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コラム
経営革新は自己否定なのか?―経営者にとって余裕は大切な資質―
2017年12月1日
[未熟な志(こころざし)はもっと優しく育てよう]
以前「若者の起業を邪魔するな」というテーマで、このコラムを書いたことがあります。
その内容は、日経ビジネスの記事に
― 起業しようとする若者に余計なアドバイスをして志をくじくようなことをしないこと。―
といったことが取り上げられていたので、そのことについて書いたのです。
世間でよく行われている「起業アイディアコンテスト」のようなイベントでは、審査員を務める大企業のトップや大学の先生方の指摘がかなり厳しいらしい、と書いてありました。
― 緊張してプレゼンする若者に対して
「君の事業の強みは何か。」
「何年で収益ベースに乗れるのか。」
「大手が参入したらどう対策を打つのか。」
などと次々と鋭い突っ込みが入り、すっかり気落ちしてしまった企業家の卵たちはかわいそうで見るに忍びない。―
といったことが書かれていたのです。
私はこのことを取り上げて、
「起業家にしてもそうだが、2代目或いは後継者に対しても同じようなことが行なわれているので、もっと配慮すべきではないか。」
と、書いたのです。
[先駆者の意見は謙虚に聞こうよ]
しかし、先日こういった話をしていたら、ある方に
「そのことでしたら、若干逆の現象もありますよ。」
と言われたのです。
話をしてくれたのは自らもNPO法人を主宰する女性のIさんです。
彼女は若者たちと接触する機会も多く、彼らの話もよく聞いています。
以前、Iさんは起業を希望する若い男女と、グループディスカッションのようなことを行なったそうです。
その中で、ひときわ熱心に自分の考える事業の夢を語る女の子がいたらしいのです。
Iさんは自ら歩いてきた道であり、苦しい場面も経験してきたのでその女の子の語る事業について幾つか疑問点を尋ねてみたというのです。
それは、先述したような鋭い突っ込みでもなんでもなく、極めて基本的な質問だったらしいのですが、それを聞いた女の子の態度が急に変わったというのです。
その子は、どうも自分の意見を否定されたと勘違いしたらしく、とたんに不機嫌になり、Iさんに食ってかかってきたというお話でした。
Iさんは驚いて
「ごめんなさい。そんなつもりで聞いたんじゃないのよ。」
とたしなめたのですが、どうやらその場では女の子の機嫌はなおらなかったようなのです。
起業アイディアの面接とはやや違う場面なので、何とも言えないところではありますが、若さゆえの余裕のなさが成せる業だったのでしょうか。
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