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内装に本物の木材が使われなくなった⑨~経験談その2 本物がわかりにくくなった

鈴木敏広

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テーマ:住宅の変化

今回は以前に工事した話です。

その現場は、長押も付いている聚楽塗りの和室に後から増築した広縁が付いていました。広縁と和室の境に約幅2.7m、高さ1.8mの枠が付けてありました。戸はありません。広縁の床にシロアリが入り、その枠にもシロアリの入った跡がありました。

内装に木材が使われなくなった⑨

床は張り替えるとして枠をどうしようかと思いました。枠の幅が26㎝あったからです。広縁を作った業者も和室と釣り合うためか本物の木で作ってあります。悩んだ末、私の加工場にあった高さ27㎝、幅12㎝、長さ3mのベイマツ材(目が詰んでいて節がなくピーラと呼ばれ化粧材として使われます)を製材所で三枚に挽いてもらい加工して取り付けました。

内装に木材が使われなくなった⑨-2

2,3ヶ月経った頃、その施主さんから電話がありました。板が割れてきたという話でした。おかしいなと思いました。使ったベイマツ材は買って20年ぐらい経っていて乾燥していないわけがなく、今になって割れることはないからでした。

現場に行くと施主さんの言う「割れ」とは松のヤニが入っていたところ (ヤニ袋などといいます)で巾2~3㎜、長さ5㎝ほど黒くなっていた部分のことでした。

施主さんには事情を説明しました。もちろん解っていただき、そのときに「他の業者さんは、ピカピカしている建材(このコラムで書いているシールが張ってある材料)ばかりで、傷などがないのは当たり前と思っていた。本物だからこういった傷もあるし、節もあるのが当たり前、鈴木さんが、隣の和室には合わないと考えて本物の木で工事してくれたくれていたとは、知らないで申し訳ない。」と言われました。

最近はリフォームでもほとんど既製品を使用するので、施主さんも解らなかったようでした。

次回は、『内装に本物の木材が使われなくなった⑩~木材が人に与える良さ 』です。

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鈴木敏広(一級建築士)

まちの大工さん 鈴木工務店

木造住宅からマンション、市の施設まで建築業界の最前線で培った経験を生かし、安心、安全、快適で長く暮らせる住環境を提案。大工経験から現場の声を大切にする家づくりは職人にも施主にも好評。リピート率も高い。

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