熊本地震で分かったこと⑩~築10年以内で倒壊した原因は直下率が低い
以前に私が見積ったある建築士の図面を見たときに、この人は何を考えているのだろう思いました。
その建築士の図面では、意識的に1階が壁なら2階は窓、1階が窓なら2階は耐力壁になっていました。しかも、家の角の一カ所は角の柱から90度サッシになっていて、そのサッシの上は耐力壁になっていました(下の絵参照)。前回のコラムからいえば直下率が低い家と言えます。
その設計図には、耐力壁の計算書がついていて、その内容にも多々疑問点が多くありました。その家は総二階建てに一部平屋が付いていたのですが、その平屋部分に洗面、トイレ、浴室が計画されていて、その平屋部分の壁(小さな部屋が多いので面積の割に壁が多い)ほとんどに筋交いが入っていました。
本当は2階建の1階部分に耐力壁を入れ、総2階部分は平屋部分の耐力壁がなくても必要数量を満たすように計画し、平屋部分は補助のようにするべきなのです。
上記のことと他の疑問点も含めて構造に関してたくさんの質問をその建築士に伝えましたが、指摘についてお礼が一言あっただけで見直しは一切されませんでした。
当然、仕事はもらえませんでしたが、今になって思えば計算してOKだから、問題はないとその建築士は思っていたのかもしれません。でも、意図的に開口部の上に耐力壁、耐力壁の上に開口部にし、柱に掛かる力を減らして強度のある金物を使用しない計画は理解できませんでした。
次回は、 熊本地震で分かったこと⑬~天王寺谷棟梁の言葉 です。
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