【親子問題】性的画像を撮られた・拡散された子への対応|削除と刑事手続の二段構え

若井亮

若井亮

テーマ:親子問題

「娘の裸の画像が同級生のあいだで回っていると、学校から連絡があった」「息子がSNSで知り合った相手に写真を送ってしまい、拡散すると言われているらしい」。親子の問題のご相談の中には、子の性的な画像をめぐって、何から手をつければよいか分からないまま来所される親御さんがいらっしゃいます。

 インターネット上では「すぐに削除依頼を」「すぐに警察へ」という説明が多く見られ、どちらも誤りではありません。ただ、削除と刑事手続は目的も相手も異なる別の手続で、進める順序によっては、画像を消すための手がかりや、撮った人・広めた人の責任を問う材料が失われることがあります。また、子が18歳未満か18歳以上かによって、親が代わりに動ける範囲も大きく変わります。

 この記事では、削除と刑事手続をどう組み合わせるかという「二段構え」の考え方と、親が代わりに動ける範囲を整理します。相談窓口の一覧は【親子問題】18歳未満の子が性的搾取の被害に遭っている場合の窓口に、子が撮影や拡散をした側になった場合は【親子問題】子が性犯罪の加害者側になった場合|改正後の罪名と、親が関われる範囲に委ねています。

本記事は2026年9月時点の法令と公的機関の公表資料に基づいて作成しています。個別の事情によって取れる手段は異なりますので、具体的な対応はご相談のうえでご判断ください。


最初の数日で親がしておきたいこと

 画像が出回っていると分かった直後は、親も子も動揺します。この段階では、何かを解決しようと急ぐより、後の手続に必要なものを失わないことを優先します。画像そのものではなく、画像がどこにあるかを記録することが、最初の作業の中心になります。

画像そのものは保存・転送しない

 18歳未満の子の性的な画像は、本人が撮影したものであっても児童ポルノにあたり得ます(児童買春・児童ポルノ禁止法2条3項)。証拠のつもりで親が自分のスマートフォンに保存したり、家族や学校の先生に転送したりすることは避けます。子が18歳以上の場合でも、画像を複製して人に渡すことは、見られる範囲を広げる方向に働きます。画像の扱いは、警察に相談する際に確認するのが安全です。

控えておきたい情報

 記録しておくのは、画像の中身ではなく、その周辺の情報です。

  • 画像が載っているページのURLと、投稿したアカウントの名前やID。
  • 投稿や送信のおおよその日時と、親や子がそれに気づいた日時。
  • 画像が共有されているグループやチャットの名称と、参加している人の範囲。
  • 相手とのやり取りの内容。子のアカウントやメッセージは消さずに残しておく。
  • 子が話したことを、子の言葉のまま日時とともに書き留めたメモ。


 スクリーンショットを残す場合も、性的な部分が写り込まない範囲にとどめることが考えられます。判断に迷うときは撮らずに警察へ相談してください。また、子が慌ててアカウントや相手とのトークを削除すると、相手を特定する手がかりが失われることがあります。この点はアカウントを消せばよいのか|投稿削除と証拠保全の関係で解説しています。

子を責めず、脅しには応じない

 「なぜ送ったのか」と問い詰めると、子は次に何かあったときに話さなくなってしまいます。だまされたり、脅されたりして送らされたケースも多く、責任を問われるべきは撮影した人や広めた人です。「さらに画像を送れ」「お金を払え」と求められている場合は、応じずに警察へ相談します。脅されている場面の初動は、セクストーション(性的脅迫)に遭ったら|最初の1時間で決まることでも取り上げています。

削除と刑事手続は、止められるものが違う

 性的な画像への対応は、大きく「削除」と「刑事手続」の二つに分かれます。どちらも必要になることが多いものの、それぞれ止められるものと止められないものがあります。

削除は「見られる状態」を止める

 削除は、SNSや掲示板、動画サイトなどに載っている画像を、第三者が見られない状態にする手続です。働きかける相手はプラットフォームの運営者で、投稿した人が誰か分からなくても進めることができます。一方で、投稿した人の手元に残っている元の画像を消させる力はなく、別の場所への再投稿を防ぎきれない面があります。

刑事手続は「撮った人・広めた人」に向かう

 刑事手続は、撮影した人や画像を広めた人の責任を問う手続です。捜査の過程で相手の端末などが押収されれば、画像の没収や消去につながる場合があります。ただし、処罰を目的とする手続であり、ネット上に公開された投稿を消すこと自体を目的としているわけではありません。削除だけでは元の画像が残り、刑事手続だけでは公開中の投稿が残ることがあるため、二つを組み合わせて考える必要があります。

項目削除刑事手続
目的第三者が見られる状態をなくす撮影した人・広めた人の責任を問う
働きかける相手プラットフォームの運営者、サイトの管理者警察・検察
止められるもの特定のページでの公開押収された端末などに残る画像
止めにくいもの相手の手元の画像、別の場所への再投稿すでに公開されている投稿


削除の進め方

 削除は、画像がどこに、どのような形で出ているかによって進め方が変わります。

まずはプラットフォームへの申出

 主要なSNSや動画サイトの多くは、本人の同意のない性的な画像や、18歳未満の性的な画像の投稿を利用規約で禁じており、報告のための窓口を設けています。まずはこの窓口から申し出るのが基本です。2025年4月に施行された情報流通プラットフォーム対処法により、利用者の多い大規模なプラットフォームには、削除の申出を受け付ける窓口の整備や、原則として一定の期間内に対応の結果を申出人へ通知することが義務づけられました(情報流通プラットフォーム対処法22条・25条)。制度の概要は【男女トラブル】情報流通プラットフォーム対処法で削除依頼はどう変わったのか、申出に応じてもらえない場合の対応は【不当要求対応】削除を求めたのに応じてもらえない|プラットフォームが動かない場合で解説しています。

私事性的画像にあたる場合の特例

 交際相手や知人との間で、第三者に見られないことを前提に撮影された画像が広められた場合は、いわゆるリベンジポルノ防止法(私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律)の対象になり得ます。この法律では、プロバイダが投稿者に削除への同意を照会してから、反論がなければ削除できるまでの待機期間が、通常の7日から2日に短縮されています(同法4条)。

学校やグループ内で共有されている場合

 ネット上に公開されていなくても、同級生のグループチャットなど閉じた場で画像が回っていることがあります。この場合、プラットフォームへの申出だけでは届かず、画像を受け取った一人ひとりの端末に残っている点が問題になります。学校には、インターネットを通じて行われるものも含めて、いじめの事実を確認し、被害を受けた子を支援することが求められています(いじめ防止対策推進法2条1項・23条)。画像を持っている生徒への指導を学校に求めることが考えられますが、学校が画像を集めて確認するような進め方は、かえって複製を増やしかねません。警察と連携した進め方を学校と話し合うことが大切です。

 海外に拠点のあるサイトに掲載されている場合は【男女トラブル】プラットフォームが海外にある場合の削除|届かない請求への備え、検索結果に表示される場合は検索結果からの削除はどこまで認められるかも参考にしてください。

刑事手続で問題になる法律

 画像がどのように撮られ、どう広められたかによって、問題になる法律が変わります。

撮影そのものと、撮影された画像の提供

 2023年7月に施行された性的姿態撮影等処罰法は、正当な理由なく、ひそかに性的な姿態を撮影する行為などを処罰の対象としています。16歳未満の子の性的な姿態を撮影する行為は、ひそかに行われたかどうかにかかわらず、正当な理由がなければ対象になります(同法2条1項。13歳以上16歳未満の場合は、撮影した人が5歳以上年長であることが要件)。撮影された画像を人に渡したり、ネット上に公開したりする行為も、別に処罰の対象とされています(同法3条)。

18歳未満の子の画像

 子が18歳未満であれば、児童買春・児童ポルノ禁止法も問題になります。子をだましたり脅したりして自分の姿を撮影させ、送らせる行為は、児童ポルノの製造にあたり得ます(同法7条4項)。画像を人に渡したり公開したりする行為も処罰の対象です。さらに、16歳未満の子に性的な画像の送信を求める行為そのものを処罰する規定も設けられています(刑法182条3項)。警察庁の統計では、令和7年の児童ポルノ事犯の検挙人員1,256人のうち、約6割にあたる718人が10代でした。画像を撮らせたり広めたりした側が、子と同じ世代であることも少なくありません。

 なお、リベンジポルノ防止法による処罰は、被害を受けた人などからの告訴がなければ起訴できない罪とされています(同法3条4項)。どの法律で手続が進むかによって、告訴の意味合いも変わります。

押収された画像の没収と消去

 性的姿態撮影等処罰法には、撮影された画像の複写物などを没収できる規定のほか(同法8条)、捜査で押収された物に記録された性的な画像を、検察官が消去するなどの手続も設けられています(同法9条以下)。以前は、有罪とされた事実以外の画像が、端末の返還とともに持ち主の手元に戻ってしまうことが課題とされていました。相手の手元の画像にまで手が届くのは、主に刑事手続の側であり、削除だけでは得にくい効果といえます。

二つをどの順で動かすか

 削除と刑事手続は並行して進めることが多いものの、着手の順序には一定の考え方があります。

原則は、記録を残してから削除へ

 削除を先に進めると、ページが消えた時点で、投稿の存在や投稿者を示す情報を確認しにくくなることがあります。投稿者を特定するための通信の記録にも、事業者ごとの保存期間という制約があります。そのため、URLなどの記録を残し、警察への相談を済ませてから削除を申し出るのが基本の順序です。削除と投稿者の特定の関係は【不当要求対応】拡散された後の順序|削除と発信者特定のどちらを先に動かすかで詳しく扱っています。

脅されている・拡散が続いている場合

 「送らないとばらまく」と脅されている場合や、短い時間で転載が広がっている場合は、警察への相談を先にするか、削除の申出と並行して行います。見られる時間が長くなるほど被害が広がるため、記録を残したうえで削除を急ぐ判断もあり得ます。どちらを優先するかは、画像が今どこにどれだけ出ているかによって変わるため、状況を整理したうえで決めていきます。

親が代わりに動ける範囲

 子の画像の問題で親が迷うのは、「親がどこまで代わりに動いてよいのか」という点です。答えは子の年齢によって大きく変わります。

手続子が18歳未満子が18歳以上
削除の申出親権者が法定代理人として行える本人が行う。親が行うには本人の委任が必要
告訴親権者も子とは独立して行える本人が行う
示談・損害賠償の請求親権者が法定代理人として行う本人が行う
弁護士への依頼親権者が子に代わって依頼できる本人が依頼する。費用を親が負担することは可能


子が18歳未満の場合

 18歳未満の子については、親権者が法定代理人として削除の申出や損害賠償の請求を行うことができ(民法824条)、子とは独立して告訴をすることもできます(刑事訴訟法231条1項)。訴訟を起こす場合も、親権者が法定代理人として手続を行います(民事訴訟法31条)。ただし、代わりに動けることと、子の意向を聴かなくてよいことは別の問題です。警察に行くのか、学校に伝えるのか、示談に応じるのかは、年齢に応じて子の気持ちを確かめながら決めていくことが望ましいでしょう。示談書の当事者については未成年の被害者と示談する|親権者の同意と書面の当事者を参照してください。

子が18歳以上の場合

 18歳で成年に達すると(民法4条)、削除の申出も告訴も、原則として本人が行う手続になります。親が本人の了解なく代理人として動くことはできず、弁護士も本人からの依頼を受けて動くことになります。親にできるのは、子が相談に踏み出せるよう窓口や弁護士との面談を段取りし、付き添うことです。成人した子への関わり方は【親子問題】成人した子の問題に親が介入できる法的な範囲で、相談の内容が子にどう伝わるかは【親子問題】相談内容は子に伝わるのか|守秘義務と連絡の取り方で整理しています。

画像を広めた側も子どもである場合

 同級生など、画像を広めた側も未成年であることは珍しくありません。その場合、相手は少年事件の手続で扱われ、処分も成人とは異なる考え方で決まります(【親子問題】少年事件の流れ|家庭裁判所送致から審判まで)。相手の保護者に直接連絡して画像の削除を求めたくなる気持ちは自然ですが、言い合いになったり、画像がさらに別の端末に移されたりするおそれもあります。学校や警察、弁護士を介して進めるほうが、結果として画像の回収につながりやすい面があります。

避けたい対応

 子を守ろうとする気持ちから、かえって状況を難しくしてしまう対応もあります。

  • 証拠のつもりで、画像そのものを親の端末に保存したり、人に転送したりする。
  • 子のアカウントや相手とのやり取りを、記録を残さないまま削除させる。
  • 相手や相手の家族に直接詰め寄り、画像の削除や謝罪を求める。
  • 相手の名前や画像をSNSで公開し、責任を問おうとする。
  • 弁護士でない削除代行業者に、報酬を払って削除の交渉を任せる。


 最後の点について、報酬を得て他人の法律事務を扱えるのは原則として弁護士に限られています(弁護士法72条)。考え方は【不当要求対応】口コミの削除を業者に頼んでよいか|非弁とポリシー違反の二重でも触れています。

よくあるご質問

画像が本当に出回っているのか、親が確かめるべきでしょうか。

 親が検索して画像を探したり、画像を持っている子から見せてもらったりすることはおすすめしません。探す過程で画像を保存してしまうおそれがあるうえ、親に見られたことが子の負担になることもあります。「どこで見た」という情報があればその場所を控え、確認は警察や弁護士に委ねるのが安全です。

AIで加工された画像でも、削除や刑事手続の対象になりますか。

 子の顔写真を性的な画像に合成されたような場合、多くのプラットフォームでは規約違反として削除の対象になります。刑事手続では、実在する子の姿を描写したものと認められるかなど、どの法律にあたるかの判断が難しくなる面があります。詳しくは【男女トラブル】AIで作られた自分の性的画像が出回った|現行法で何が使えるのかで解説しています。

削除されれば、もう心配しなくてよいのでしょうか。

 特定のページから削除されても、別の場所に転載されていないか、しばらく注意しておく必要があります。相手が特定されて刑事手続や示談が進むと、画像を消去する約束や、今後広めない約束を取り付けられる場合もあります。削除は一度で終わるとは限らないため、記録を残しながら見通しを立てておくことが大切です。

まとめ


  1. 最初にするのは、画像そのものではなく、画像がどこにあるかの記録。18歳未満の子の画像は親でも保存・転送しない(児童買春・児童ポルノ禁止法2条3項)。
  2. 削除は第三者が見られる状態を止め、刑事手続は撮った人・広めた人に向かう。止められるものが違うため、二段構えで考える。
  3. 大規模なプラットフォームには、削除申出の窓口と、一定期間内の結果の通知が義務づけられている(情報流通プラットフォーム対処法22条・25条)。
  4. 性的姿態撮影等処罰法は撮影と提供を処罰し、押収された画像の没収・消去の手続も設けている(同法2条・3条・8条・9条以下)。
  5. 順序は、記録を残し警察に相談してから削除するのが基本。脅しや急速な拡散がある場合は並行して進める。
  6. 子が18歳未満なら親権者が法定代理人として動ける(民法824条、刑事訴訟法231条1項)。18歳以上なら本人の意思と委任が前提になる。
  7. 学校内で広まった場合は、いじめとしての対応も学校に求められる(いじめ防止対策推進法2条1項・23条)。


お子さんの画像の問題でお悩みの親御さんへ

 弁護士法人若井綜合法律事務所では、親子の問題に関するご相談を池袋と新橋の事務所でお受けしており、遠方の方からのご相談にも対応しています。性的な画像の問題では、警察、学校、プラットフォーム、相手方と、親が同時に向き合う相手が多くなります。当事務所は親の代理人として、削除の申出や告訴の準備、学校や相手方とのやり取りを担い、どの手続から動かすかを一緒に整理します。

 お子さんが画像を撮られた・広められた側であっても、画像を受け取った・広めた側であっても、今ある情報を整理するところからご相談いただけます。どこから手をつければよいか分からない段階でも、お気軽にお声がけください。

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若井亮
専門家

若井亮(弁護士)

弁護士法人若井綜合法律事務所

風俗トラブルや男女トラブル、それに伴う刑事事件まで一貫して対応。累計相談件数は男女トラブル約23,000件、風俗トラブル約8,000件。全国からの相談を24時間受け付け、迅速な対応を心がけています。

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