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北條智之

口腔インプラント学の修士号を持つプロ

北條智之(ほうじょうともゆき) / 歯科医師

北上インプラントデンタルオフィス

コラム

矯正治療は終わったが、もう一度やりなおしてほしい

2023年9月5日 公開 / 2024年3月21日更新

テーマ:矯正歯科

コラムカテゴリ:メンタル・カウンセリング

患者さまはついに歯列矯正装置を外した日のことをきっと覚えているでしょう。煩わしい装置を気にしない毎日に興奮し、安堵します。そして、おそらく、その日が人生で矯正器具を装着する最後の日だと思ったことでしょう。しかし、現実には、再び矯正治療をするかしないかで悩む日がきます。以下に、実際にそういった事態になる状況について解説します。

1.リテーナーを装着していないor管理していない

一番多く出会うケースが、リテーナーを適切に装着していない場合です。リテーナーは歯が再び移動するのを防ぐために提供されており、装着を怠ると望ましくない結果が生じる可能性があります。矯正装置を外せば、歯は通常、元の位置に戻ろうとします。歯列矯正では、後戻りとして知られており、さまざまな理由が複雑に絡み合って発生します。これを防ぐために、当院では固定式または取り外し可能なリテーナーを提供します。指示された期間と時間、必ず装着してください。また、不具合などを見落とすことがないように、定期的なメインテナンスもお願いいたします。

2.不完全なまま矯正治療が終了した

そもそも矯正治療を完了することができなかったということもあります。その背景はいろいろあります。過去に出会った実例を挙げますと・急遽引っ越すことになり、引っ越し先で受け入れてくれる矯正歯科医が見つからず引継ぎができなかった、・私生活が多忙を極め、通院できず不適切な装置が口腔内に管理されないまま残置されていたなどがありました。当院では経験がありませんが、痛みに耐えれずやる気がなくなったということもあるそうです。

3.主訴の誤判定

不正咬合とは「歯の」不正咬合を意味し、多くの場合はこのケースです。不正咬合・歯列不正は矯正器具を装着することで解決できます。しかし、場合によっては顎の前後的な位置関係であったり、左右差であったり、顎顔面の大きさ、傾きに大きな問題があるケースです。骨格性の不正咬合とよばれ、歯列矯正単独では対応できません。骨格性の要因が計測上も、主訴の上でも明らかであればいいのですが検査所見上の骨格性不正はないが患者さまの悩みの根底に顎や顔の形を修正したいという思いが秘められていることがあります。こういった場合は、歯並びが綺麗になっても顎や顔の悩みが解決されないわけなので骨格性の要因に対してアプローチしていく必要があります。

4.通院指示に従わない

歯科矯正治療中は定期的な通院が絶対です。歯が不測な動きをしたり、予期せぬトラブルが発生していても指示された間隔や時期の通院がなければ根本的には問題は発見も解決もされず、事態が収拾できなくなることがあります。

5.経年的な歯の移動

年齢を重ねるにつれて体には変化が起こりますが、歯も例外ではありません。私たちの生涯を通じて歯が移動するのはごく普通のことですが、口の中の力のバランスが変化すると、予期せぬ歯の移動が発生することがあります。起きて活動しているとき、人間の歯は常に圧力とストレスにさらされており、時間の経過とともにその負担が増大する可能性があります。くしゃみ、会話、笑顔、咳などの活動でも、顎の骨や口の筋肉が動きます。これらすべての要因により、ゆっくりではありますが、歯並びが徐々に変化しています。

歯が移動する一般的な要因には次のようなものがあります。

歯周病骨壊死(骨組織の壊死を引き起こす骨疾患の一種口腔がん
根尖歯周炎不完全に終わった矯正治療歯の外傷
歯の詰め物の磨耗抜歯矯正後リテーナーを装着していない
ホルモンの変化妊娠老化
予期せぬ顎骨の成長口腔衛生状態と生活習慣の不良歯ぎしりや食いしばり
親知らずの生え変わりCPAP 療法


歯の移動を防ぐには、まず問題の背後にある原因を突き止めて治療する必要があります。ただし、原因が特定できても完全には後戻りを防ぐことはできません。
歯が移動するリスクを軽減するための予防策は次のとおりです。

毎日2回の歯磨き禁煙スポーツに参加する際は、適切にフィットしたマウスガードを着用する
骨粗鬆症や骨疾患の予防に役立つカルシウムとビタミンDサプリメントの十分な摂取歯周病を防ぐために砂糖の摂取のコントロール健康的な生活習慣
長期間のリテーナーを装着少なくとも毎日1回はフロスをする定期的なメインテナンス
ナイトガード歯にダメージを与える可能性のある治療や薬に注意する悪い姿勢を直す


矯正治療を相談している今の歯科医師が、ここまで説明することは稀です。時間的な制約もありますし、患者さまご本人の状況とはかけ離れている話も多数あるからです。当院では、情報発信のツールも活用しながらできるだけ情報の過不足がないように努めてまいります。

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