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小菅昌秀

クレーム対応・コンプライアンス・ハラスメント研修のプロ

小菅昌秀(こすげまさひで) / 社員研修サービス

サミット人材開発株式会社

コラム

パワハラ体質が社員のコンプライアンス意識を低くする 日野自動車にみる会社の体質

2023年7月24日 公開 / 2023年7月27日更新

コラムカテゴリ:ビジネス


昨年の日野自動車の不祥事


現在、ビッグモーターの不祥事事件が話題になっております。まだ分析がすべてできていないのですが、似た感じがしますので1年前の日野自動車の事件について書こうと思います。

昨年、日野自動車で不祥事が発覚し特別調査委員会による調査報告がありました。それによると
1.排出ガスに関する不正行為
2.燃費に関する不正行為
3.2016 年(平成28 年)5月、国交省から、道路運送車両法に基づき、認証取得時の排出ガス・燃費試験における不適切な事案の有無について報告を求められた際、不適切な事案はなかった旨の虚偽の回答を行ったこと(「2016 年問題」)
といった3つの問題点がありました。(日野自動車 特別調査委員会による調査報告書の概要より引用)

これらの不正が起きた原因を特別調査委員会が追及したところポイントは3つあったようです。
1.みんなでクルマをつくっていないこと
2.世の中の変化に取り残されていること
3.業務をマネジメントする仕組みが軽視されていたこと

1.についてはセクショナリズムが強く縦割りの組織で、部分最適に囚われて全体最適を考えないこと、自由闊達に意見が言えないこと、現場と経営陣の意識が断絶されていること、品質保証・管理部門の位置づけやみんなで車を作るという状況になっていないことが指摘されています。

2.については過去の成功が大きいゆえに変化することや自己を客観視したりすることができず、その真因は上にモノが言えない、できないことはできないと言えない風土になってしまっていること。開発プロセスのチェック機能が十分でなかったことなどが挙げられています。

3.については開発プロセスの移行可否の判定が曖昧であったこと、パワートレーン実験部が開発業務と認証業務の双方を担当していたこと、規程やマニュアル類の整備が十分でなかったこと、役員クラスと現場との間に適切な権限分配がなされていないことが挙げられています。(いずれも上記調査報告書より抜粋した内容を編集しています。)

問題を起こす企業に共通する体質


特に私が注視しているのが2で書いたような上にモノが言いにくいパワハラ体質であることです。中部地方の自治体や企業で不祥事があると研修講師として呼ばれますが、新聞に載らない真の不祥事の原因はパワハラや組織の風通しの悪さであることがほとんどです。

今回のケースも上が何としてでも合格基準に持っていけという指示に逆らえず、虚偽の報告や不正を行っているといった結果になっています。2016年に発覚した三菱自動車の燃費データ改ざん事件とまったく同じ構造です。2018年の日大アメフト部事件も同様です。今回のビッグモーターも同じに見えます。類似・共通する構造である不祥事は大変多いです。コンプライアンス意識の高い職場に共通して言えることはコミュニケーションが活性化したコミュニケーションが取れた職場であることです。パワハラ気質だと考えられるならば今すぐ体質改善が必要です。

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