危ない吹き抜け7~教科書通りの家
1981年(昭和56年)に建築基準法で木造の耐震基準(壁量計算)の大改正がありました。基礎のことなどたくさん改正されたのですが、何よりも大きく変わったのは耐力壁の量が約40%増えたことです。同じ大きさの家でも10か所でよかった壁の数が14カ所に増えました。ですから、今までの基準では、壁が全然足らないことになります。
壁の力と床の強度は密接な関係があります。壁が増えると全体として壁は強くなる、それだけ床には大きな力が掛かり、床の強度はその分だけ強くないといけません。1981年の建築基準法改正では床の基準の変更はありませんでした。
前回のコラムの天王寺谷棟梁は1995年の阪神の地震の時に85才、棟梁のつくった家はほとんど1981年より前、耐力壁が今より4割も少ない時代に建てられました。でも、倒壊しませんでした。それは、法規で規定されていても手抜きをする御時世に、法規で規定していなくても経験的に必要なものは施工したことが壊れなかった理由だと思います。
次回は、「危ない吹き抜け13~M6以上の地震の2割は日本近海で起きる」です。