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省エネ基準は検証しなくていいのか③~ベルリンと札幌を比べると

鈴木敏広

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テーマ:住宅の工法

コラム「住宅の健康⑤~ドイツを手本にする不思議」というコラムを書きました(⑥にその2、⑭にその3)。このコラムに出てくるA氏の本では高気密高断熱はドイツが手本になっていて、ドイツに比べ基準値が低いことが書いてありました。

下の図を見てください。日本列島をヨーロッパに移動した図です。日本は南欧からアフリカの北部と同緯度にあります。ドイツはもっと北にあります。


省エネ検証③-2


下のグラフは、ベルリンと東京と札幌のクリモグラフ(温度と湿度の関係を表したグラフ)です。コラム「住宅の健康⑤」のグラフに札幌が加えてあります。グラフを見ると、札幌はベルリンと夏はほぼ同じ気温ですが冬は低くなっています。

省エネ検証③-2

札幌は緯度がベルリンよりも南にあるのに気温が低いのは、偏西風の影響でシベリアからの寒気が日本列島に来るからです。また、ベルリンは偏西風のおかげで暖流の影響を受けるため、冬の気温が高くなります。

札幌の冬はベルリンよりも気温が低く湿度も低いですから、確かに札幌(北海道)がベルリン並みの高断熱住宅が必要なことがわかります。東北地方は調べていませんが、青森なども同じと考えていいかもしれません。

札幌の夏の湿度は75%ぐらいでベルリンよりは10%ぐらい高く東京とそれほど変わりません。気温が低いので東京ほどではないけれど夏型結露の対策が必要かもしれません。

ところが、東京はベルリンと全く違います。図にあるようにグラフの形もベルリンと逆です。ドイツと同じ考えでいいのは、北海道と青森の一部ぐらいではないでしょうか。

次回は、『省エネ基準は検証しなくていいのか④~日本の地形を考えると』です。

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鈴木敏広(一級建築士)

まちの大工さん 鈴木工務店

木造住宅からマンション、市の施設まで建築業界の最前線で培った経験を生かし、安心、安全、快適で長く暮らせる住環境を提案。大工経験から現場の声を大切にする家づくりは職人にも施主にも好評。リピート率も高い。

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