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安永好宏

装着型サイボーグHAL®で自立歩行支援や介護問題に取組むプロ

安永好宏(やすながよしひろ) / ロボケアセンター代表

鈴鹿ロボケアセンター株式会社

コラム

脳出血の後遺症で動かなかった右腕がHALで動かせるようになった利用者様の話

2021年7月12日

テーマ:脳卒中 HAL

コラムカテゴリ:医療・病院

コラムキーワード: 介護予防 プログラム

まず簡単に利用者様の状況をお伝えします。

50代男性、脳出血発症後約1年経過、右半身に麻痺が残り杖を使っての歩行はできますが、伸びたままの右腕は曲げることができない状況でした。

脳梗塞、脳出血などいわゆる脳卒中で後遺症が残ってしまった場合、多くは右半分、または左半分、のどちらかの麻痺が強い片麻痺という状態になります。

この方の場合は、右半身に麻痺が残りこれまでのリハビリでは、結局一度も右腕を自力で曲げることができないまま回復期を終えられ、鈴鹿ロボケアセンターに来られました。

まず初めに、右腕の動きを見るために、ベッドに仰向けに寝ていただいて右肘を曲げるよう声をかけます。


脳出血1


脳出血2
麻痺した右腕は動かすことができません




ご本人としては、肘を曲げるべく色々と工夫して力を入れているのですが、麻痺した右腕は微動だにしません。

おそらく、どうやっても腕が動かないので、力の入れ方が合ってるのか間違ってるのか、力が入ってるのか入ってないのか、自分でもわからない状況だと思います。

そこでHAL単関節タイプを装着し、まずはセンサーで生体電位信号が確認できるのか見てみることとし、HALを装着後先ほどと同じように肘を曲げてくださいと声かけをします。
(人が身体を動かそうとした時に、脳から発せられる命令の信号を生体電位信号と呼んでいます。この信号が脳から発せられ、神経を通じ筋肉の各部位に伝達され運動が起こります。)

なかなか生体電位信号が確認できず、信号を読み取るHALのフィルターの数字を上げ、グラフを拡大していったところ、わずかに反応がありました。


脳出血3



HALは微弱にでも生体信号が確認できれば、それを増幅してモーターでサポートすることができますので、このわずかな信号でHALが適切にサポートするよう機械側の設定をします。

肘を曲げようとして出る僅かな信号でHALのサポートがかかり、肘が曲げられる、という状況ができ、繰り返し肘を曲げる練習をしていきます。

すると、運動のイメージがつきますので、徐々に正しく、徐々に強い生体電位信号が出せるようになってきました。



脳出血4



ある程度、力の入れ方のコツを掴んでくると、HALを装着していれば簡単に肘が曲げられるようになってきました。

そうなってくると、今度は逆にHALのサポートをどんどん弱くしていきます。

つまり、最初はHALのサポートの割合が多かったところを、徐々に自力の割合が多くなる用にHALのサポートを弱くしていくのです。

そうして身体の動かし方がわかった状態で、HALを外してみて肘が曲げられるか試してみます。

すると、脳出血発症後、約1年間一度も動かなかった右腕を初めて自力で曲げることができました。

脳出血5




これにはご本人も驚いていましたし、ご家族の方にもとても喜んでいただけました。

このように、身体を動かそうとした時の「動きなさい」という命令の信号がどのよう出ているのかHALに搭載されたモニターで可視化できるのはHALの大きな利点です。

例えば肘を曲げようとした場合、力を入れているつもりでも実際は力が入っていない、とか曲げようとしていても実際は伸ばそうとしている信号が出ている、や、曲げると伸ばすの両方の命令信号が同時に出ている(このケースはとても多い)、など

どういう力の使い方をしていて動かないのかもわかりますし、間違った力の使い方をしていればグラフを見ながら正しい方向に調節していくことも可能です。

そしてHALを装着した状態で正しく動作ができるようになってくると、HALを外してもそのイメージが残っているので、正しい力の使い方がわかるようになってきます。

今回紹介した利用者様の場合、こういった肘の曲げ伸ばし、HAL下肢タイプを装着した歩行、のNuroHALFIT専門プログラムを毎週1回、1回につき90分受けられていました。

そうして5ヶ月くらい経過した頃、随分と身体の自由もきくようになり、見事職場復帰され鈴鹿ロボケアセンターでのプログラムを卒業して行かれました。

今回のケースはたくさんある中の1例で、同じ脳卒中で、同じ程度だったとしても細かく見るとその症状は十人十色です。

みんながみんな今回のような明確な回復をするということではありませんが、少なからず何らかの変化は感じていただける場合がほとんどです。

HALを使用するというのは、万能というわけではありませんが、通常のリハビリではできなかったこと、通常のリハビリで気づけなかったこと、に新たな気づきがある場合も多いです。

今の日本は、保険のシステム上、リハビリのできる日数に限りがあります。

「まだリハビリを続けたいのにもうリハビリさせてもらえない」という体が不自由になってしまった方や、「もっと続ければもっと良くなりそうなのにここまでしかできない」と思う医師やセラピストの方もたくさん見えることと思います。

私どものような自費リハの施設では、そういった制限はありませんので、そのようにお考えの方々の一助となれれば幸いです。

この記事を書いたプロ

安永好宏

装着型サイボーグHAL®で自立歩行支援や介護問題に取組むプロ

安永好宏(鈴鹿ロボケアセンター株式会社)

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