通常の「白にんにく」と醗酵させた「黒にんにく」では、どんな健康効果上の違いがあるの?
黄金のスパイスなどと呼ばれているターメリック(和名:秋ウコン)には主要成分のクルクミノイドが約3%含まれており、このクルクミノイドにはクルクミン(約80%)、デメトキシクルクミン(約15%)、ビスデメトキシクルクミン(約5%)の3種類が含まれますが、主な生理活性成分はクルクミンです。
クルクミンはポリフェノールの一種で、特に抗酸化作用、抗炎症作用、抗発がん作用、肝臓保護作用、抗動脈硬化作用、抗糖尿病作用、神経保護作用などが報告されています。
臨床比較試験でクルクミンの健康効果が実証されているのは、
○関節炎・関節リウマチ・潰瘍性大腸炎・口腔粘膜炎・機能性ディスペプシアなどの消炎効果
○内臓脂肪型肥満・高血糖・脂質異常などのメタボ状態改善効果
○AST・ALTの改善などの肝臓保護効果
○筋肉痛・月経前症候群(PMS)・原発性月経困難症などの鎮痛効果
○抗がん剤の効果を高め、副作用を抑える抗がん剤補助効果
○作業記憶などの認知機能改善効果
○腸内細菌叢の調節による免疫力の強化
などです。
しかし、インドのセントジョンズ医科大学の報告(Planta Med, 1998, 64, 353-356)によると、グラフに示すように、クルクミンのみの摂取では腸での吸収不良、急速な代謝および排泄によって、血中濃度が高まらず、生体内利用率が極端に低いため、上記のような健康効果は望めません。
そこで、簡単にクルクミンの生体内利用率を高めるには、ターメリックと一緒に黒コショウを摂ることです。
そうすると、グラフのように黒コショウの主要成分のピペリンがクルクミンの血中濃度を20倍にも高めて、結果的に生体内利用率をかなり高めることが分かりました。
また、ピペリン自体にも免疫調節作用、抗喘息作用、抗発がん作用、抗潰瘍作用などがあります。
したがって、カレーなどクルクミン(秋ウコン)が入った料理には、黒コショウを一振りか二振りすると、ピペリンによってクルクミンの生体内利用率がかなり高まり、上記の健康効果が大いに期待できるようになります。