【親子問題】子がオンラインカジノにのめり込んでいる|親が確かめること・避けたい対応

若井亮

若井亮

テーマ:親子問題

本記事は2026年10月時点の法令・制度と公表資料に基づいて作成しています。オンラインカジノに関する規制は、2025年9月25日に施行された改正ギャンブル等依存症対策基本法の内容を反映しています。個別の事情によって結論が変わることがありますので、具体的な対応はご相談のうえでご判断ください。


子の部屋から夜遅くまでスマートフォンの音が聞こえる、カードの明細に見覚えのない海外の決済がある、急に「お金を貸してほしい」と言われるようになった。調べてみると、子がオンラインカジノを続けていた。そのように気づいて、何から手をつければよいのか迷われる親御さんは少なくありません。

 オンラインカジノについては「違法である」「依存症に注意」という説明が広く出回っており、それ自体は誤りではありません。ただ、親の立場から見ると、子が賭博罪に問われうるという刑事の問題、借金や親のお金が使われるというお金の問題、やめたくてもやめられない依存の問題が同時に起きていて、どれから、誰に相談すればよいのかが見えにくいことが多いのです。

 本記事では、成人した子と未成年の子の両方を念頭に、親が最初に確かめること、避けたい対応、使える窓口を整理します。ホストクラブや推し活、公営競技を含めた支出の問題全体は、次の記事で扱っています。

 【親子問題】ホスト・推し活・ギャンブルへの支出が原因の場合

オンラインカジノの問題は三つに分けて考える

海外のサイトでも、国内から賭ければ賭博罪に問われる

 オンラインカジノの多くは海外で運営されていますが、運営国で合法であっても、日本国内から接続してお金を賭ければ賭博罪に問われます。賭博罪の法定刑は50万円以下の罰金又は科料で(刑法185条)、繰り返し賭けていたと評価されると、常習賭博罪として3年以下の拘禁刑の対象になります(同法186条1項)。

 警察庁のまとめでは、2025年のオンラインカジノに関する摘発は158件・221人で、件数は過去最多でした。摘発された人のうち196人は、賭けた側の利用者です。賭けた側が特定される仕組みは、次の記事で解説しています。

 オンラインカジノで賭けた|単純賭博罪に問われる仕組み

 【刑事事件】オンラインカジノの利用者が摘発される流れ|決済記録からの特定

若い世代に広がり、違法と知らずに始める人も多い

 警察庁が2024年に実施した実態調査では、オンラインカジノの利用経験者は推計約336.9万人、国内の年間の賭け金の総額は約1兆2,423億円とされました。経験者の約6割を20代と30代が占め、回答者の約4割は違法であるとの認識を持っていなかったと報告されています。スマートフォンで手軽に始められることに加え、「海外のサイトなら問題ない」という誤った情報が出回っていたことが背景にあると考えられます。

刑事・お金・依存は、相談する先が異なる

 親として難しいのは、三つの問題がからみ合っていることです。それぞれ相談する先が違い、どれか一つだけを片付けても、ほかの問題が残っていれば同じことが繰り返されやすくなります。まず三つに分けて全体を把握することが、親の側の出発点になります。

問題親が確かめたいこと主な相談先
刑事いつから、いくら賭けているか。捜査機関から連絡が来ていないか弁護士
お金借入先と総額。親名義のカードや口座が使われていないか弁護士、日本貸金業協会など
依存やめようとしてもやめられない状態になっていないか精神保健福祉センター、依存症の専門医療機関


気づいたときに、親がまず確かめること

親名義のカード・口座・決済が使われていないか

 最初に確かめたいのは、親名義のクレジットカードや銀行口座、スマートフォンのキャリア決済などが、入金や出金に使われていないかです。オンラインカジノへの入金は、クレジットカードや電子マネー、暗号資産、決済代行業者を経由した振込など、さまざまな経路で行われます。

 子が親のカードを無断で使っていた場合は、カード会社に連絡して利用を止めることを検討します。ただ、カード会社の規約では、家族による利用は不正利用の補償の対象外とされていることが多く、支払いの扱いはカード会社とよく相談する必要があります。子が親の名義で契約をしていた場合の考え方は、次の記事で解説しています。

 【親子問題】子が親名義で契約した|追認しないという選択

借入先と総額を、書面で確かめる

 賭けの資金や負けの穴埋めのために、子が消費者金融やカードローン、後払い決済などから借入れをしていることがあります。本人の説明だけに頼らず、借入先ごとの残高を書面や画面で確かめておくと、後の対応を考えやすくなります。本人が信用情報機関に開示を求めれば、登録されている借入れを一覧で確認することもできます。

 知人や登録のない業者から借りている場合は、注意が必要です。返済を迫る連絡が家族に及ぶこともあります。違法な取立てへの対応は、次の記事をご覧ください。

 【親子問題】闇金・違法な取立てが家に来た

子が「紹介」や「宣伝」をしていないか

 見落とされやすいのが、子が賭けるだけでなく、SNSでオンラインカジノを紹介したり、紹介リンクを貼って報酬を得たりしていないかという点です。2025年9月25日に施行された改正ギャンブル等依存症対策基本法では、オンラインカジノのサイトやアプリを示す行為や、インターネットで不特定の人を違法なオンラインギャンブルへ誘導する情報を発信する行為が禁止されました(ギャンブル等依存症対策基本法9条の2)。

 報道によれば、2025年の摘発には、SNSなどで宣伝して運営側から報酬を得ていた人も含まれています。子が紹介報酬を得ていた形跡がある場合は、賭けた側とは別の評価を受けるおそれがあるため、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。

親が避けたい三つの対応

賭けの資金になると分かっているお金を渡す

 「負けを取り返せば返せる」「今月だけ」と頼まれて、お金を渡してしまうことがあります。オンラインカジノは昼夜を問わずスマートフォンで続けられるため、渡したお金がそのまま次の賭けに回ることが少なくありません。生活費を援助する場合でも、家賃や公共料金は親が直接支払うなど、現金を本人の手元に残さない形を考えるとよいでしょう。

親名義の口座やカードを使わせ続ける

 親名義の口座が出金の受取先になっていると、決済の記録上、その口座がオンラインカジノと結び付いて見えることになります。金融庁と警察庁は2025年、金融機関に対してオンラインカジノに関わる決済への対応を要請しており、こうした取引が確認された口座の取引を制限する方針を示している金融機関もあります。親自身の生活に使う口座を守るためにも、子との共用はやめておくのが無難です。

中身を確かめないまま借金を肩代わりする

 成人した子の借金を、親が返す法的な義務は原則としてありません。貸金業者が、債務者以外の家族に代わりの返済を求めることも禁じられています(貸金業法21条1項7号)。それでも親が一括で返済すると、借入れの枠が空き、同じことが繰り返される場合があります。肩代わりを考える前に、総額、原因が今も続いているか、債務整理で解決できないかを整理しておくことをおすすめします。

 【親子問題】子の借金を親が返す義務はあるのか

賭けたお金と借金はどうなるのか

賭けで失ったお金を取り戻すのは難しい

 「サイトに入れたお金を返してもらえないか」と考える方もいらっしゃいます。しかし、賭博のために支払ったお金は、不法な原因のために給付したものとして、原則として返還を求めることができません(民法708条)。運営者の多くは海外にいて連絡を取ること自体が難しく、出金を拒まれた勝ち分を回収するのも難しいのが実情です。「取り戻せる」とうたう勧誘には慎重に向き合ってください。

借入れの契約そのものは、多くの場合有効

 一方、消費者金融やカードローンからの借入れは、使い道が賭けであっても、契約としては有効と扱われることが多いです。これに対し、賭けの負けを個人間で精算する約束や、賭けに使うと知りながらお金を貸す約束は、公序良俗に反して無効と評価される余地があります(民法90条)。誰から、どのような名目で借りているかによって、返す必要の有無が変わることがあります。

債務整理の道は閉ざされていない

 返済が難しい場合、本人が任意整理、個人再生、自己破産といった債務整理の手続を取ることが考えられます。賭博によって過大な債務を負ったことは自己破産の免責不許可事由とされていますが(破産法252条1項4号)、反省の状況や生活の立て直しの見通しによっては、裁判所の裁量で免責が認められることもあります(同条2項)。オンラインカジノの場合は刑事の問題とも関わるため、両方の見通しを踏まえて手続を選ぶことが大切です。

刑事の問題にどう向き合うか

自首するかどうかを決めるのは子本人

 子の賭博を知った親が「警察に行かせるべきか」と悩まれることがあります。捜査機関に発覚する前に自ら申告した場合は、自首として刑が減軽されることがあります(刑法42条1項)。ただし、自首は本人がするものであり、親が代わりに行うことはできません。

 また、賭けた期間や金額、決済の経路によって見通しは異なります。出頭するかどうかは、弁護士に事情を伝えて見通しを確認したうえで、本人が判断する順序をおすすめします。

 自分から出頭すべきか|自首の成否と実務上の意味

捜査が自宅に及んだときの家族の立場

 決済代行業者の摘発などをきっかけに、利用者が特定されることがあります。子と同居している場合は、自宅の捜索や、スマートフォン・パソコンの押収が行われることもあります。親自身が事情を聞かれることもありますが、知らないことを推測で答える必要はありません。家族が慌てて端末の記録を消すような対応は、後の手続の妨げになるおそれがありますので避けてください。

 家宅捜索(ガサ入れ)が来た|立ち会いでできること・できないこと

 【親子問題】成人した子の刑事事件で親ができること・できないこと

子が未成年の場合

 警察庁の調査では、10代の利用経験者も確認されています。子が20歳未満であれば、少年事件として家庭裁判所に送られる手続の対象になります。また、未成年の子が親権者の同意なく結んだ契約は原則として取り消すことができ(民法5条2項)、後で触れる貸付自粛制度も、親権者が法定代理人として申告することができます。

 【親子問題】少年事件の流れ|家庭裁判所送致から審判まで

依存の問題と、親が使える窓口

新たな借入れを止める貸付自粛制度

 日本貸金業協会と全国銀行協会が運用する貸付自粛制度は、本人の申告によって、一定期間新たな借入れをしにくくする仕組みです。どちらかに申告すれば信用情報機関に情報が登録され、金融機関の審査で参照されます。

 成人した子の場合は原則として本人の申告が必要で、家族が申告できるのは、子が所在不明であるなど限られた場合です。親としては、本人が自ら申告するよう促すことが出発点になります。

依存の相談は家族からでもできる

 やめようとしてもやめられず、生活や仕事に支障が出ている場合は、ギャンブル等依存症の可能性も考えられます。本人が相談を拒んでいても、各都道府県・政令指定都市の精神保健福祉センターでは家族からの相談を受け付けており、依存症の専門医療機関や、本人・家族それぞれの自助グループにつながる道もあります。

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お金の要求が親に向いてきたとき

 賭けを続けるために、子が親に繰り返しお金を求めたり、断ると声を荒らげたりするようになることもあります。同居の子が親のお金を無断で持ち出した場合は、刑が免除される特例があるため(刑法244条1項)、警察に相談しても事件として扱われにくい事情があります。一方、暴行や脅迫にはこの特例は及びません。

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当事務所の取り組み

弁護士が親の代理人として子と向き合う

 当事務所では、子の暴力やお金の無心に悩む親御さんから依頼を受け、弁護士が親の代理人として子と向き合う取り組みを行っています。お金の要求の窓口を弁護士に移すことで、親が直接やり取りをする負担を減らすことができます。

自立支援カウンセラーと役割を分ける

 ただ、子を孤立させるだけでは立て直しにつながりにくいため、民間の自立支援カウンセラーとチームを組み、カウンセラーが子の仕事探しや日々の金銭管理などを支える体制をとっています。私はこれまで5年以上、北海道から沖縄まで全国のご家庭の問題に関わってきました。人が関わることですので結果をお約束することはできませんが、親子の距離を取ることで、双方に変化が生まれることがあります。

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よくあるご質問

子が「もうやめた」と言っています。親が警察に相談すべきでしょうか

 警察に相談するかどうかは、ご家庭の判断に委ねられています。ただ、賭けた期間や金額、決済の経路によって刑事上の見通しは変わり、相談をきっかけに本人の意思とは別に手続が進むこともあります。まずは弁護士に事情を伝え、本人による申告を含めた選択肢と順序を確認することをおすすめします。

子のスマートフォンを取り上げれば、やめさせられますか

 一時的に賭ける手段を断つ効果はありますが、成人した子の持ち物を親の判断で取り上げると、かえって衝突が深まることがあります。また、端末の中の記録は、借入れの把握や刑事の見通しを立てるうえで必要になることがあります。取り上げることよりも、決済手段を親名義から切り離し、相談先につなぐことを優先するのが現実的です。

一度だけ借金を返してあげても大丈夫でしょうか

 返済するかどうかは親が決めることですが、原因が続いているうちに返済すると、借入れの枠が空いて同じことが繰り返されることがあります。返す場合も、借入先へ親が直接支払う、あげるのか貸すのかを書面に残す、貸付自粛制度や依存症の相談とあわせて進めるなど、繰り返さないための手立てとセットで考えることをおすすめします。

まとめ


  1. 海外で運営されるオンラインカジノでも、国内から賭ければ賭博罪や常習賭博罪に問われます(刑法185条・186条1項)。
  2. 2025年9月25日から、サイトの提示や誘導する情報の発信も禁止されました。子が紹介や宣伝をしていないかも確かめます(ギャンブル等依存症対策基本法9条の2)。
  3. 親名義のカードや口座が使われていないか、借入先と総額はどうかを、書面で確認します。
  4. 成人した子の借金を親が返す義務は原則としてなく、貸金業者が家族に代わりの返済を求めることも禁じられています(貸金業法21条1項7号)。
  5. 賭けで失ったお金は原則として取り戻せませんが(民法708条)、債務整理の道は閉ざされていません(破産法252条1項4号・2項)。
  6. 自首は本人がするもので、刑が減軽されることがあります(刑法42条1項)。出頭の前に弁護士へ見通しを確認します。
  7. お金の要求が親に向いたときは、親族間の特例(刑法244条1項)を踏まえ、依存の相談とあわせて窓口を考えます。


弁護士法人若井綜合法律事務所では、子の暴力やひきこもり、お金の無心、オンラインカジノへののめり込みなど、子の問題に悩む親御さんからのご相談を、池袋と新橋の事務所でお受けしています。遠方の方のご相談にも対応しており、電話・メール・LINEのうちご希望の方法をお選びいただけます。

子の様子に気づいたばかりの段階でも、すでに借金の返済や警察からの連絡が始まっている段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。親御さんだけで抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。

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若井亮
専門家

若井亮(弁護士)

弁護士法人若井綜合法律事務所

風俗トラブルや男女トラブル、それに伴う刑事事件まで一貫して対応。累計相談件数は男女トラブル約23,000件、風俗トラブル約8,000件。全国からの相談を24時間受け付け、迅速な対応を心がけています。

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