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一番ヶ瀬正明

小規模事業者・中小企業の広告コンサルティングのプロ

一番ヶ瀬正明(いちばかせまさあき) / 広告コンサルタント

有限会社ディーナ

コラム

【第6回経営者コラム】ブランディングから⼀歩踏み込んだ 「SDGs」と⾔う選択。それは、リクルート・資⾦調達にも有利な⻑期的アピールポイント!

2022年10月3日

テーマ:中小企業のSDGs

コラムカテゴリ:ビジネス

コラムキーワード: 企業ブランディング



この数年で、⽇本国内でもその認知が⼀挙に⾼まった「SDGs」。
いまだに続くコロナ禍の中、中⼩企業・⼩規模事業の皆さまにとってSDGsへの取り組みを開始するということは頭の痛いところであり、後回しになっていると⾔うのが現状ではないでしょうか。

しかしながら、中⼩企業・⼩規模事業者さまが「SDGs」に取り組むことによるメリットは確実に存在し、⻑い⽬で⾒たアピールポイントにもなり得ると⾔われています。
また、プロモーションの在り⽅はコロナ禍により変化し続け、⼤きな意味での”サスティナブル(持続可能)”な施策が、その効果をじわじわと表す様になってきました。

今回のコラムでは「SDGs」に取り組むことで⾒込めるメリットと社会課題に対する事業アプローチのヒント
を、「SDGs=ブランディングの延⻑」と⾔う⽬線で、プロジェクトアイデアなどを交えながら、紐解きます。



ビジネスシーンで度々登場。あらためて考える「サスティナビリティとSDGs」


「サステナビリティ」と「SDGs」は、どちらも持続可能と訳されます。
そのため区別がやっかいですが、簡単に分けるならば、「サステナビリティ」の考え⽅をより具体的にしたものが「SDGs」と考えるのが良いでしょう。
どちらも世界をより良いものとして持続していくことを⽬指すもので、「SDGs」は2030年までの達成を⽬標とし、「サステナビリティ」は期限を設けない⻑い⽬で⾒た⽬標です。


「SDGs」には、⼤きな17項⽬のゴールを実現するための⼩さなターゲットが169個あります。
169個のターゲットは、以下からご覧いただけます。

出典:イマココラボ SDGs(持続可能な開発⽬標)17の⽬標&169ターゲット個別解説
https://imacocollabo.or.jp/abo



「SDGs」に着⼿するメリットを知る。 取り組むか?取り組まないか?は、経営者次第


SDGs経営の指南書「wbcsd(World Business Council for Sustainable Development:持続可能な開発のための世界経済⼈会議)」が提⾔するSDG Compassでは、様々なビジネスチャンスがあると謳っています。
が、具体的なメリットはどの様なものが挙げられるのでしょうか。
SDGsを経営に取り⼊れた場合の「具体的メリット」を、⾒ていきましょう。

参考: SDGs とは SDGsが企業にとってなぜ必要か Global Compact Network Japan、SDG Compass、
https://www.ungcjn.org/sdgs/whyneed.html SDGsの企業⾏動指針 -SDGsを企業はどう活⽤するかhttps://www.ungcjn.org/sdgs/files/file_whyneed01.pdf
※wbcsdとは、持続可能な開発を⽬指す企業約200社のCEO連合体で、企業が持続可能な社会への移⾏に貢献するために協働しています。

メリット1

消費者を味⽅につけ「売上アップが期待できる」
博報堂調べによれば、消費者の7〜8割が「⽣産・製造時に環境に配慮しSDGsに取り組んだ製品を購⼊する傾向にある」との報告があります。
例えば、環境や社会課題に取り組んだ「製品・サービス・技術」などの開発や提供をすれば、その事業や製品が、社会や消費者に広く受け⼊れられることになり、⾃社の価値の向上はもとより、売り上げの向上も期待できます。

出典:博報堂「⽣活者のサステナブル購買⾏動調査」結果発表
https://www.hakuhodo.co.jp/news/newsrelease/74993/


メリット2

企業価値の向上により「リクルーティングに有利に働く」
普段の企業活動の中での「SDGsへの取り組み」の情報発信はもちろん、ホームページや会社説明の場で「SDGsへの取り組み」をアピールすることも、イメージ向上に繋がります。
特に、新卒就活⽣は社会貢献度の⾼さでも企業を選ぶ傾向にあるため、SDGsへの取り組みが採⽤にも有利に働きますし、求めている⼈材の確保にも繋がるのです。


メリット3

企業価値の向上により「資⾦調達の後押しとなる」
SDGsは、近年、投資判断の材料になると⾔われています。
投資家からの資⾦調達や、銀⾏などへの借り⼊れなどのチャンスも広がると⾔えるでしょう。

さらに今後は、「税制⾯での優遇や税コスト軽減」も期待できます。
例えば、⽇本証券業協会ではSDGs推進のための税制措置として、社会の持続的な発展に貢献する⾦融商品への投資について要望を⾏なっています。
法⼈の場合は、法⼈税において特別な控除を可能とするというものです。

参考:⽇本証券業協会 SDGs推進のための税制措置(税制改正要望)
証券業界のSDGs https://www.jsda.or.jp/sdgs/zeisei.html(2022.09.13)


メリット4

ビジネスチャンスが得られ「他企業との連携が実現する」
SDGsへの取り組みの発信により顧客はもちろん、地域や社会全体に⾃社の取り組みを伝えることで期待できるのが「他企業との連携」です。
他企業の強みと⾃社の強みを掛け合わせ、新しい切り⼝を⾒出し、より良い製品やサービスを⽣み出すことも期待できます。



企業の取り組み例から学ぶ。 ビジネスチャンスを掴むための「SDGs」は、どこから⼿を付けるべき?


ではさっそく、企業の取り組みからヒントを得てみましょう。

事例1

楽しみながら。⾷品ロスへの取り組み⽜乳を飲むと漫画が読める「ミルクコミック」
⽜乳瓶に⼦どもたちが⼤好きな4コマ漫画をプリント。
漫画は⽩インクで印刷されているため、⽩い⽜乳が⼊った状態でははっきりと読むことができません。
⽜乳を飲み切ると、漫画の結末が読めるという仕掛け。
⼦どもたちの⾝近な⾷品ロス ⽜乳の飲み残し を減らすために開発。
岐⾩県関市の給⾷で試験的に導⼊され、今後、規模拡⼤を予定。


出典:関⽜乳「ミルクコミック」https://sekimilk.net/home/milkcomic/

事例2

多くの⼈や企業がタッグを組んだ。アップサイクルへの取り組み 古着のリーバイス501を⽣まれ変わらせた「デニムdeミライ〜Denim Project〜」
伊勢丹新宿店が主体となり、(株)ヤマサワプレスが所有する約20トンもの<リーバイス501>をアップサイクルするプロジェクト。
アパレル業界の過剰⽣産や⼤量廃棄の課題に取り組む。
プロジェクトには、デザイナー・クリエーターなど50社以上が賛同。
企業の垣根を越え、阪急百貨店うめだ本店、岩⽥屋本店、st company(桐⽣市)、MIDWEST NAGOYA(名古屋市)、GEA(寒河江市)とタッグを組み、未来へつなげていくため2022年3⽉からスタート。


出典: 三越伊勢丹/MITSUKOSHI ISETAN MAGAZINE
<リーバイス501>のユーズドストックをアップサイクル。
約60のブランドとクリエーター、学⽣らが賛同した「デニム de ミライ 〜Denim Project〜」https://www.mistore.jp/shopping/feature/shops_f2/st_denimdemirai1_sp.html

事例3

⽇常をサポート。多様なキャリア・価値観を提⽰し⽀援する取り組み 夫婦⼀緒に⼦育て ママ・パパが取り組むSGGs情報を「Web発信」
共働き夫婦の⽇常をサポートするだけでなく、⼦どもたちの未来や、持続可能な地球のために、無理なく取り組める⾏動を提案したWebページ。
ひとりの⼈間として満⾜できる⼈⽣を送るため、働く先輩ママたちの多様なキャリアや価値観を「選択肢のひとつ」として提⽰し働くママ・パパが取り組める⾝近なSDGs情報を発信する。


出典:マイナビ⼦育て「夫婦⼀緒に⼦育て ママ・パパが取り組むSGGs」
https://woman.mynavi.jp/kosodate/pages/sdgs


地⼤きな意味で地球に良いことをすると⾔う考え⽅がSDGsですが、
事例1は、「地球」「⼦どもたち」のために。
事例2は、「地球」「ジーンズユーザー」のために。
事例3は、「地球」「働く親」のために。

と、ターゲットを絞った展開であると⾔う点がポイントです。
⾃社ターゲットであるお客さまはどんな⼈たちなのか?
その点を、きちんと⾒出すことを忘れてはなりません。



まとめ


世界共通の⽬標だからと⾔って「なぜ、⾃社がSDGsに取り組む必要があるのか?」
それは、新たな市場開拓の機会を⽣み出すとともに、今までにない展開が期待できるビジネスチャンスなのです。

他社とのサスティナブルなコラボレーションを⾏えば、⾃社単独では考えつきもしなかった発想や商品が⽣まれる可能性がありますし、SDGsを通し、知り合うことのなかった⼈とのつながりや仲間が増えていく可能性もあるのです。
地場の会社同志が⼿を携えれば地域貢献にもなり、その取り組みを、テレビや新聞などの媒体で取り上げることも⼤いに考えられます。
さらに、⾃社からの広告発信としてテレビ・新聞・タブロイド紙の活⽤や、SNSの投稿さえも、しっかりとしたSDGsのバックボーンを武器に、⼒強い発信となるでしょう。
コラボレーションは、他社との協⼒のもと成り⽴つものですので、事業者同⼠のすり合わせなど難しい点も多々ありますが、それを上回る化学反応があると⾔うのも事実なのです。

最後に、SDGsへの取り組みには、ポイントがあります。
それは、社会価値と企業価値の2つを満たすことです。
社会が抱える問題に寄り添いながら、⾃社らしさをきちんと表現するのです。
SDGsは、⼈々の共感や連携なくして達成できません。
SDGsを通し得ることができた⾃社への共感は、⾃社製品への共感と信頼へと強く繋がっていくのです。

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