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コラム
ご存じですか? 消防職員の定数を決める方法・・・
2023年1月12日 公開 / 2023年1月19日更新
全国には、約16万人の消防職員が活躍しています。
日本全国には、約16万人の消防隊員が活躍しておりますが、皆様のお近くにも消防署(所)があって、地域に発生した災害にそれぞれ従事されている事と思います。
消防の組織の底辺は、市町村です。
消防の組織は、市町村ごとに配されております。市にあっては、事務をつかさどる職員と同じ市役所職員としての立場の消防隊員もおりますが、多くは、広域消防といい、隣接する周辺の市町村が広域的な消防組織をつくり、「広域消防職員」としての消防隊員もおります。どちらにしても、地域住民の安全の為に活躍していることに、違いはありません。
少数精鋭ですか?
消防署(所)で勤務する消防隊員を見ておりますと、このような少ない人数で大きな火災に対応できるのか? 救急出動している時に、近くで火事が起きたら、どうするんだろうか?等と感じている方、また一方で、たくさんの消防隊員が訓練に勤しんでいる姿を見る機会があります。時に、全国的な訓練であったり、県が主催する訓練などであったりしますが、数えきれない程の消防隊員が一ヶ所に集まって三次元的な訓練を披露しているところを見たりすることがあります。そこで、これほどの消防職員の定数はどのように決定されているのかという疑問をお持ちの方がいらっしゃると思います。そういった方々の参考にしていただければと思います。
定数は、市町村の条例で定められています。
消防職員の定数は、その市町村の条例で定められていますが、具体的に、定数を決定する根拠となるものがあります。それは、総務省消防庁から告知されている「消防力の整備指針」が根拠となっております。この指針は、昭和36年に施行され、当時は「消防力の基準」といわれておりましたが、それから約60年の間に度重なる改正を経て現在に至っております。
消防力の整備指針の内容は・・・
「消防力の整備指針」とは、昭和36年に前身である「消防力の基準」として市町村の消防力の強化を推進するため必要最小限の施設、人員を務めることを目的に制定されました。以来、数次にわたる一部改正が行われ、平成12年には、消防を取り巻く諸情勢の変化への対応と市町村の自主決定要素の拡充のため、その全部が改正されました。さらに、平成17年にも、消防の各分野の充実強化を図るとともに、想定しうるあらゆる災害に十分対応できる体制を整備していく必要性から、時代に即した基本的な理念や新たな視点を反映した基準とするため、一部改正が行われ、名称も「消防力の整備指針」と改められました。
また、平成23年(2011)3月11日に発生した東日本大震災では、東北地方を中心に甚大な被害を受け、消防においても職員、車両、庁舎等が被災する等の大規模な自然災害等への備えを強化するなどの事態を踏まえて、多様化する災害から住民の生命、身体及び財産を守る責務を全うするための消防力の充実強化を着実に図っていく必要性から、消防庁では、平成26年10月に「消防力の整備指針」を改正したものです。
消防ポンプ自動車等の数が決められています。
市街地(※1)には、消防ポンプを配置するものとし、下表に掲げる市街地の区域内の人口について、消防本部又は署所の管理する消防ポンプの数を基準として、地域特性を勘案した数とすることとなっております。
(※1)市街地とは、建築物の密集した地域のうち、平均建ぺい率(街区(幅員4m以上の道路、河川、公園等で囲まれた宅地のうち、最小の一団地をいう。)における建築物の建築面積の合計のその街区の面積に対する割合をいう。)がおおむね10%以上の街区の連続又は、二以上の準市街地(建築物の密集した地域のうち、平均建ぺい率がおおむね10%以上の街区の連続した区域であって、その区域内の人口が1,000以上10,000未満のものをいう。)が相互に近接している区域であって、その区域の人口が10,000人以上のものをいう。
別表
市街地の区域の人口(万人) | 消防本部又は署所の管理する消防ポンプの数 |
---|---|
一 | 消防ポンプ自動車二台 |
二 | 消防ポンプ自動車二台 |
三 | 消防ポンプ自動車三台 |
四 | 消防ポンプ自動車四台 |
五 | 消防ポンプ自動車四台 |
六 | 消防ポンプ自動車五台 |
七 | 消防ポンプ自動車六台 |
八 | 消防ポンプ自動車六台 |
九 | 消防ポンプ自動車六台 |
一〇 | 消防ポンプ自動車六台 |
一一 | 消防ポンプ自動車七台 |
一二 | 消防ポンプ自動車七台 |
一三 | 消防ポンプ自動車七台 |
一四 | 消防ポンプ自動車七台 |
一五 | 消防ポンプ自動車八台 |
一六 | 消防ポンプ自動車八台 |
一七 | 消防ポンプ自動車八台 |
一八 | 消防ポンプ自動車八台 |
一九 | 消防ポンプ自動車九台 |
二〇 | 消防ポンプ自動車九台 |
二一 | 消防ポンプ自動車一〇台 |
二二 | 消防ポンプ自動車一〇台 |
二三 | 消防ポンプ自動車一〇台 |
二四 | 消防ポンプ自動車一一台 |
二五 | 消防ポンプ自動車一一台 |
二六 | 消防ポンプ自動車一二台 |
二七 | 消防ポンプ自動車一二台 |
二八 | 消防ポンプ自動車一三台 |
二九 | 消防ポンプ自動車一三台 |
三〇 | 消防ポンプ自動車一四台 |
はしご自動車の数が決められています
高さ15m以上の建築物(以下「中高層建築物」という。)の火災の鎮圧等のため、一の消防署の管轄区域に中高層建築物の数がおおむね10棟以上又は、(1)項、(4)項、(5)項イ、及び(6)項イ等の掲げる防火対象物(※2)のうち中高層建築物の数がおおむね5棟以上ある場合には、はしご自動車1台を配置することになっています。
(※2)(1)項、(4)項、(5)項イ、(6)項イの防火対象物とは、
・ (1)項の防火対象物 ・・・ 劇場・映画館・集会場等をいう。
・ (4)項の防火対象物 ・・・ 百貨店・物品販売する店舗をいう。
・ (5)項イの防火対象物 ・・・ 旅館・ホテル・宿泊所
・ (6)項イの防火対象物 ・・・ 病院・診療所をいう。
いずれも消防法で区分された建築物です。
化学消防車の数が決められています。
市町村に存する施設のうち、消防法に定める第4類危険物(※3)を貯蔵し、又は取扱う製造所、屋内貯蔵所、屋外タンク貯蔵所、 屋外貯蔵所及び一般取扱所(「第4類危険物の5対象施設」という。)の施設ごとの数に、施設ごとの補正係数をそれぞれ乗じて得た数の合計に応じて次に掲げる台数を配置することとなっています。
イ、補正後の施設合計数が50以上500未満の場合・・・1台
ロ、 〃 500以上1,000未満の場合・・・2台
ハ、 〃 1,000以上の場合、2台に1,000毎に1台加算した台数
(※3)第4類の危険物とは、
引火性液体で特徴としては、引火性の蒸気を発生する液体のことで
・ 特殊引火物 (ジエチルエーテル・アセトアルデヒド等)
・ 第一石油類 (アセトン・ガソリン等)
・ アルコール類
・ 第2石油類 (灯油・軽油等)
・ 第3石油類 (重油・クレオソート油等)
・ 動植物油類
救急自動車の数が決められています。
消防本部又は署所に配置する救急自動車の数は人口10万人以下の消防本部又は署所にあっては、おおむね人口2万人ごとに1台を基準とし、人口10万を超える消防本部又は署所にあっては、5台に人口10万を超える人口についておおむね人口5万毎に1台を加算した台数を基準として、当該市町村の昼間人口、高齢化の状況、救急業務に係る出動の状況等を勘案した数とする。
特殊車両の数が決められています。
救助工作車等の特殊車両の配置基準もあります。また、通信指令システム等の設置基準もあります。
最後に各車両に配される人数が決められています。
市町村において、これまでの各種車両の配置基準により設置する台数が決定すると、それに引き続き、消防車両等に搭乗する消防隊の隊員の数が消防力の整備指針に次のように配されております。
・ 消防ポンプ車1台につき 5人
・ はしご自動車1台につき 5人
・ 化学消防車1台につき 5人
・ 救急自動車1台につき 3人
(1人以上は救急救命士とするものとする)
・ 救助工作車1台につき 5人
・ それ以外として、通信員、予防要員等にも配置基準があります。
これらが根拠となり定数が決定されています。
前述したように、火災を鎮圧する消防ポンプ車の台数は、市町村の人口に対して決定されております。
更に、消防ポンプ車は1台につき5人となっているので、消防ポンプ自動車に限ればその市町村に必要な消防隊員の数が自ずと決定されます。
そういった方法で消防署(所)に配置される消防関係車両の台数と消防隊員の数が決定されています。
最後に
市町村の消防職員は、火災の予防、警戒及び鎮圧、救急業務、人命の救助、災害応急対策その他の地域住民の消防需要に対応するため、消防に関する事務を確実に遂行し、消防の責任を十分に果たす為に必要な施設及び人員として定められているところに集まってきた地域を愛する人たちです。
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