マイベストプロ山梨
伊藤龍吾

「日本人の心」を追求する空手指導のプロ

伊藤龍吾(いとうりょうご) / 格闘家

新國際空手拳法道「士衛塾」山梨県支部

コラム

~ 士衛塾空手を通して、伝えたいこと 47 ~

2021年6月22日

テーマ:伝えたいこと

コラムカテゴリ:スクール・習い事



士衛塾山梨の門下生に向けた、私からのメッセージを転載します。

2021年 7月号 士衛塾山梨ニュースより

■ 「強くなる」ために ■
 人は誰しもが、多かれ少なかれ、事の大小も違えど、自分自身や周りと戦っています。朝起きて「疲れたなー」と思っても、行かなければならない学校や会社…まさに自分との戦い。高校や大学の入試試験…今後を決めていく大きな戦い。これだけではなく、色んな選択を迫られた際にも戦わなければなりません。その結果が「現在」の自分自身です。
 戦いに勝つための大事なもののなかに「強さ」や「知恵」があります。武術・武道の日々の鍛錬を通して心と身体を鍛えます。毎日の同じ稽古の中から、身体の変化を見つけるために知恵をつけ、技を磨き、さらに技を昇華させ強くしていきます。戦いに勝つべく、試合を通して、緊張を乗り越える強さをも訓練します。しかし、子どもたちには、それをできるだけ感じさせず、また、極度に緊張させずに楽しく日々の練習を行い、歩みは遅くとも、知らず知らずに身についていくのが、私たち指導者の目的でもあります。「いつの間にかできるようになっていた」が理想です。そして、自分自身の心のコントロールができるようになることはもちろん、周囲のコントロールもできるようになることも目標です。組手で相手をコントロールしたり、よく言われる「自分が変われば相手も変わる」と同じです。
 「強くなる」ためには、本を読んだり、話しを聞いて納得するだけでは決して身につきません。もちろん、実践が伴わないといけません。スポーツとは違い、本来、外敵から身を守り、生き残っていくための武術・武道だからこそ、心も身体も強くなっていくのです。

■ 目標を持ち「実践する」■
 日々の稽古の中で、成長していくのが一番良い状態です。もちろん、そこが一番大事なことです。
 そして、目標を持つことは大事です。目標は高く掲げる場合もあるし、割と簡単に達成できそうな目標を持つことも大事だと思っています。いくら頑張ってもなかなか届かない目標は、段々とつらくなってきてしまう場合があります。大事なのは達成することができたという達成感の積み重ねです。もちろん目標を持つだけではダメで「実践」という裏付けがないと達成はできません。
 例を挙げると、合宿や審査会、試合などが良い目標となります、「合宿に参加するぞ」という目標に対しては「申し込めば」達成できます。あとは合宿を乗り越えるための体力を普段の練習で積み重ねていくことです。審査会は、上の級になることを目標に日々の稽古を頑張り、昨日よりも今日、今日よりも明日へと成長していくことです。できれば、その日の稽古で進化することがベストですね。特に基本的な技を覚えていく10級から7級くらいの若い帯は、練習に対する姿勢によって、それができやすいです。試合は、申し込むのは簡単です。努力すれば勝てます。優勝となるとさらなる努力が必要です。その日のトーナメントでは、優勝者だけが「負けていない」のです。準優勝も三位も一度は負けています。「負けないこと」はとても難しいことです。
 では、「負けること」はダメなのかというと、私はそうは思いません。負けることや失敗はしても良いと思っています。大切なのは、負けた(失敗した)原因を環境や人のせいにせずに、「なぜ」そうなったのかを分析し、原因を解明し、克服するための「努力(実践)」をすることです。誰でもそうですが、最大の敵は自分自身かもしれません。

■ 夏期合宿で成長しましょう ■
 コロナ禍の中ですが、大勢の方が夏期合宿に参加する意思を示していただき、誠にありがとうございます。大変嬉しいことです。実施の際は、出来得る最大限感染対策を取りながら実施したいと思います。空手は感染対策について、他の競技よりも勝っていると自負しております。ただし、万全な対策を行っていても、保菌者がいれば感染が拡大してしまうのがコロナの怖いところなので、100%大丈夫ですとは言い切れないのが、心苦しいです。
 先の状況が見通せない中ですが、そのような中ですが、最近は行事や試合も徐々に増えてきました。
 よく、門下生には話をさせていただいておりますが、「試合」に出るということは、どんなことなのかを例えて話します。
 空手が、高校生活と例えるなら、合宿は、学園祭などの行事。試合はテスト。審査は学年が上になるための試験と例えています。日々の勉強はとても大事です。その実力を確認するためのテストを受け、現状を知ることができます。できなかったところをできるように勉強します。これらの繰り返しと積み重ねで、実力が上がっていき、上の学年へと進級できます。空手の練習と試合の関係性と一緒です。試合=試し合いという、緊張感を持った本番を迎え、どこまで実力が発揮でるのか試すのが試合です。取り組み方としては、練習は本番の様に、試合は練習の様にというわけです。
 普段、一緒に練習をできない県外の仲間たちとの練習は、大きく成長するはずです。また、人としても成長します。親から見れば、何もできない子どもでも、いざ親から離れると立派に行うものです。子どもは大人以上に与えられた環境に順応し、その中で自分の居場所を自ら作り、成長のために自ら行動を起こしていくものです。それは、親の前では絶対にしません。それを見ることができるのは、私たち指導者の特権かもしれませんね。普段の練習の様子や合宿などの様子をぜひ、指導者にお尋ねください。良い面も、悪い面も(笑)普段と違った一面を知るかもしれません。そんなこんな全てひっくるめて、ひとりの人間として個性的で素晴らしいことです。
 そして、成長するのは子どもだけではありません。果たして大人は成長が止まってしまったのでしょうか?頑張っても成長しないのでしょうか?
 いいえ、そんなことはありません。知識や経験がある分、子ども以上に成長します。しかし、知識や経験は時としてマイナスに働きます。それをプラスに変えるだけでよいです。私も含め空手を行っている大人たちがそれを実践し証明しています。自分の成長を実感できるので楽しくて仕方ありません。
 どんなに仕事で疲れていても、寝れないくらい悩ましいことが日々あっても、ひと時でもそれを忘れ、汗を流し、無心で取り組むことがあることは、とても幸せなことです。
 お父さん、お母さん、遅くはありません。一緒に子どもと同じ時間を過ごす。成長を肌で感じる。同じ趣味で会話する。教え合い、競い合うために空手を始めてみませんか?子どもに親の背中を見せてみましょう。絶対に後悔しませんよ。

この記事を書いたプロ

伊藤龍吾

「日本人の心」を追求する空手指導のプロ

伊藤龍吾(新國際空手拳法道「士衛塾」山梨県支部)

Share

関連するコラム

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ山梨
  3. 山梨のスクール・習い事
  4. 山梨の空手教室・道場
  5. 伊藤龍吾
  6. コラム一覧
  7. ~ 士衛塾空手を通して、伝えたいこと 47 ~

© My Best Pro