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聴竹居を訪ねて⑤~客室

鈴木敏広

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テーマ:四方山話

今回が④に入った客室の話です。
玄関から見た時には初めにベンチが目に入るのですが、中に入ると洋間なのに左側に床の間があり、ベンチとL型に配置されています。床の間の床板の高さは床よりも30センチ高く、椅子に座って床の間の花などを見るのにちょうど良い高さ、いわば洋室用の床の間になっています。

また、床の間の下がり壁に藤井厚二デザインの照明が埋めこられ、その光は後ろの床の間も照らすようになっています。もちろん床の間ですから掛け軸を掛けられるようになっていますが、ベンチと床の間はL方に配置しているためコーナー部分が出来るのですが、実はそのコーナー部分に入室した人の視線が向きます、その角にも何か掛けられるようになっているという説明でした。

この部屋こそ、藤井厚二の考えた和と洋の見事な共存だと思いました。玄関からは正面にベンチが見えるだけです。床の仕上げが板でベンチがあるため、洋室かと思って中に入ると左手に床の間が見える。私たちはぞろぞろと集団で入って行きましたが、90年前に実際にこの部屋に入った来客の人は、その斬新さにビックリしたと思います。

聴竹居⑤

次回は、聴竹居を訪ねて⑥~縁側 です。

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鈴木敏広(一級建築士)

まちの大工さん 鈴木工務店

木造住宅からマンション、市の施設まで建築業界の最前線で培った経験を生かし、安心、安全、快適で長く暮らせる住環境を提案。大工経験から現場の声を大切にする家づくりは職人にも施主にも好評。リピート率も高い。

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