Mybestpro Members

鈴木敏広プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

住宅の健康④~結露が住宅の寿命を短くした? その2

鈴木敏広

鈴木敏広

テーマ:結露

コラム「結露」に書いたように、結露には表面結露と内部結露があり表面結露は目に見える結露、たとえば窓ガラスに暖かい空気があたり露になるような結露のこと、内部結露とは水蒸気が床下、壁の中、天井裏の中に入り普段生活している人が見えない場所で起きる結露です。

結露の基本のようなことですが、A氏が内部結露を「暖かい部屋の空気が北の寒い部屋に移動することで起きる結露」と書いていますから、A氏が書き間違えたのでなければ、高気密高断熱を勧めている人が内部結露と表面結露の知識もなく住宅の断熱の本をつくっていることになります。しかも、気密が悪いことで家が腐ると書かれていますから問題です。

性能のいい厚い断熱材をいれ、気密が悪いために内部結露して家を腐らしたのは、昭和40年代に北海道で起きた「ナミダダケ事件」のことです。北海道は寒かったため、とにかく断熱材を厚くしたのです。但し、気密は考えなかったため、水蒸気がどんどん壁や床下に侵入し、内部結露してナミダタケという菌により家が傷んだ話です。

住宅の健康④

その後、北海道では気密を高くしたため上記のような内部結露はなくなりました。また、北海道は梅雨がなく、夏型結露が起きる可能性も低いため、A氏も勧める高気密高断熱で快適に住むことができると思います。

私が知る限り、北海道以南で気密が悪いため内部結露してたくさんの家が腐ったという話は聞いたことがありません。東北地方などでは北海道と同じようなことがあったかもしれませんが、私が住んでいる太平洋側ではなかったと思われます。そもそも最近まで性能のいい断熱材を入れていなかったのですから、そのようなことが起きるとは考えられません。

日本の住宅の寿命が26年というのは、A氏の書いてあるような単純な理由ではないと思います。もしも、A氏の言う通り内部結露だけが理由なら、断熱性は落ちますが風通しの良い家にすれば寿命は延びます。現実に日本の住宅で100年以上残っている家は、低気密低断熱の家ばかりで壁は土で床下も天井裏にも断熱材など入っていません。寿命だけ考えるのなら風通しの良い家を作ればよいのです。

次回は、『住宅の健康⑤~ドイツを手本にする不思議 その1』です。


---------1955年以来の信頼と実績---------------------------
      まちの大工さん 鈴木工務店
TEL : 0532-32-4265 FAX : 0532-32-4251
E-mail : machino-daikusan@h3.dion.ne.jp
◆住まいに関することは何でもお気軽にご相談下さい
-------------------------------------------------------------------------

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

鈴木敏広
専門家

鈴木敏広(一級建築士)

まちの大工さん 鈴木工務店

木造住宅からマンション、市の施設まで建築業界の最前線で培った経験を生かし、安心、安全、快適で長く暮らせる住環境を提案。大工経験から現場の声を大切にする家づくりは職人にも施主にも好評。リピート率も高い。

鈴木敏広プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

長く愛される住まい作りにこだわる一級建築士

鈴木敏広プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼