただし幅は広く、行為の態様・反復性・被害者に生じた影響などで大きく変動する
- 請求額がそのまま支払義務のある金額とは限らず、その場での支払いや署名は避けるべき
- 店に支払っても、被害者本人との示談が成立したことにはならない
当事務所は、風俗トラブルについて一貫して利用者(客)側の立場でご相談をお受けしています。誰にも相談しにくい問題だからこそ、ひとりで抱え込まず、支払いや署名をしてしまう前にご連絡ください。


