マイベストプロ山梨
伊藤龍吾

「日本人の心」を追求する空手指導のプロ

伊藤龍吾(いとうりょうご) / 格闘家

新國際空手拳法道「士衛塾」山梨県支部

コラム

~ 士衛塾空手を通して、伝えたいこと 53 ~

2021年12月21日 公開 / 2022年1月24日更新

テーマ:伝えたいこと

コラムカテゴリ:スクール・習い事


士衛塾山梨の門下生に向けた、私からのメッセージを転載します。

2022年 1月号 士衛塾山梨ニュースより

この間感じたことなどを、こちらに書いています。ぜひ、皆さまご一読いただければ幸いです。

■ 勉強になる出稽古 ■
 11月21日に極真館 蓮田支部 見山道場と女子とシニアの合同練習会を行いました。見山道場は、極真館の大会でも多くの優勝者を出している素晴らしい道場です。特に、私たちが極真館の「型」の大会に出場する際は、指導していただくなど大変お世話になっています。今回は私から発信する「組手」の技術交流が主でしたが、私たちもたくさん得るものがありました。次回は12月26日に行います。今後も定期的に続けていけたらと思います。
 また、12月6日(月)~7日(火)は、私の仕事で新宿に二日間泊りで学習会があったため、6日の学習会終了後に、東京の市ヶ谷にある武心会の平野先生と私がいつも食べているトンカツ屋で食事をし、その後、道場で稽古させていただきました。たくさんの技術交流ができました。特に「武術としての空手」は本当に勉強になりました。
 この他に9月にも埼玉県三郷市で、女子・おやじ稽古会を行いましたが、他流との技術交流や手合わせは本当に勉強になります。一口に「空手」と言っても流派によって技術体系が違い、それがとても素晴らしいし、広い視野で「空手の素晴らしさ」が実感できます。「井の中の蛙」ではダメだなと思います。

■ コロナの影響で行事がなかなかできない ■
 ぜひ、山梨でも試合以外での合同練習や手合わせ会を行いたいと思っていますが、コロナの影響での施設の収容人数の制限のせいでなかなか実現できません。私たちがいつも借りている小瀬スポーツ公園武道館の第二部道場は45名の制限があります。アリーナはもっと入れますが、使用料が高くなり、なかなか小・中規模の行事では難しい状況です。
 また、士衛塾山梨で行っている他流も参加可能な「蹴拳杯」も収容人数の関係で開催できていませんし、士衛塾山梨が一堂に会する2022年の鏡開きも行いません。しかし、今後、様々な方法を模索しながら、ぜひ実現していきたいと思います。

■ IBKO交流大会 小野さん優勝 ■
 11月23日に、横浜武道館で行われた「IBKO極真坂本道場主催 IBKO親善空手道交流大会in横浜」。小野浩二さんやりました!グランドシニア男子の部で初優勝しました!おめでとうございます!60歳を超えても、なお進化し続け記録を更新し続ける姿に勇気と感動を覚え、目標としたい人物です。人は覚悟さえあれば、この年齢になっても、まだまだ人生闘うことができます。「もう年だから…は通用しません」。
 そして、中村仁実さんもマスター女子で大健闘!組手試合のデビュー戦で初勝利。惜しくも3位の表彰が無かったため入賞は逃しましたが、実質3位でした。仕事と家庭を行いながらの練習。実力もどんどん上がっています。次は1月の極真会館の全日本大会に挑みます(めちゃくちゃ凄いことです)。

■ マナーについて ■
 先般、士衛塾山梨のグルーブラインで試合や応援のマナーについてお知らせいたしました。
 武道を行う者にとって拠り所となるものがマナーです。これを守ることができなければ武道とは言えません。その場面場面で問われる行儀や作法、ルールを遵守することはとても大切なことです。試合で一方がルールを無視して戦えば相手は不利になり、公平な試合ではなくなり、「試合=ためしあい」として成立しなくなってしまいます。また、重大な怪我にもつながりかねません。試合のマナー、応援のマナー、稽古のマナー、道場でのマナーなど、空手だけでも様々なマナーがあります。それができるようになると、武道においての「品格」が備わります。
 「マナーやルールは破るためのもの」ではなく「特段意識しなくても、サラッとできる」ことが素敵だと思います。

■ 東日本大会 デビュー戦で優勝 ■
 12月5日に沼津で行われた「第5回東日本Jrフルコンタクト空手道選手権大会」、保坂傳はなんとデビュー戦で、優勝しました。おめでとうございます!一度きりしかないデビュー戦で記念になりました。今回は、初級の部でしたが、次なる目標を定め、今後は中級や上級の部でぜひ優勝をできるように練習に励んでください。
 傳は、ご家族の協力のもと、自宅でもしっかりと練習しているようです。道場だけの練習ではなく、それを補う練習ができると、より早く上達できます。頑張れ!!

■ 試合で得たもの ■
 さて、試合において、勝ち抜き戦の場合、一回戦が終わると半分が敗者となります。100人出場したら50人が敗者となります。勝ち進んでいっても、優勝者以外は一回戦で負ける人と同じで一度負けます。例えはとても悪いのですが、勝ち抜き戦では一人しか生き残ることができません。
 大切なのは、「負けた後」の行動です。「次の試合こそ勝つ!」という決意と意気込みはとても大切ですが、そうなれるようにするために、①なぜ負けたのかの現状分析、②どう改善していくか、を考え、③実際に行動に移す、④そして、また挑戦することが大事です。
 極端な例、その人の運命では11回目で勝つことができると仮定しましょう。どんなに負け続けても、諦めずに挑戦し続けた結果、11回目で勝ちました。そうすると負け続けた10試合は11試合目に勝つために「必要なこと」となります。しかし、10回目で諦めてしまったら、せっかく10試合も頑張ったのに「無駄だった」と言うことになってしまいます。もちろんすべてにおいて無駄かというと、そうではありませんが、少なくとも試合に勝利という点では惜しい結果となります。
 よく、オリンピックの金メダリストが「諦めないでやってきたから、ここまでこれた」と言いますが、まさにこのことです。
 自宅で頑張って練習している生徒の話も聞きます。夜は寝る時間があるため、朝練をしている生徒もいます。頑張れば頑張るほど成果はついてきます。
 そうはいっても、いつ上達するか、いつ試合に勝てるか、いつ昇級昇段できるかは、予想通り、目標通りに行くとも限りませんし、分かりません。「神のみぞ知る」と言いたいところですが、だからこそ、諦めずに一生懸命努力をすることで、予想通りにしたり、目標通りにすることができるかもしれないし、運を自分に引き寄せることができるはずです。
 しかし、「努力をしても報われない奴はいる。間違いなくいる。ただ成功した奴は、必ず努力をしている(長州力:プロレスラー)」。失敗しても「私の最大の光栄は一度も失敗しないことではなく、倒れるごとに起きあがることにある(ゴールドスミス:実業家)」と考え、「努力する人は希望を語り、怠ける人は不満を語る(井上靖:小説家)」と言葉にし、「小さなことを重ねることがとんでもないところに行く ただひとつの道(イチロー:野球選手)」のようにコツコツと努力しましょう。「一番いけないのは自分なんかダメだと思い込むことだよ(のび太:ドラえもん登場人物)」自分の可能性は無限大です。

■ 本年もありがとうございました ■
 コロナ禍2年目の今年は、基本の技を深めていくことをテーマにした昨年から、身体操作の基本と応用へと移りました。門下生に教えるために私も日々勉強と実践を繰り返し続けています。試合にも参加するようになり、内にこもり勉強していた日々から、その成果を確かめ、発表すべく、外へ出るようになりました。昨年とは違い、感染対策を取りながら、行動できるようになってきました。
 コロナ前は、マスクは心肺機能を高めようと、あえて厳しい練習の際に着用していたのですが、コロナになって着用が当たり前になりました。今では、厳しい練習もマスク着用で普通にこなせるようになりました。多分、これは進化と言えるのでしょうね。
 本年も多くの門下生の成長もみられた反面、正直、昇級はしましたが残念ながらレベルが下降気味の門下生もいます。成長がゆっくりなのは、人それぞれで全く問題はないのですが、落ちるのは困りますね。それも、練習に来ていないのではなく、来ているにも関わらずにです。多分、練習に対する「姿勢や意識」なのでしょう。私も口を酸っぱくして言っていますが、本人がそこを変えないといけません。
 上達するためには、①教えている人の話しを聞く(ここすらできないのは、スタートラインに立つことすらできません)。②話しの意味を理解する。③意味などわからないことは質問する。④実践してみる。⑤実践してみて、できなかったこと、わからないことを質問する。⑥また実践してみる。の繰り返しです。
 特に③と⑤は大事です。どんな細かいこと、初歩的なことでも質問してください。わからないことを、そのままにしたり、わかったふりをしないようにしてください。教えられたこと「しか」できないのではなく、教えられたこと「以上」できるようになるためには質問は大切です。また、わかろうとしていない人には質問はできません。わかろうとするから疑問点が出てきます。そこが大事です。
 また、ノートを活用するのも良いです。聞いただけでは忘れてしまうので、書くのは非常に有効です。内容は自由です。その日に教えてもらったこと、話しや技、技のコンビネーションなど、自分で考えたオリジナル技、などなど。伊藤家の子どもたちが小さい頃に行っていたのは、いつも組手を行う周りの門下生一人一人の長所(得意技)や短所(苦手なこと)をメモしていました。私も練習前にその日の目標ややるべきことを考えて稽古に臨みました。これは、今でも続けています。
 人から与えられた知識だけではなく、自分自身で考える力をつけ、悩み、苦しみながらも答えを見つけ出すことが喜びや確信、希望につながります。
 人はそれぞれが、良いところ、悪いところを持ち合わせています。完璧なんてないと思います。大切な門下生の良いところを延ばし、悪いところはできるだけなくすために、私も日々、勉強と実践の繰り返しです。まだまだ至らぬ点も多々あろうかと存じますが、ぜひご理解とご協力をお願いいたします。
 私自身の目標は「空手大好き人間」をたくさん作ることです。この山梨という地方から世界に向けて広げていきたいと思っています。コロナが収束し、海外支部の門下生たちとも一緒に稽古ができる日を待ち望んでいます。
 本年も、本当に皆様のご協力のおかげで無事に終えることができそうです。2022年もよろしくお願い申し上げます。

この記事を書いたプロ

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伊藤龍吾(新國際空手拳法道「士衛塾」山梨県支部)

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