マイベストプロ山梨
伊藤龍吾

「日本人の心」を追求する空手指導のプロ

伊藤龍吾(いとうりょうご) / 格闘家

新國際空手拳法道「士衛塾」山梨県支部

コラム

~ 士衛塾空手を通して、伝えたいこと 63 ~

2022年10月25日

テーマ:伝えたいこと

コラムカテゴリ:スクール・習い事


士衛塾山梨の門下生に向けた、私からのメッセージを転載します

2022年 11月号 士衛塾山梨ニュースより

この間感じたことなどを、こちらに書いています。ぜひ、皆さまご一読いただければ幸いです

■ 大阪から香川への旅 ■
 10月22日(木)から25日(日)にかけて、龍平と一緒に大阪から香川への旅に出ました。もちろん試合のためです。試合は23日(金)と25日(日)とあり、この間隔で出るのは初めてとなりました。今年のいくつもの挑戦の中のひとつがクリアできました。23日は素手素足の試合でしたが、防具がない分手足の軽いこと(笑)。旅費を安くするため航空券と宿泊のセットで取ったため、行きは羽田→大阪伊丹、帰りは高松→羽田で、大阪から香川県の琴平までは、新幹線と特急を使い移動しました。この移動で人生初の瀬戸大橋を電車で渡ることができました。ちょうど台風の接近と重なり、東京方面の新幹線が運休となっていたため新大阪の駅では多くの人が足止めをされていました。幸い、私たちは反対方向への移動で影響はありませんでした。香川では「こんぴらさん」の近くのいつものホテルに泊まり、試合前日の夜は主催の中山先生や他の先生方と食事をさせていただきました。
 さて、試合はというと、大阪では素手素足ということもあり、足が軽い分、色々と技を試してきました。試しすぎて準決は負けましたが(笑)それでも、とても楽しく試合をすることができました。香川ではヘルメットを含みすべて防具をつけます。普段はなんてことありませんが、前々日に素手素足を経験している分、体の重さが半端なく、グダグダな試合となってしまいました。かろうじて勝てたという感じでした。
試合という真剣勝負をしてみると、普段の稽古では分からなかった「気づき」があります。今回も自分自身では「今さら」なのですが、身を持って体験しました。これも今後の稽古でみんなに返していこうと思います。

■ JKJO全日本大会 ■
 10月2日に大阪で行われた全日本大会。こういうところでコケますね私(-_-;)。悪いクセが出て序盤の様子見が良くなかった。その中でも、金丸優奈の調子が良い。勝ちにはつながらなかったけれど、すごく進化しているように感じます。頑張って更なる進化と勝利をつかんでもらいたい。
 大会全体では、優勝候補が敗退するなど波乱に富んだ大会となりました。シニアの参加者とも会えるのが楽しく、試合会場がサロン化しているように見えるのは私だけか?大阪の大会で一緒に試合に出場した石川の熊さんこと森川番長ともまた会えるし、私より先輩で頑張っている人を見るにつけ、私もまだまだ頑張らないとならないなと思わされます。歳をとればとるほど、自分の行動で人に影響を与えたり、与えられたり。なんだかいい人生を送っています。ちなみに私は「山梨の熊」と呼ばれています(笑)

■ MUGEN.03 ■
 10月10日に開催された「ALL JAPAN KARATE TOURNAMENT MUGEN.03」。前田悠冴、メインとなっている舞台仕様のなんと、第一試合。めったに経験できるものではありません。運が良いですね。今回はこのクラスは参加者が多く多く26名のトーナメントで5回勝たなければ優勝できない大人数でした。一回戦は上段蹴り二回で一本勝ち!また、このまま快進撃か!?と思わせてくれましたが次で敗退し、ベスト16でした。残念でした。
 参加した選手たちは、それぞれ課題を持ち帰ったと思います。特にスタミナ不足で敗退した選手も多く、これを向上させるには日々の「ツライ」練習を積み重ねていくしかありません。 持久力の練習とともに瞬発力の練習を組み合わせた練習が必要となってきます。これは、本部や支部での練習では、なかなかできませんので、組手強化クラス、さらには居残りの自主練での練習となります。ツライ練習は大変ですが、試合で勝ちたいと思っている方は頑張って挑戦してみてください。

■ 試合前の心境とアドバイス(MUGEN.03) ■
 大多数の方は、私は試合が大好きで喜んで出ていると思っていると思います。確かにそういう一面もありますが、元々私は出不精なので、出かけるのが苦手です。ですから、強制的に自分を動かすために、あえて無謀なほど動いています。試合もよく考えると躊躇してしまうので、とりあえず申し込むといった具合です。特に今年は、「勝っても負けてもたくさん出る」ことを目標にしていますので、仕事と調整しながら出るようにしています。
 試合では、練習した技を実際に使えるかどうかなどの実践の場です。実際に試合で使ってみたら上手くいった、上手くいかなかったなどがわかります。余計なことをし過ぎて負けることも多いです。勝てば嬉しいし、負けても肉体的なダメージよりも心のダメージなので「ハイ、次」と自分に優しくしています。
 だいたい試合の一週間くらい前になると「何で申し込んでしまったのだろう。試合に行かなければ家でゆっくりできたのに」と思います。当日は体が重いです。本当に不謹慎ですが「地震などが来て大会が中止にならないかな」と思います。「私以外の対戦者がみんなお腹を壊して欠場」などと期待します。対戦者をみて「うわっ、怖っ」と思います。5試合前に椅子に座って待機していると、最高に具合が悪いです。超超超絶不調。「こんなんじゃ試合にならない」と思います。勝ちのイメージよりも負けるイメージが私を襲ってきます。ネガティブのどん底まで落ちます。底を這っている感じです。しかし、2試合前位になると「この嫌な気持ちも、あと数分で終わる」と思うとスーッと楽になり「そうだ、今日はこのために来たんだ。よしやるぞ、楽しむぞ」と思います。
 試合が終わると、それはもう緊張から解き放たれ、爽やかなオヤジ臭を振りまきながら、まるでお花畑で踊っているような気分になります(気味が悪いですが…)。そして、昨日の敵は今日の友。対戦相手ともまるで旧知の仲のように仲良しになります。お互いに真剣勝負で戦えば「拳友」と私は思っています。
 さて、今回のMUGEN大会では様々な先生方から応援をしていただきました。大変ありがたく心強かったです。決勝で戦う相手は、私より小さくて動きの良い選手で、私の大の苦手とするタイプです。それまでの戦いを見て、なかなか勝つイメージを作れずにいました。作戦としては、この間ラッシュの練習もしてきているので、苦手ではありますが、足を止めて手数足数で勝って判定勝利をとの作戦でした。自分自身にとって苦手で、とても自信のもてない作戦でした。決勝戦の二試合前に、私が過去に二敗している最強の先生から声を掛けられ、「私よりも小さくて速くて、なかなか苦手なタイプなんですよ」という話から「じゃあ、ガンガン前に出て攻めて圧力をかけるしかないですね」と。その時に、ハッと気づきました。それは私の得意とする組手そのままだ。それしか私はできないじゃん。今まで、何でこんなに後ろ向きな作戦を立てていたのだろう。先生の言葉で、自信と勇気をいただきました。おかげで優勝できました。人のアドバイスがこの時ほど心に刺さり、良い結果へと導いてくれたことを身をもって体験した日でした。
 どれだけ経験値を積んでも、消極的になったり、積極的になったり、落ち込んだり、喜んだり、ブレたりしながら試合に望んでいます。だから試合は常に勉強になり、その時々の人生の訓練となっています。

■ 稽古会 ■
 12月25日は栃木県で稽古会が開催されます。稽古会は組手中心となりますが、様々な流派・団体のみんなと交流ができる、とても良い機会です。試合では、わずか数回しか組手ができませんが、稽古会では他流とたくさん組手ができ、色々と吸収できるはずです。道場内で行う「組手まつり」も良いですが、それ以上の勉強ができる稽古会はとても有意義なものとなります。道場内も良いですが、どんどんと外へ出ていき世間を知るのが良いです。同じ学年・世代でも実力が自分より上のすごい人がたくさんいます。そういう人と組手をすることで自分自身の弱さが分かるとともに、強い人と組手をすることで自分自身が強くなります。自分よりも弱い人と組手をやっていても強くはなりません。
 空手の強さは努力の証です。努力なしには手に入れられません。努力は様々な障害を乗り越えながら貫き通すものです。すなわち空手の強さは、人生を生き抜いていくための強さです。そのための一つの成長の場が稽古会でもあります。ぜひ奮ってご参加ください。

この記事を書いたプロ

伊藤龍吾

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