【親子問題】子が親のカードで課金・通販をしている|成人した子の無断利用と、支払い・返還の整理
本記事は、成人した子(おおむね20代以上)がひきこもりの状態にあり、親子の会話が長く途絶えているご家庭を念頭に、2026年10月時点の制度にもとづいて解説しています。
同じ家に暮らしながら、子とまともに言葉を交わさなくなって数年が経つ。食事は部屋の前に置き、必要なことはメモで伝える。こうした状態が続くと、親の側から何をどう切り出せばよいのか分からなくなり、「誰かに間に入ってもらえないか」と考えるのは自然な流れです。結論からいえば、親子の間に第三者を入れることはできます。ただし、間に入る人によって果たせる役割は異なり、誰を選ぶか、どの順番で入ってもらうかによって、その後の関係が変わることがあります。本記事では、間に入ってもらえる人の種類とそれぞれの限界、入ってもらう前に親が決めておきたいことを整理します。
会話が途絶えた親子で、親だけで打開するのが難しい理由
会話が数年途絶えている場合、親子の間には「話しかければ怒られる」「話しかけられると責められる」という互いの予測ができあがっていることが少なくありません。この状態で親が意を決して話しかけても、内容より先に「また何か言われる」という構えが働き、短いやり取りで終わってしまうことがあります。
また、親は子にとって利害の当事者でもあります。生活費、住まい、将来のことなど、親が伝えたい話題の多くは、子から見れば自分に何かを求める話に聞こえやすいものです。第三者が間に入る意味は、親子のどちらにも寄りすぎない人が加わることで、この構えを少しずつ緩めていく点にあります。自治体などのひきこもり相談の資料でも、家族だけで抱え込まずに相談機関とつながることが繰り返し勧められています。
間に入ってもらえる人と、それぞれの役割
| 間に入る人 | 主にできること | 限界・注意点 |
|---|---|---|
| 家族会・親の会 | 同じ立場の親との情報交換、接し方の工夫の共有 | 子に直接働きかける役割ではない |
| ひきこもり地域支援センター・精神保健福祉センター | 親の相談、状況に応じた訪問や関係機関へのつなぎ | 本人の状態や意向を確かめながら進むため、時間がかかることがある |
| 市区町村の相談窓口(自立相談支援機関など) | 生活面・経済面を含めた相談、支援機関の調整 | 地域によって体制に差がある |
| 医療機関 | 精神疾患が疑われる場合の評価や治療 | 本人が受診に応じなければ、家族の相談から始まる |
| 民間の訪問支援・カウンセラー | 家庭への訪問、本人との継続的な対話、生活面の支援 | 事業者によって支援の質や契約条件に差がある |
| 家庭裁判所の調停 | 調停委員を介した話し合いの場の設定 | 出席や合意を強制する仕組みではない |
| 弁護士 | 親の代理人として子に連絡し、金銭や住まいなどの条件を整理する | 親の側に立つため、子の相談相手そのものにはなりにくい |
どの担い手も、「親子を必ず話せる状態に戻す」役割を一人で担えるわけではありません。親の相談に乗る人、子に直接会いに行く人、条件の話をまとめる人と、役割が分かれていると考えると選びやすくなります。家族会や公的な窓口については、【親子問題】家族会・当事者会の役割|弁護士に頼む前にできることや【親子問題】ひきこもり地域支援センターでできること・できないことで詳しく解説しています。
第三者に入ってもらう前に、親が決めておきたいこと
何のために間に入ってもらうのかを絞る
「会話を取り戻したい」「家を出て自立してほしい」「お金の要求を止めたい」「親が亡くなった後の生活を話し合っておきたい」など、親の願いは一つではないことが多いものです。ただ、目的が混ざったまま第三者に入ってもらうと、子からは「結局、自分を追い出すための人なのか」と受け取られることがあります。最初に頼む相手には、いま一番動かしたいことを一つ伝え、それに合った担い手を選ぶほうが進めやすくなります。
子に知らせずに進めないほうがよい理由
第三者を突然家に招いたり、子の知らないところで話を進めたりすると、子が強く反発し、かえって部屋にこもる時間が長くなることがあります。会話がない状態でも、「親が相談を始めたこと」「近いうちに人が訪ねてくるかもしれないこと」は、手紙やメモで事前に伝えておくのが一般的です。相談していることを子に知られた後の接し方については、【親子問題】相談を始めたことを子に知られた|その後の接し方もご参照ください。
本人の意思を無視した連れ出しは選ばない
民間の事業者の中には、本人の同意を十分に得ないまま施設へ連れていく形の支援をうたうものもあります。親が契約していても本人の同意の代わりにはならず、裁判で違法と判断された例もあります。間に入ってもらう相手を探す段階で、本人の意思をどう扱うのかを必ず確認してください。詳しくは【親子問題】本人の同意なく連れ出すことが違法とされる理由|親の依頼では代わりにならないで解説しています。
会話がないままでも始められる伝え方
数年会話がない状態から、いきなり対面で話し合う必要はありません。第三者が入る準備としては、次のような小さな段階を踏むことが考えられます。
- 親が相談先とつながり、家庭の状況を伝えます。
- 相談先と話し合いながら、子に宛てた短い手紙を用意します。
- 手紙では責める言葉や将来への不安を並べず、「親が相談を始めたこと」と「会ってみてもよいと思える人がいること」だけを伝えます。
- 子から反応がなくても、一定の間隔で同じ趣旨の連絡を続けます。
- 子が少しでも関心を示したら、手紙のやり取りや短時間の訪問など、第三者との小さな接点を作ります。
この過程で大切なのは、返事がないことを「拒否された」と受け取りすぎないことです。返事をしないまま手紙を読んでいる場合もあり、時間をおいてから反応が出ることもあります。
弁護士が間に入るのはどのような場面か
弁護士は、親から依頼を受け、親の代理人として動く立場です。そのため、子の悩みに寄り添う役割よりも、親子の間で整理しなければならない事柄があるときに力を発揮します。たとえば、次のような場面です。
- 子からの金銭の要求が続き、親が直接断ることが難しい場面。
- 暴言や暴力があり、親が子と顔を合わせて話すこと自体に危険がある場面。
- 子に家を出て暮らしてもらうことを考えており、住まいや当面の生活費の条件を決める必要がある場面。
- 親の高齢化に備え、生活費の援助をいつまで、どの範囲で続けるかを子に伝える必要がある場面。
弁護士が入ると、子への連絡は弁護士を通して行われるようになり、親が一人で矢面に立つ状態を変えることができます。最初の連絡で何を伝えるかについては、【親子問題】弁護士から子に最初の連絡が入るとき|通知で伝えることで解説しています。なお、暴力の危険が差し迫っている場合は、間に人を入れる準備より先に身の安全の確保を優先してください(【親子問題】子から暴力を受けている|まず確保すべき安全と記録)。
一方で、弁護士は親の側に立つ存在であるため、子が弁護士に心を開いて話すとは限りません。当事務所では、弁護士が親の代理人として条件面を担い、自立支援カウンセラーが子の話を聞きながら住まい探しや仕事探しなど生活の立て直しを支える、という形で役割を分けています。この考え方については、【親子問題】弁護士とカウンセラーが組むという形|役割を分ける理由をご覧ください。
家庭裁判所の調停で話し合いの場を作る方法
親子の間で話し合いがまとまらない、あるいは話し合い自体ができない場合には、家庭裁判所の親族関係調整調停を利用することも考えられます。調停委員会が双方から事情を聴き、解決案の提示や助言をしながら話し合いを進める手続です。裁判所の案内によれば、申立先は原則として相手方の住所地の家庭裁判所(当事者が合意で定めた家庭裁判所も可)で、費用は収入印紙1,200円分と連絡用の郵便切手です。
調停は、同じ家に住みながら会話のない親子にとって、直接顔を突き合わせずに考えを伝え合う場になり得ます。ただし、申立書の写しは相手方である子に送られますし、子が出席しなかったり合意に応じなかったりすれば、調停は成立しません。子が裁判所からの書類で初めて親の考えを知る形になるため、受け止め方によってはかえって関係がこじれることもあります。申し立ての前に、子への伝え方を含めて検討しておくことが大切です。
間に人を入れても、すぐに変化が出ないとき
第三者が入っても、子が会うことを拒んだり、何か月も反応がなかったりすることは珍しくありません。その場合でも、親が相談先とのつながりを保ち、状況を共有し続けることには意味があります。子の状態が変わったとき、すぐに動ける体制を整えておけるからです。
また、最初に選んだ担い手が合わないと感じたら、別の窓口や支援者に切り替えることも選択肢の一つです。子がカウンセラーとの面会を拒んだ場合の考え方は【親子問題】カウンセラーと会うことを子が拒んだ場合で、精神疾患が疑われるときに医療へつなぐ判断は【親子問題】ひきこもりと精神疾患の切り分け|医療につなぐ判断で整理しています。
親自身が疲れ切ってしまうと、どの支援も続けにくくなります。間に人を入れることは、子のためだけでなく、親が一人で抱え込む状態から抜け出すための手段でもあります。
数年会話がない親子でも、間に人を入れることで、少しずつ状況が動き出すことがあります。誰に、何を、どの順番で頼むかを親が整理しておくことが、その第一歩になります。当事務所の親子問題への取り組みは、【親子問題】弁護士が「親の代理人」として親子問題に介入するサービス|家庭内暴力・ひきこもりに悩むご家庭へ、自立支援カウンセラーとチームで対応でご案内しています。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


