熊本地震で起きたこと、分かったこと⑥~1981年基準と2000年基準の差
N値計算とは柱に取り付ける金物の計算方法です。2000年に改正されるまでは、山形、T型、L型の金物しかなく、とにかく上記の金物で固定しなさいという基準だったのです。
2000年の改正で個々の柱について計算する方法としてN値計算が決めら、掛る力に応じて金物が決められました。N値計算の計算式が下です。式を使って何を求めているかを知るよりも、何で計算しているかを見てください。
(1) 平屋の1階の柱、もしくは2階の柱のN値計算式
N=A1×B1-L
A1=計算する柱の両側の壁倍率の差、B1=0.5(出隅の柱は0.8)、L=0.6(出隅の柱は0.4)
(2) 2階建て部分の1階の柱のN値計算式
N=A1×B1+A2×B2-L
A1=計算する柱の両側の壁倍率の差、B1=0.5(出隅の柱は0.8)
A2=計算する柱に連続する2階の柱の両側の壁倍率の差、B2=0.5(出隅の柱は0.8)、L=1.6(出隅の柱は1.0)
難しそうに見えても式に入れる値は、柱の両側の耐力壁の壁倍率の差A1と上階の耐力壁の壁倍率の差A2だけであとは決められた定数です。壁倍率とは、耐力壁に造り方によって決められている数字で、数字が大きいほど強度があります
問題は(2)の式で、計算する柱の左右、上下の壁倍率の差で計算します。つまり、2階建ての1階の柱は直下率が高い家ほど2階の影響を受けて大きくなります。計算する柱に連続すると書いてありますから、連続していない、柱の上に柱がなければ上記の式のA2×B2は0となるためです(下の図参照)。
本当は、直下率が低い柱ほど危険で、ずれていれば力の流れは複雑になり、より強度のある金物を付けないのかもしれませんが、N値計算では直下率が高いほど値が大きくなってしまいます。
次回は、熊本地震で分かったこと⑫~私の経験、直下率の低い家 です。
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