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藤井隆満

新規事業創出の研究開発を支援する博士(工学)を持つ技術士

藤井隆満(ふじいたかみち) / 技術士

藤井技術士事務所

コラム

圧電材料とMEMS:電気を生み出す不思議な素材とその使い方

2023年9月2日

テーマ:MEMS分野

コラムカテゴリ:ビジネス

圧電材料とは、力(圧力)を加えると電圧を発生する(圧電効果)または電圧を加えると変形する(逆圧電効果)性質を持つ材料のことです。圧電効果は、物質内の正負のイオンが力によってずれることで電気分極が生じる現象です。逆圧電効果は、電気分極によって物質内に応力が発生し、物質が伸縮する現象です。圧電材料には、水晶やPZT(チタン酸ジルコン酸亜鉛)などの単結晶やセラミックス、PZTやAlN(窒化アルミニウム)などの薄膜などがあります。以下の図でイメージを示します。

この特性により、圧電材料は機械エネルギーと電気エネルギーの相互変換が可能となり、さまざまな応用が可能です。例えば、センサとしては、振動や音波、流体の流れや液面、温度や加速度などを検出することができます。アクチュエータとしては、超音波モーターやカッター、インクジェットヘッドやマイクロスピーカーなどに広く使われています。また、発振子やフィルタとしては、クロックや通信機器などに応用されています。

近年、圧電材料は小型のデバイスにさらなる応用が広がっており、特にMEMS(微小機械素子)分野でその重要性が際立っています。例えば、インクジェットヘッドでは圧電材料を用いて電圧を印加すると、液体のインクを精確に吐出することができます。MEMSマイクロフォンでは、音波によって圧電薄膜が振動し、その変位を電気信号に変換する役割を果たします。MEMS加速度センサでは、重力や加速度によって圧電薄膜が変形し、その応力を電気信号に変換します。同様に、MEMSジャイロスコープでは、回転運動によるコリオリ力を圧電薄膜で検出します。そして、MEMSプロジェクタでは、圧電薄膜を用いてミラーを駆動し、光を反射して画像を投影します。

圧電材料とMEMSは、それぞれ独立した技術分野ですが、互いに補完し合う関係にあります。圧電材料はMEMSの重要な機能素子として使用される一方で、MEMSは圧電材料の新たな応用領域として期待されています。今後も両者の技術革新が進み、より高度で多様なデバイスが実現されるでしょう。

当社では圧電材料とMEMS分野に関するアドバイスを提供しております。何かご質問やご相談がございましたら、お気軽にご連絡ください。


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