孤篷庵(こほうあん)を訪ねて3~忘筌-西向きの茶席
玄関で靴をビニール袋に入れ、客室に入りました。その時に気づいたのですが、この家は敷居の高さが床と同じ、つまりバリアフリーでした。6帖より少し大きい客間に15~20人すし詰めの状態で、案内人の方が「いつもは1時間かけて説明することを、20分ぐらいで話すので早口になります。」と前置きして説明が始まりました。
まず、藤井厚二が聴竹居で3つの事を実現したようです。
A 環境共生住宅
B 和と洋の共存
C 客ではなく家族中心の家
Aの環境共生については③で書きました。Bについては、洋風の椅子式の生活と畳に座る和式の生活を共存させたこと、デザインも和洋折衷にしたことです。そして、Cは来客のための客間を一番いいところに配置していた家が多かった時代に、現代と同じように「家は家族のためにある」という考えから、居間を中心にした間取りになっているという説明でした。
本で平面図は見ていましたが、本物を見るとよく分ります。南北に配置した居間の周囲に縁側、客間、食事室、読書室(子供の勉強部屋)、玄関、調理室と配置してあります。この時代の家では玄関を入って長い中廊下がありその両側に部屋を配置している家が一般的だったと思われますが、聴竹居の廊下は居間から寝室、トイレ(家族用)に行く部分しかなく、それ以外の部屋は居間から入るようになっています。
玄関から見て客室を左に配置し、正面に居間、右には客用トイレが配置してあります。つまり、お客さんは玄関を挟んで客間とトイレに行けるため、家族と会わなくてもよく、家族も居間から直接、玄関に出られるためお客さんに会わなくてもいい、完全に動線(人の歩く通路)を分けています。家族中心で来客があっても家族の生活とは関係ないようになっているのです。
次回は、聴竹居を訪ねて⑤~客室 です。
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