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中田和宏

つらい痛みを軽減し、心身の健康を導く鍼灸のプロ

中田和宏(なかだかずひろ) / 鍼灸師

トキの森鍼灸院

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コラム

雪すかしと腰痛、その予防と対策

2022年12月29日

テーマ:健康とはり

コラムカテゴリ:くらし



はじめに

クリスマス寒波

 2022年のクリスマス前、日本列島は大変な大雪に見舞われました。このコラムを書いている時点でも雪の被害がニュースに上がっています。
 毎年訪れる寒波と雪。そして毎回雪すかしで腰や肩を痛める方がいらっしゃいます。このコラムでは雪すかしでからだを痛めないための方法やもし痛くなったらどうしたらよいかをお話します。

痛みは後からくる

 筋肉痛。正式には遅発性筋痛症と言います。筋疲労が原因で乳酸などの老廃物が筋肉中に停滞することで起こる痛みのことです。雪すかしでは日ごろ使っていない筋肉にこの筋肉痛が起こる傾向があります。「運動不足がたたって」と皆さんおっしゃいます。筋肉痛は作業中には起こりませんが、翌日や翌々日に発生します。早く筋肉痛が起こるとそれは若い証拠といわれますが根拠はありません。

雪すかしは運動になるか?

 日ごろ運動していない人にとっては雪すかしは運動とうつるかもしれませんが、実際のところ単純な作業です。運動はいろんな筋肉・関節を動かしますが、雪透かしは同じ筋肉ばかりを長時間酷使します。ケガや疲労の原因となります。
 すかしてきれいになった場所を見て満足していても、翌日にはまた元通り。真っ白な世界。これはストレス以外の何物でもありません。運動と考えないこと、受け入れて続けることです。
 さて、これまで「雪すかし」と雪かきのことを表現してきました。「雪すかし」は金沢や北陸の方言です。すかすというと表面をきれいに掃くようなイメージがありますが、実際には大量の雪を除いていく作業です。



雪かきの動作と痛む場所

 雪すかしの方法として、いくつかの道具があります。最近では軽くて丈夫なプラスチックに金属の歯をつけたスコップなどが売られていますが、強度に問題があります。一番いいのは通称「角スコ」。「剣スコ」と対をなす、刃先が平らな金属製のスコップです。土木作業用の比較的小さなものから雪すかし用の大きなものが売られています。金属製なので低温になると雪がスコップにひっつきます。ろうそくをこすりつけておくとひっつきにくくなります。シリコンスプレーでもいいでしょう。


 ほかにもママさんダンプやプッシャーがあり、雪の量やすかす場所によって使い分けます。ですから、道具の使い方で悪くするからだの場所が変わってきます。

ママさんダンプやプッシャーの場合

 前に雪を押して除雪するタイプです。この場合、からだを前傾して押しますから腹筋や腸腰筋に疲労がたまります。腸腰筋は比較的大きな筋肉ですので作業に強い筋肉ですが、限界を超えると腰が伸びなくなります。イスから立ち上がる際や朝起きる際に痛みます。

スコップの場合

 スコップでの雪すかしは、からだの前にある雪を左右どちらかに放る動作です。からだをひねる動作の繰り返しになります。右利きの場合、右手が下で左手が上で右方向に雪を放る動作が一般的です。右に腰をひねることになります。この時がんばるのが腹斜筋と腰回旋筋、そして腰方形筋です。からだを回転させて斜め前から横や後ろ方向に雪を移動させるのは複雑な動作です。日ごろからだをひねる動作はあまりないので筋疲労が強くなります。

雪かき全般

 中腰での作業は股関節をまげた状態を続けることになります。お尻の筋肉と太ももの裏の筋肉(ハムストリングス)が常に頑張っています。





その腰痛はホントに雪かきのせい?なりやすい人

がんばりすぎない、けれど「いつやるの?今でしょ!」

 まずは準備体操。寒さで体がこわばっているのでいきなり雪すかしを始めると後であちこち痛くなります。軽く体操してからだの動きを確認してから始めましょう。
 「明日でもいいや」と雪を放置しておくとえらい目にあいます。できるときにさっさとしてしまいましょう。そして明日もまたやるつもりでいてください。いやいやすると気持ちと脳、からだの動きがシンクロせずにケガを負ってしまうこともあります。
  休憩をこまめに入れて、すかす場所を小分けにして進めましょう。

日ごろの不摂生

 雪すかしで腰痛を起こす方の多くは、日頃から運動をしていない方です。そして姿勢やからだの使い方に問題があります。日常生活上異常がないので痛みなど表面化はしないのですが、いざ雪すかしをすると腰痛を起こします。例えば「足を組む」人。いつも右足を左足の上にのせて組むクセがあるという人は、右のお尻の筋肉にコリや緊張があります。足を組むと楽だから組んでいるのです。つまり足を組むことでお尻の筋肉を伸ばしています。伸ばすと楽なんです。自然とストレッチしているわけです。そんなお尻の筋肉に雪すかしで負荷をかけると痛みを出します。
 デスクワークや運転時間の長い人も腰やお尻の筋肉に問題があります。
 正月明けの大雪で腰痛を起こしやすい人は、寝正月で「食っちゃ寝、食っちゃ寝」してた人です。胃が疲れると腰や上臀部にコリが出来ます。
 仕事上のストレスや家庭内のストレスで心穏やかでない場合も、筋肉のバランスが悪くなり腰痛を起こしやすくなります。

はり治療の目的

 さて、残念なことに腰痛を起こしてしまったら。数日我慢すればよくなるからと放置しておくのも選択肢ですが、早期に改善を促すためにははりが最適です。はりは筋肉の緊張を緩和し、コリをほぐし、リラクゼーション効果があります。
 筋肉の緊張やコリが取れると血行が良くなり疲労物質の排出を促します。はりとともにお灸をします。台座灸と言って直接火が肌に触れないお灸をします。温めるお灸とお考え下さい。熱くて我慢できないようなら取り除きます。気持ちいい刺激が一番大事です。
 

自宅でできること

 疲労回復としての温活を行いましょう。入浴をはじめ暖かくしたお部屋やお布団で睡眠をとりましょう。温活についてはコラム「足が冷えてつらい人に☆温活のススメ☆その不調、冷えが原因かで紹介しています。使い捨てカイロを使ってもいいですね。
 雪すかし後の腰痛にシップを貼っている方がいます。確かにシップは消炎鎮痛剤が入っていますので痛みを止める効果がありますが、炎症がないのに消炎効果のシップを貼っていると血行が悪くなります。筋疲労は温めた方が早く軽くなります。炎症かどうかの判断は難しいところですが、気を付けておいてください。
 痛みが軽くなったらストレッチをしましょう。



予防法

 さて、ここまで「悪くなったら」のお話をしてきました。そこで雪が降る前にしておけば、雪すかしで腰痛を起こさない方法、についてです。

11月から始めるストレッチ-ウオーキングができない天気の日に

 寒くなり天候が悪くなると雨やみぞれでウオーキングができないという話をよく聞きます。何もせずにいて雪すかしを始めると腰痛を起こすことになります。
 雨の日はテレビ体操や腰やお尻のストレッチをしましょう。ウオーキングなどの運動習慣がついている人には難しいことではないでしょう。すでにされてる方もいるので習慣を継続しましょう。
 日ごろから腰痛でお困りの人は慢性になっている理由が必ずあります。それを改善するためにははり治療と生活習慣の見直しが必要です。

さいごに

 雪すかしは腰だけ使うわけではありません。腕や背中、ひざや足、全身を使います。ですから背中の痛み、五十肩やひざ痛、太ももの痛みなども同時に起こります。
 早期の回復にははり治療をおススメします。当院では予防法や自宅でできるストレッチも併用できるよう総合的に施術を行っていきます。

この記事を書いたプロ

中田和宏

つらい痛みを軽減し、心身の健康を導く鍼灸のプロ

中田和宏(トキの森鍼灸院)

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