心配は先生の担当
京都コムニタスでは毎年合格した方が体験記を書いてくれます。時には私たちにとって、とても素晴らしい体験記で、身に余るような内容になっていることもありますが、見方を変えると、私たちは今もこのように書いてもらえるだけのことができているかどうかの戒めとして見ています。せっかく京都コムニタスのことを良く思っていてくれても、数年後に変質していたのでは、かえって彼らの期待を裏切ってしまいます。そうならないように体験記を時々読み返しています。
今回紹介するのはこちらの方の合格体験記です。
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私は、約1年間京都コムニタスに在籍していました。失敗を何度も重ねて、合格することができました。1年間、多くの先生方の元で学び、その中で、もっとも困難だったのは、筆記の勉強や面接対策でもなく、『考え方』を変えることでした。 私は、入塾した当初、通信制の大学に通っていました。英語は高校生レベルで、心理学も全く知識がありませんでした。文章さえ、うまく書けず、論理的思考って何?って思っていました。私は、授業だけを聞いて、あまり自主的な努力をしていませんでした。他の生徒が、研究計画のために取材をしたり、ボランティアでこんなこと頑張ったとか、教室で話しているところをよく見かけました。そんな話を聞いてて、私は、「そんなに努力してどうするん?意味ないやろ」「大学生如きがそんなことしたって笑われるだけやろ」って思っていました。「しんどい事するのは無意味だ」と、いうのが、入塾した頃の私の『考え方』でした。 最初の秋の試験が不合格となり、さすがに焦って、勉強だけは頑張りました。しかし、研究計画や面接対策の努力を怠り、授業外での面談を極力避けていました。何度も、塾長に研究計画を見て頂きましたが、「この研究で何を知りたい?」「大学院で何をしたい?」という問いに答えられませんでした。次第に、面談の予約をせずに、逃げるように自分に都合の良い、楽な勉強をしていました。もちろん、春の2回目の試験も不合格でした。 私は、2度の不合格といつまで経っても本気になれない自分に対して、絶望を感じていました。それでも、塾長は、必修の授業で「みんなは大丈夫です。折れずにやっていきましょう。力はついています。」と言います。私は、信じてくれている先生についイラっとしてしまいました。「先生の言っている“みんな”は、高校も大学も普通のところに通っていて、ずっと勉強をしてきた人を指している。私はそんな人達とは違う。」と思いました。私は、高校を1ヶ月で辞めて、通信制に転校し、大学も1年で辞めて、通信制の大学に行きました。どちらも、しんどいことから逃げるために辞めました。ある日、私は、「何度も退学を繰り返して、通信制に通っている私が、試験に受かるわけない」と面談の時に塾長に言ってしまいました。私が努力せず、逃げてきた結果なのに、そんな理不尽な言いがかりを塾長はじっくり聴いてくれました。この事だけではなく、過去のことも、家族のことも聴いてくれました。夜中なのに2時間ほど話しをして頂き、目が腫れるほど泣きました。私はこんなに、親身にしてくださる先生のことを信用して、少しずつ変わってみようかなと思いました。この頃から、今まで、「意味がない」や「しんどい」と思っていたボランティア活動や研究計画に関する取材もしていったと思います。辛いことが何度もありましたが、先生が必修の授業でよく仰っていた「必要なものを必要なぶんだけ、過不足なく」を自分に言い聞かせて頑張っていきました。コムニタス通う人達とも仲良くなりました。コムニタスに通う人達は、自分も不安で一杯なのに、私に「大丈夫だよ」と励ましてくれる、本当に良い人達ばかりでした。そして、これらの経験を元に、新たに研究計画書を書き、塾長との面談の予約をと りました。「きっと、多く指摘されるけど、絶対折れない」と覚悟して持っていきました。すると、先生はこう言いました。今でも鮮明に覚えています。「おー。こういう文章かけるようになってんなぁ。これは、○○だから、△△をするってことやんなぁ。うん、ちゃんと筋は通ってるし、細かいところだけ直せば、これでいいよ。成長したなぁ。」と仰いました。私は、とても驚きました。努力を認めてもらうことが、こんなに嬉しいことだとは思いませんでした。この出来事は、きっと一生忘れないと思います。それから3ヶ月程、必死に毎日、コムニタスへ行き、仲間達と共に努力をしました。何度も周りに助けてもらい、第1志望の大学院の受験を迎えることができました。筆記は、少しミスをして、がっかりしましたが、面接は、これまでの自分の100%を出せました。面接が終わって、試験会場から、コムニタスの仲間がいる待合室まで、嬉しくて思わず走ってしまいました。みんなは笑ってくれました。そして、無事第1志望に受かることができました。すぐに先生に報告しにいくと、拍手して、「受かると思ってたよ」と言って頂きました。 私はこの1年間で、塾長が行う「必修」の授業を一度も休んだことがなく、そして、毎回、授業を真剣に聞いていました。私は、高校、大学で学びたかった教養をこの授業で学びました。面接の仕方も、そして、『考え方』の基礎も学びました。私の今の『考え方』は、「私は、私らしくあっていい。失敗することもあるけど、私なりに頑張っていけばいい。周りに合わさず、私らしく努力をしていても、私の周りには良い人たちで溢れている。」です。きっと、今まで、自分らしくいることが怖くて、しんどいことや努力をすることから逃げてきたんだと思います。他の先生方は、すぐに慣れて緊張はしなくなりましたが、正直、塾長は今でも少し緊張します。でも、これだけ、親身に、真剣に、時に厳しく言ってく れる先生は、今の時代には、少ないと思います。たくさんの人に助けてもらって獲得した合格で、今とても嬉しいですが、もうコムニタスに来られないと思うと、とても悲しいです。いつまでもあり続けて欲しい空間です。大変お世話になりました。
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