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コラム
巨大地震の発生とその教訓
2023年9月6日 公開 / 2023年9月8日更新
地震の発生とその後の住民に残した教訓について
災害は忘れた頃にやってくると言われ続けております。
その災害では今までに、どれほどの尊い命が犠牲となって来たのだろうか。人は、地震を予知できないものか、できるのならそれに備えて色々な準備ができるのに、という考えを持ち続けてきました。現在、地震は予知できないものという見解を大前提に置きながら地震について考えていこうと思います。
地震が発生するメカニズムは解明できているが、震源地や大きさにあっては地震が発生しないと分からないものである。昔からこの世の中で怖いものに、”地震、雷、火事、おやじ”という格言があるが、現代では、”雷”は気象学が発達しているから、予想ができて、回避できそうである。”火事”は自分の注意次第で回避できそうである。”おやじ”の「げんこもち」もこう言ったら「来るな」とかタイミングが分るし、「強さ」も何となく分るので、言動と行動に注意すれば回避できそうである。しかし、地震だけはいつ「来るのか」、どのくらい「強いのか」が判明しない。それだから、不安であるし、最悪の場合、自分の命も危ぶまれる事態が起きるのであるから、一大事である。
その、いつ来るのか分からない地震について考えてみようと思います。
過去の大地震で大きな被害が出た後で人は、被害を防ぐにはこうすれば良いのではないか、あの時はこういう事が起こった、と感じてきました。これらの考えは、過去に起きた大地震の後の教訓として日本の各地でそれぞれ語られており、災害に対する人の行動や考え方の底辺となっているものが多く見聞出来そうだと感じているところである。
突然やってくる地震、そして、それに伴う人的被害、物的被害、それらは想像を絶するものとなり、我々の目の前に現れてくる。この状態が日本の現状であり、国民全体が災害は起こるものである、起こればどのように対処すればいいのかを身近に感じておいてほしいと思います。
それでは、これまでの大災害の情報をまとめながら、その時、どうすれば良かったのか、歴史を顧みながら地震という災害を見つめていきたいと思います。
■ 関東大震災
発 生 ; 1923年(大正12年)9月1日 11時58分
規 模 ; Ⅿ7,9 死者 105,385人
特 徴 ;
・ 昼食時だったので、当時は、「かまど」「七輪」を使用中であったと予想され、それらが火種となり、同時多発的に火災が発生したと言われています。
・ 9月1日を「防災の日」として、各地で防災訓練が実施されている。
教 訓 ;
・ 建物の耐震化・空地・緑地の確保。
火を使っていたところに家屋、家財が倒れたり物が落ちたりして、出火した。
出火した火は、次々と延焼して拡大していき、人の逃げ場が無くなり火に巻き込まれた。
・ 救援物資の輸送方法が検討された。
食料品の確保が滞って出来なかった。
・ 震度0の地域には、地震の悲惨さが伝わらなかった。
当時の情報伝達の手段と速さは、現在では考えられない程、遅く、正確なものではなかったと思われる。
今年で100年目となる関東大震災
大震災が頻繁に起こったのでは、人類は、滅びる方向に至ってしまうが、人類は、知恵を出して、被害を復旧させて、以前の生活を取り戻そうとしてきた。
そして、以前より住みやすいように工夫をして進化をさせてきた。また、不幸に、進化をする過程で大災害に遭遇してしまう。
関東大震災のことを現在生きている日本人に聞いても、出来事は知っていても記憶にない人が大部分でしょう。記憶にない人は語れないし、同じような災害に遭遇しても行動をとれない。
■ 新潟地震
発 生 ; 1964年(昭和39年)6月16日 13時01分
規 模 ; Ⅿ7,5 死者 26人
特 徴 ;
・石油タンクの火災 12日間炎上 周辺の民家 347棟焼失
・漏れたガソリンが津波により広がり、5時間後くらいに爆発炎上。
教 訓 ;
・ 消防力の向上が図られた。化学消防車の配備がなされた。
・ 津波火災が起ったが、その対処方法が図られなかった。
津波火災の原因は、考察されたが、その消火(対処)方法は、現代でも確立していない。この地震を経験した住民の感想は、「その時の地震の揺れは今まで体験したことがないもので、最も怖かった地震だと記憶に残っている」という。なぜだろうか。それから現在まで大きな地震があったのだが。
■ 阪神淡路大震災
発 生 ; 1995年(平成7年)1月17日 5時46分
規 模 ; M7,3 死者 6,402人
特 徴 ;
・高速道路の倒壊・家屋の倒壊
・ガス漏れによって、同時多発的に火災が発生した。
・災害発生後のライフラインの復旧の一つとなる停電復旧工事が通電復旧による火災を発生させてしまった。
教 訓 ;
・建物の耐震化、家具等の転倒防止の重要性
耐震化を向上させるために、基礎工事を鉄筋コンクリートで造る方法(ベタ基礎)が普及した。
家具の転倒防止策が普及していなかったので家具の下敷きとなってしまい、犠牲者が増えた。(圧死)
・被災者の早急な救出活動体制の整備
緊急な応援体制による救出等が必要であると検討され、総務省消防庁を中心とする緊急消防援助隊の結成が行われた。
(救出側の人員が少なく、救出に時間が掛かってしまった。)
(家具の下敷きになったまま延焼した火に巻き込まれたものが多くいた。)
一口メモ ①・・・
阪神、淡路大震災の発生時に、85件の電気火災が報告されているが、そのうち、電気用品からの出火が66%(56件)を占めていた。
・主な電気用品としては、移動可能な電熱器(電気ストーブ)
・電気機器( TV・冷蔵庫 )
東日本大震災における電気火災は、68件、そのうち、31件が電熱器からの発熱が原因と報告されています。
電気火災防止の徹底は、極めて重要な課題であり、地震発生時における電気火災の原因に見合った対策が必要である。
今後の対策について
① 漏電遮断機器の普及について
89%の普及率であるが、未設置の11%については、今後の設置を促進することが必要である。
② 感震ブレーカー等の普及策について
③ 需要家への周知
国、地方自治体、事業者、その他関係機関協力のもと、積極的な周知を行なっていく。
再び地震関連に戻りましょう。
■ 新潟中越地震
発 生 ; 2004年(平成16年)10月23日 17時56分
規 模 ; M6,7 死者68人(圧死4割 16名)
(他 ストレス等による関連死52人)
特 徴 ;
・ 直下型地震 逆断層型地震で土砂災害が多発~道路寸断~孤立
・ 発生から5日間で震度5以上の余震が14回、家に居られない
・ 長岡市の土砂崩れ現場から2歳児が92時間ぶりに救出された。
教 訓 ;
・ 地震関連死の発生で避難所でのストレスを減らすために心のケアが重視されることになった。
・ 避難所等での日常生活の難しさが浮き彫りとなった。
■ 熊本地震
発 生 ; 2016年(平成28年)4月14日・16日
規 模 ; 14日;(前震 M6,5) 21時26分
16日;(本震 M7,3) 1時5分
死 者; 252人(地震によるものが 50人避難生活者197人)
特 徴 ;
・ 断層地震
・ 避難生活等の身体的負担で197人の死者が発生した。
・ 熊本城というシンボル的な存在が被害
・ 震度7が2回。震度6弱以上が7回(観測史上初)
・ 内陸型地震 地殻の破壊現象で以後400年は起きないであろうと言われている。
・ 地震後の調査では、活断層の活動間隔は、2000年から4000年であることがわかった。
・ 三角錐の底面が熊本平野みたいな地殻で積み木が真逆にあるような地形の各面の地殻が破壊された地震。
教 訓 ;
・建物の耐震基準が古かったことが判明した。
・古い木造住宅などでは、大きな揺れの後は、必ず避難する。
・車中泊、軒先避難が強いられる場合には、エコノミー症候群に注意する。
・避難所での生活方法改善が必須と判明した。
20人に1つの割合(トイレ数)男女比は、1対3
・デマに注意する
■ 東日本大震災
発 生 ; 2011年(平成23年)3月11日 14時46分
規 模 ; M9,0
死者 19,749人 行方不明者 2,556人
建物被害 115万軒余り (全壊から一部損壊まで)
特 徴 ;
・断層破壊の長さが巨大 長さ;450km・幅;200km
・大津波発生 原子力発電所の被災(放射能汚染)
・津波火災 通電火災
教 訓 ;
・熊本地方 震度1 (熊本地震時の東日本の震度は0)
・防波堤、防潮堤の構造物だけでは、自然災害を防ぎきることができないことが明らかになった。
・防災ではなく、「減災」という考え方が浸透した。
・役に立ったもの;
ラジオ、懐中電灯(乾電池式)、非常食の備蓄
飲料水(ペットボトルが役に立つ)
卓上コンロ(携帯用)、
アルミホイール~ 形を変えて調理器具になる。
缶詰 ~ 食器代りになる。
これまでの大地震の被害から日本人が教訓とする事柄
東日本大震災からは・・・・
・ 防波堤、防潮堤の構造物だけでは、自然災害を防ぎ切れない。
・ 災害による被害を最小化するという考え方、「減災」を浸透させる。
・ 地震の際の電気の遮断方法に関する開発を進める。
・ 地震の際のLPガスの遮断方法に関する開発を進める。
熊本地震からは・・・・
・ 建物の耐震基準が古かった。古い木造住宅などでは、大きな揺れの後は、必ず避難する。
・ 車中泊、軒先避難が強いられる場合には、エコノミー症候群に注意する。
・ 避難所での生活方法改善; トイレの数は、20人に1つの割合、男女比は1対3
・デマに注意する。
新潟中越地震からは・・・・
・ 地震関連死の発生で避難所でのストレスを減らすための心のケアが重視されることになった。
・ 避難所での日常生活の厳しさ
阪神淡路大震災からは・・・・
・被災者の早急な救出活動体制の整備
・助け合うという精神 ; 緊急消防援助隊の結成
・地域住民による自主防災活動の重要性
・建物の耐震化、空地、緑地の確保、救援物資の輸送方法が検討された。
・消防力の向上と化学消防車の配備
その他の教訓として‥‥
・家具等の転倒防止策を講ずること。
・寝床に靴とホイッスルを置いておく。
靴の威力;逃げ出すとき、割れたガラスなどで怪我をしないように準備する。
ホイッスル;家具などに挟まれた場合などに吹いて救助を求める。
一口メモ②・・・
〈地震に伴う電気火災防止対策の現状〉
1,漏電遮断器の設置状況
昭和42年ごろから電気機器メーカーによる開発、製造が開始されている昭和51年から関係業界が取付推進運動として未取付需要家を対象に普及啓蒙活動を展開しており、民間規定(内線規程)では、平成17年より、一般家庭において、設置が義務化されている。(平成2年より勧告的事項として内線規程としている)
阪神・淡路大震災の当時の普及率は64,5%が、現在、全国で89,0%、(関東では92,9%)となっている。新築の場合は100%設置されている。
2,感震ブレーカー
普及促進が提言されているが(首都直下地震報告書において)内閣府世論調査によれば(H25年12月)6,6%の設置率とされており、メーカー等からの聞取りでも普及率は極めて低いとされている。補助金(機器導入時)を創設した横浜市でも、これまでの導入実績は4件(H26,3月現在)
3,事業者における複電時の対応状況
(東京電力)
被害を受けている地域への送電再開又は、個別家屋の安全確認を行い、需要家が不在の場合に送電しない。
(東北電力)
上記と同様、各戸の安全確認実施の後に復電。需要家が不在の場合には、需要家が立会いのもと送電する旨のチラシを配布し連絡を待つ。
4,民生用機器へのこれまでの対応
(電気ストーブ・ハロゲンヒータ等の電気用品に係る対応について)
・昭和37年;転倒した場合、危険が生じたものにあっては、容易に転倒しないことを義務付けた。(電気用品の技術上の基準を定める省令)
・平成18年;転倒した際に作動するスイッチなど安全装置を持たせた。また、電源スイッチが不用意にONになってはならないという規定を追加した。(電気用品安全法)
・平成18年以降;輸入品については、地震対策としての基準を満たしたものを流通させている。
・平成24年;観賞魚要ヒーターについて、温度過昇防止装置の設置等を定めた業界の統一規格がなされた。
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