リフォームの時代⑬ 急成長したリフォーム業界のひずみ
4月からリフォームの長期優良住宅制度が始まりましたが、国の制度も意味がないと思っています。
リフォームの長期優良住宅制度は、耐震等級や断熱等級などを決める設計の審査で、審査は計画段階のみしか行いません。これは新築のも同じですが、完成時にも計画時と同じ審査を行わないので、計画段階と同じ性能が完成時に出ているかわかりません。
このような審査では、補助金をもらうための設計になってしまいます。国のつくる制度は、多くの場合、住宅業者のためなのです。本当は、どんな工事しているのかが大事で、完成したら設計時の性能があるかが、問題なのです。
日本の国の制度は入口審査しかありません。出口審査はないのです。
TV番組の影響もあるでしょうが、「解体しないとわからない」という理由(リフォームの時代⑪参照)で、解体してから設計する専門店がこれからは増えると思います。これだけ急に増えたリフォーム専門店に、経験豊富な担当者がいるとは思えないからです。リフォームの時代⑥やリフォームの時代⑦に書いたように日本の木造軸組み工法は部分解体、部分施工が可能ですが(もちろん、私の工務店も部分解体、部分施工がほとんどです)、リフォームの工事が無許可でできる以上、リフォーム業者主導の傾向は進み、解体しないと設計できないというリフォーム業者の論理が施主の生活より優先されるようになると思います。
新築より難しい工事するのに、新築工事をしたことがない未経験者や経験不足な人が、平気で設計や工事担当者となり施主と話をし、経験の浅い職人が工事する…これからますますそんな業界に向かっているのではないでしょうか。
明日からは、短期集中連載で『訪問販売によるリフォーム』のコラムを始めます。