熊本地震で起きたこと、分かったこと④~「新耐震」でも壊れた
コラム「熊本地震で起きたこと、分かったこと」は主に新聞、TVなどの報道から作ったコラムでした。このコラムは、その後の専門書(私が定期的に買っている雑誌、地震の後に出版された関連書籍)などから分かったことを書いていきます。
熊本地震で倒壊した建物の中に、耐力壁の筋交いが切れている写真がありました。1981年に筋交い用の金物と柱と梁、土台などの接合部に使用する金物が決められました。しかし、1995年の阪神の地震で接合部がはずれて倒壊した建物が多かったため、2000年基準では接合部が先に壊れないように掛かる力に応じて使用する金物が細かく決められたのです。
筋交が切れたことについては、コラム金物工法の疑問(コラム;金物工法の疑問② 参照)に、接合部で壊れないということは他で壊れるということになると書きましたが、その通りになったのです。筋交いが切れた理由は他にもあるかもしれませんが、いずれにせよ耐力壁としての性能は失われています。
どうして筋交いが切れてしまったのか?筋交いを使用した耐力壁は力が集中的にかかるため、筋交い、柱、梁や土台などの部材か各接合部の弱いところが壊れるからです。もちろん、接合部がはずれ倒壊した写真もありましたが、私の記憶では、今まで筋交いの接合部がはずれたことがあっても、筋交い自体が切れたことはあまりなかったと思います。
話は違いますが、時々、筋交いを表し仕上げ(完成しても筋交いが見える)している写真を見ます。表しにする場合は、柱と同じ太さにするなど座屈(材料が力に耐えかねて曲がってしまうこと)しないようにしないといけません。雑誌などで見ると、普通の筋交い(90ミリ×45ミリ)の部材を使用している家がありますが、地震が来たときに壁材の押えがないため、筋交いは湾曲して(差屈して)耐力壁の役目をしない可能性があります。
次回は、熊本地震で分かったこと②~面材の被害は少なかった です。
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