うちのつくり方19 ~おわりに~
その② 工事中、変更したくなるのが当たり前
②-4 分業の弊害
大きな会社では、一つの家をつくるのに営業、設計、工事、デザイナー(コーディネーター)などのたくさんの担当者を置きます。私は本来、担当者を分ける分業は大量生産か特殊な専門知識がいるモノだと思います。全く同じ家はないので大量生産ではなく、特殊な専門能力もいらないのに担当者をたくさん置く理由は何でしょうか?
その理由は、専門家を置いているということで安心感を与え、担当を分けることでお客さんと話をする人を増やし、責任の所在を分散することでリスクを減らしているのではないでしょうか?責任の所在が一人になっているとその担当者が気に入らないと仕事はダメになってしまいます。それでは会社は仕事が取れなくなってしまいます。そして一番問題な事は、家の仕様を事務所で決め、現場を一番知っている職人は打合せにいない事です。
前回の私の経験にも書きましたが、工事の進行状況に合わせて外装内装の仕様など決める時間はあるのですから、担当者を一人に決め、お客さんと打合せした方がお客さんの事がよく分り、いい打合せ・良いモノができると思うのです。分業していいものがつくれるのは、車や家電製品など移動や持ち運びできるもの。建築では仮設住宅以外にそれほどメリットはないと私は思います。むしろ、分業すればお金の話は営業、図面の事は設計、工事は工事担当、デザインはコーディネーターと責任がどこにあるのか、分らなくなり施主側から見ると良いところがそれほどあると思えません。
次回は『②-5つくる過程を楽しむ~うちのつくり方~』