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熊本地震で分かったこと⑭~通し柱不要論

鈴木敏広

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テーマ:地震

通し柱は、梁が取りつく接合部を掘って固定するため、その接合部分の柱は断面が少なくなり弱くなるため、通し柱を使用しない方が良いという考えが広まりました。その頃から、通し柱は四隅だけ、四隅だけ入れるのは建築基準法施工令第43条に
「階数が2以上の建築物における隅柱又はこれに準ずる柱は通し柱としなければならない。ただし、接合部を通し柱と同等以上の耐力を有するように補強した場合においては、このかぎりではない。」
と書かれているからです。それで最近の家のほとんどは、通し柱は4本しかありません。

熊本地震で分かったこと⑭

私の工務店では、8本入れている家が多いです。なぜなら、前回書いたように通し柱と通し柱の間に耐力壁、壁をつくれば直下率が高くなることにつながるからです。通し柱には下から土台、2階梁、小屋梁が取りつくことになります。したがって、通し柱間に間仕切りをつくり、耐力壁を上下にそろえて配置すれば、基礎から小屋梁まで一枚の壁が出来ることになります。

熊本地震で分かったこと⑭-2

前述した通し柱が弱くなるということは、確かにその通りだと私も思っていますが、だからといって通し柱間に壁を配置する考え方も変えてはいけないと思います。鉄筋コンクリート造や鉄骨造は、柱が1階から上階まで通っているのが普通です。木造も同じなのです。

「木を見て森を見ず」ということわざがありますが、通し柱の接合部は弱いということを理由に配置しない、だから、自由に柱や壁を配置したら直下率の低い家が出来たのだと思います。通し柱は入れないけれど柱を通す考え方は捨ててはいけないのです。

天王寺谷棟梁の言葉「通し柱を多く入れ、筋交いをまんべんなく入れただけ」とは、通し柱間に筋交いを入れた壁をたくさん配置した、つまり、直下率が高い家を建てたということだと思います。

次回は、 熊本地震で分かったこと⑮~計算する前の計画が大事 です。

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鈴木敏広(一級建築士)

まちの大工さん 鈴木工務店

木造住宅からマンション、市の施設まで建築業界の最前線で培った経験を生かし、安心、安全、快適で長く暮らせる住環境を提案。大工経験から現場の声を大切にする家づくりは職人にも施主にも好評。リピート率も高い。

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