軒のない屋根の家④~軒のある家は傘、軒のない家は合羽
三十年ほど前に亡くなられた法隆寺の宮大工西岡常一棟梁の本に、飛鳥時代の工人(棟梁の本では飛鳥時代の職人のことを工人と書いています)が中国のお寺をそのまま造るのではなく、日本の気候にあった形に変えて造ったという話があります。
西岡棟梁は、戦争中に兵隊として中国へ行った時、中国の寺院には軒はあっても出が小さく、日本のように軒が深い建物がないことを知りました。つまり、中国では雨が日本ほど降らないのです。
仏教の伝来と共に、寺院を作る文化が入ってきました。その際、飛鳥時代の工人は雨の多い日本には軒の深い建物が必要と考え、日本に向いた寺院をつくったのです。
軒が無いと早く傷んでしまうことは、今から1300年も前の技術者が気づいたことです。寺院と住宅は違うと考える方もいるとは思います。でも、家の寿命を延ばす、傷まないようにする工夫こそ本当の省エネではないでしょうか?
国の省エネ基準を守って軒のない家を作り、10年で必ず足場を架け修理修繕する家では、メンテナンス費用が省エネで浮いた金額を超えてしまうのではないでしょうか?
省エネとは、日々の電気料金を押える事だけではなく、環境に負荷をかけないことも省エネです。軒や庇で雨漏りのリスクを減らし、メンテナンス費用を減らすことも省エネにつながると思います。
次回は、「軒のない屋根の家⑩~構造的な話」です。
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