結露⑬~壁の結露は大問題
コラム「結露」に書いたように、結露には表面結露と内部結露があり表面結露は目に見える結露、たとえば窓ガラスに暖かい空気があたり露になるような結露のこと、内部結露とは水蒸気が床下、壁の中、天井裏の中に入り普段生活している人が見えない場所で起きる結露です。
結露の基本のようなことですが、A氏が内部結露を「暖かい部屋の空気が北の寒い部屋に移動することで起きる結露」と書いていますから、A氏が書き間違えたのでなければ、高気密高断熱を勧めている人が内部結露と表面結露の知識もなく住宅の断熱の本をつくっていることになります。しかも、気密が悪いことで家が腐ると書かれていますから問題です。
性能のいい厚い断熱材をいれ、気密が悪いために内部結露して家を腐らしたのは、昭和40年代に北海道で起きた「ナミダダケ事件」のことです。北海道は寒かったため、とにかく断熱材を厚くしたのです。但し、気密は考えなかったため、水蒸気がどんどん壁や床下に侵入し、内部結露してナミダタケという菌により家が傷んだ話です。
その後、北海道では気密を高くしたため上記のような内部結露はなくなりました。また、北海道は梅雨がなく、夏型結露が起きる可能性も低いため、A氏も勧める高気密高断熱で快適に住むことができると思います。
私が知る限り、北海道以南で気密が悪いため内部結露してたくさんの家が腐ったという話は聞いたことがありません。東北地方などでは北海道と同じようなことがあったかもしれませんが、私が住んでいる太平洋側ではなかったと思われます。そもそも最近まで性能のいい断熱材を入れていなかったのですから、そのようなことが起きるとは考えられません。
日本の住宅の寿命が26年というのは、A氏の書いてあるような単純な理由ではないと思います。もしも、A氏の言う通り内部結露だけが理由なら、断熱性は落ちますが風通しの良い家にすれば寿命は延びます。現実に日本の住宅で100年以上残っている家は、低気密低断熱の家ばかりで壁は土で床下も天井裏にも断熱材など入っていません。寿命だけ考えるのなら風通しの良い家を作ればよいのです。
次回は、『住宅の健康⑤~ドイツを手本にする不思議 その1』です。
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